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にのいち

お読みいただきありがとうございます。

二章目スタートです。

よろしくお願いします!

第二章


「……亡くなった……?」


 メキナハが無事、正式にセヌリューバの家族となってしばらくがたったある日、沈痛な面持ちの医師ルバイヤがセヌリューバを伴ってメキナハの教室を訪ねてきた。セヌリューバは重々しく頷いた。


「なんで……。危機は脱していたはずでは?」

「そうなんだ。だいぶ回復して最近は意識もはっきりしてきていたんだ」


 ルバイヤは心底悔しそうだった。生死を彷徨った人物の回復に尽力し、通じない言葉でなんとか意思疎通を図り、ようやく手が離れるかと安堵した矢先の出来事だったのだ。


「急に苦しみ出して、呼吸出来なくなったと思ったら、あっという間に亡くなってしまった。手の施しようも、と言うより、施す間も無かった」

「まさか……。毒物ですか?」

「真っ先に調べたが、それも違う。食事も、治療院全員が食べているものと同じだった。僕も食べたよ。『落ち人』にとってあまりよくないと言われている食材も、念のため避けていたし。

 ……それで、アーニー君の亡骸をお返ししようと思うが、何か『里』なりの作法があるかと思って聞きに来たんだ」


 そうか、アーニーという名だったな。例の刺された人物。退院を間近に突然亡くなってしまったとは。


 メキナハはしばらく目を閉じて、彼の冥福を祈った。ついぞ会うことは無かったが、亡骸を作法に則って返したいというルバイヤの気持ちも理解できた。

 『落ち人』の亡骸は、数日すると光に包まれ消えてしまう。魂が元の世界に戻っていくのだといわれている。その前になんらかの儀式をするのなら、急がねばならなかった。


「ご存知の通り、『里』は色々で、こういった場合の作法も色々で……。アーニーさんに相応しい作法がなにかわかりませんので、魂が帰る前に急ぎツダ様にご連絡差し上げたほうがいいと思います」


 メキナハが言うと、セヌリューバは頷いた。


「キーナ。今日は館に帰るなら、私は遅くなると伝えてくれないか?夕食は一緒にとれそうにないと」

「承知しました、リューバ兄様」





 メキナハはセヌリューバの元で暮らし始めた。セヌリューバの館には彼の両親と息子のノゼンタ、そして使用人たちが暮らしていた。


(私には、もうほとんどお城だったのよね……)


 メキナハは苦笑する。セヌリューバは彼の両親のことを、「それなりの地位にいる」と言っていたが、()()()()が聞いて呆れる。「屋号持ち」と呼ばれるカイレー五大名家の中でも筆頭、歴代執政者や外交・軍事に着く要職の者を多く輩出してきた家で、首都シデスラに次ぐ第二の都市、モッパートの港町をはじめとする南部地方に基盤を置く名家の当主夫妻だったのだ。ちなみにこの家の屋号はモッパートだ。他国で言う家名のようなものである。メキナハは「モッパートのお嬢様」になってしまった。


 メキナハはモッパートの家が持つ首都シデスラの邸宅で過ごす事に尻込みし、それまで住んでいた部屋で一人で暮らすつもりだったが、セヌリューバの息子のノゼンタにとても懐かれてて、五歳の子供に訪れるたび「帰らないで」と泣きすがられること数回、メキナハは降参した。

 メキナハとしても「キーナ姉さま」と慕ってくれる子を無碍にはできない。書類上は叔母だが。仕事で泊まり込みが必要な場合以外はせっせと戻っている。


 シィトゥーハも普段は学院の寮にいるが、長期の休みに入ると帰ってくる。

 彼は相変わらずだ。ただ、新しく家族となった人たちが皆、キーナと呼ぶ中、頑なにメキナハさんと呼ぶ。彼なりの線引きなのだろうか、妹ではないと言う主張か。


 

「キーナ、ちょっといいか?」


 翌日、ノゼンタと遊ぶメキナハにセヌリューバが声を掛けてきた。


「ノジュ、そろそろおやつの時間だろう?お婆様と食べておいで」


 世話係に連れられ笑顔で駆け出すノゼンタの背中を見ながら、なんて可愛いんだろうとメキナハは目を細めた。


「明日もまたツダ殿が来るが、面会するかね?伝えておくが」


 ツダはアーニーが亡くなった後、連日騎士団や治療院を訪れているが、忙しいツダにメキナハはまだ会えずにいた。


「そうですね、私の身の振り方をご心配いただいているので、直接お話しできれば嬉しいです。お手数ですが……」

「手配しておこう。それと」


 セヌリューバが真剣な顔で改まった。


「国境で小競り合いが起きた。相手は隣国のヤデイニトコだ。三国同盟の一国だな」


「小競り合い!?」


 真っ先に浮かんだのは、最後に軽く手を挙げて去っていくガレシュの姿だ。


「……ヤデイニトコとは友好的とは言えないまでも、和平が保たれている状態だったはずですが、何があったのですか」


 メキナハの口から出たのは彼のことでは無かった。


「さすがに詳しいな。その通りだが、このところ急激に関係が悪化したらしい。

 私もコリュモも派遣されることになった」


 あまりのことにメキナハは言葉を失った。セヌリューバやコリュモまで?


