-新たな力⑬-
その後、何日も《解放》の習得に向けた修業を繰り返していた。
しかし、結果は残念なものである。
ただ、収穫はある。
安定して武器の形成手前までできるようになった。
それは良いことなのだが……
「……ここまでは行けるんだけど、肝心の武器の形成で失敗するんだよな」
自身の特性の応じた形状を成す《解放》。
自分の本質なんて真に把握している人間なんているのだろうか。
あともう少しな気はしている。
しかし、そこからは鍛錬がどうこうというより、自分自身の問題だと思う。
自分の信念を形にする。
それが《解放》なのだと考え至る。
「……くそっ!どうしてもあと一歩届かない」
そう簡単にその領域まで至れるわけではない。
分かってはいるものの、目前まで来ているものに手を伸ばさずにはいられない。
しかし、手をどれほど伸ばしても辿り着くことができない。
そんなモヤモヤとする感情に苛まれながらも必死に食らいついていく。
額には汗が流れ、ぜぇぜぇと肩で息をする。
しかし、依然と状況は変わることはなかった。
これは鍛錬どうこうではなく、自分自身の信念が何かということが分かっていないという点が大きいだろう。
「……今日はここまでだな」
何度も発した締めの言葉。
何日も何日も取り組むが、結局は《解放》をモノに出来ずにガックリと肩を落とす。
自分には才能がないのではないかとついネガティブな思考に陥るが、それでもやるしかないのだ。
「蒼空君……この頃ひどく疲れてるようだけど……大丈夫?」
アリシアは蒼空の顔を覗き込むように問う。
「あぁ大丈夫だよ。……ちょっと鍛錬してるだけ」
蒼空は力なく笑いそう答えた。
「蒼空君はすごいね……私が怖くて動けないでいる時に蒼空君は自分ができることを冷静に実行してて……」
「アリシアだって自分の役割をちゃんとこなしてると思うぞ」
蒼空の言葉を受けても、アリシアは少し落ち込んでいる様子を見せていた。
「ううん、私は昔から憶病で……特務隊に入れて変われるかなって思ったけど、やっぱり怖いんだ。でも、蒼空君はあの強敵を前にしても決して諦めなかった。今も自分を高めようとしてる。……ほんとにすごいよ」
アリシアは少しの笑顔を見せた。
不自然なその笑顔はアリシアが無理していることを感じさせるものだった。
確かにアリシアの性格は戦闘には向いていないと思う。
だが、それを全て否定してはアリシアの努力も否定してしまう気がした。
「……だったら、俺が君を守るよ。アリシアは俺を信じて前だけを向いてればいいさ」
蒼空の言葉にハッとした表情を見せた。
そして次第に、顔を真っ赤にさせ俯いてしまった。
――ん?何かおかしなこと言ったかな?
「あ、ありがと……私頑張るよ」