「それでだな、事態が落ち着くまでシィトゥーハにもノゼンタの側に居てもらいたいと思っている。構わないだろうか」

「トゥーハ兄様のことですから飛んで帰ってみえると思いますよ。私は構いませんし、私に確認する必要は無いかと……」

「……そうか、ではもう一つ。騎士たちの間で、遺言を残すと無事に帰って来ることができるという験担ぎがあってね、お守りだと思って聞いてほしいんだが」


 また、お守りか。この人たちは、皆揃って。残される身にもなってくれと叫びたくなった。


「息子はまだ幼い。私に万が一のことがあった場合……」

「兄様!!」

「聞いてくれ。両親がしっかりとみてくれるとは思うが、彼ら自身にも公務があるし、何より高齢だ。君と、シィトゥーハが二人で息子を守ってくれれば心強い。弟の申し出のこと、一度真剣に考えてみてやってくれないか」


 メキナハは下を向く。シィトゥーハの申し出とは、彼がメキナハにプロポーズしたことだ。

 全く、この人は弟に甘すぎないか。遺言と称してこんな形でシィトゥーハを援護するとは。

 セヌリューバは恩人だしメキナハの生殺与奪を握っていると言っても過言でない。命令もできるのに、こうやってメキナハに選択権を与えてくれる。ありがたいことだし、恩を返したいとも思う。思うが……。


「よく考えます、兄様。正直今は、その、ちょっとないなと思ってますけど」

「……うん、そうじゃないかと思っていたが、あいつも不憫な奴だな」

「兄様。皆様ご無事でお帰りになります。兄様もコリュモも、ガレシュさんも」


 メキナハは強く言って、笑った。そうなるに違いない、何も心配いらない、と自分にも言い聞かせた。


「ガレシュか。あいつには、養女になったことを知らせたのか?」

「はい、お手紙を差し上げました。お返事もいただきました」

「何か言っていたか?」

「派遣が予定より長くなりそうだとのことでした」

「他にあったろ、他に」

「……秘密です」


 ガレシュはメキナハがセヌリューバの家の養女になったことを喜んでくれたが、手紙には、「と、いうことは、今度は主任とご両親に申し込みにいかないとならないのか」と書かれていたのだ。もちろん結婚の許可をだ。まだ付き合ってもいないのに。

 ん?まだって何だ?全く、どうかしてる。メキナハは頭を振ってガレシュのことを追い出した。


 それにしても、ヤデイニトコと衝突とは。メキナハは三国同盟の各国にジザ攻略の際知り合った人々がいる。彼の国の数人の知人を思い浮かべると、複雑で暗い不安がメキナハを覆った。




「キーナちゃん、リューバから聞いた?」


 セヌリューバの母で、当主夫人であるテーダカッゼもメキナハに声をかけてきた。


「はい……。衝突地域に派遣されるかもしれないと……」

「……あのね、シィトゥーハが帰ってきたら、皆でモッパートに帰らない?首都よりは国境から遠いし、ステキな港町なのよ。キーナは海を見た事がないって言ってたでしょ?広いのよー!ノジュもきっと喜ぶわ」


 それがいいかもしれない、とメキナハは思った。今後不安定になるかもしれない首都シデスラよりも、モッパートの方が幼いノゼンタにとって安全だ。



 テーダカッゼはメキナハがやってきた当初、メキナハを追い出す気満々だったようだ。

「だってノジュの遊び相手とか言って、本当は幼いノジュを手なづけて、ヤノマヤの後釜を狙ってるんだと思ってたんだもの」


 ヤノマヤとはセヌリューバの亡妻だ。もの堅いセヌリューバに添ってくれた彼女を、テーダカッゼは可愛がっていたらしい。また実際、後釜狙いに類する事を試みる女性も複数いたようで、孫を守るテーダカッゼとしては警戒せざるを得なかったのだ。


「でも仕事は続けたいとか、借りてる部屋に今後も住みたいとか言ってるって聞いて、ちがうのかな?って。会ってみたらまた小さくて可愛らしい娘さんだし、早まっちゃったかなって。ごめんなさいね」


 黙っていれば分からないのに、初対面でそう言われてメキナハは笑ってしまった。


「誤解が解けたならそれで十分です」

「ヨカッタ!キーナちゃん、念のため聞くけど本当にリューバを狙ってないのよね?」

「……テーダカッゼ様。率直に言うと私、結婚相手は初婚の方がいいです」

「……キーナちゃんは十九歳だったわね。若いからわからないかもしれないけど、人の魅力ってそんなところにはないのよ!」

「……そ、そうですよね」

「あ、だからって、リューバを狙っちゃダメよ」


 どっちなんだ、全く。なるほど、セヌリューバの過保護はこの人譲りというわけだ。メキナハは反応に困って周りを見回したが、使用人を含めその場の全員にそっと目をそらされた。


 そんなやり取りの後、テーダカッゼとは初対面からかなり打ち解けて話せるようになった。彼女には、もうメキナハのお母さんというよりはお婆ちゃんの方がしっくりくる年齢なので、むしろ名前で呼んで欲しいと言われてしまった。さほどかわらない歳のシィトゥーハは母さんと呼んでいるのに、と思いつつも、メキナハはテーダ様と呼んでいる。 


「テーダ様。トゥーハ兄様はいつごろお帰りですか?」

「とりあえず一度、リューバが出発しないうちに来ると言っていたわ。明後日くらいには着くと思う」


 それは好都合だ。メキナハは頷いた。


「では、私も当面の仕事を片付けてきます。テーダ様方がすぐにもお発ちになるなら、後から追いかけます」

「……そうねぇ、子連れの年寄りだから、どうしても動きが遅くなるわ。先に出発しておいた方が安全かもしれないわね。その辺りも、皆で話し合いましょう」


 微笑を残して立ち去るテーダカッゼの後ろ姿を見送りながら、彼女もこの突然の衝突に、ただならぬ気配を感じているのかもしれないと思った。

 さて、すぐにでもコリュモに会わなければならない。



 コリュモは不在だった。ルバイヤと会っているという。


(そりゃそうか……。頑張ったんだなあ、コリィ。先生を呼び出すなんて。邪魔したくない、したくないけど……!)


 事は急を要する。後で山ほど謝るから、許してほしい。


 コリュモが最近、よく行くという公園に行ってみると、やはり彼女はベンチでルバイヤと手を握り合っていた。やっとか、とメキナハが思った途端、彼女の姿を見て二人は慌てて手を離した。本当に申し訳ない、こういうのをなんというんだっけ、馬に食われるんだったか、犬に蹴られるんだったか。


「本当にごめん。コリィ、大至急クダツー副主任に渡りをつけて欲しい」


 そんな場合ではないが、この時のコリュモの表情はちょっとした見ものだった。





 呼び出されたクダツーは事務所にいて、イイタダイと深刻な顔で話し込んでいた。コリュモを通して面会を申し込んだのがメキナハと分かると驚いたが、彼女の切羽詰まった表情をしげしげと眺めると察しよく人払いをしてくれた。


 二人になると、メキナハは前置きもそこそこに本題に入った。


「単刀直入に伺います。クダツー副主任、騎士団の所属ではありませんね?諜報もしくは重罪犯罪の所属ではないですか?」


 彼は文字通り飛び上がった。


「誰から聞いた!?まさか主任が?!」

「そんなわけないでしょう?あの石より固いセヌリューバ様ですよ?」

「じゃあ、誰が……。シィトゥーハくんか?」

「違います。クダツー副主任の尾行の仕方でわかりました」

「尾行の仕方!?」

「はい、副主任は私を尾行していらしたでしょう?明らかに騎士様方とは違うやり方でした」


 雑だったけれど。メキナハは心の中で思った。


「つまり兄が二人とも承知しているのですね。長兄はともかく、次兄が、何故?」


 尾行が筒抜けだった上にシィトゥーハも自分の所属を知っていることを、わざわざ自らさらしてしまった、と悟ったクダツーはぐったりと座り込んだ。


「君と一緒だよ、察したんだ。彼に隠しごとをするのは難しい」


 クダツーは頭を抱えて愚痴りだした。


「私はそんなに能無しかなぁ、自分では割と優秀な方だと自負していたのに、民間人に次々と見破られるなんて。というか、君たちみたいな取り扱い次第では危険極まりない曲者が、主任の周りには多すぎる」


 曲者。こんな時だがメキナハは笑ってしまった。


「副主任のことですか?」


 クダツーが恨めしげにメキナハを見た。


「……で?確かに私は騎士団の所属ではないが、そんな曲者に何の用だ?」


 メキナハが彼女の考えを話すとクダツーは考え込んだ。


「わかった、よく話してくれた。すぐに動こう。君は、タノトにもオイノにも伝手があるだろう?」


 タノトとオイノはカイレー同様ヤデイニトコと国境を接している国で、両国ともメキナハは住んでいた事がある。


「はい、微力ながら私からも働きかけます」

「よし。そちらは君に任そう。ヤデイニトコには私が行く」

「えっ?!」

「ヤデイニトコの伝手とやらにも一筆頼む。それと、トーザッタにはイイタダイ捜査官をやるからな」

「えぇっ?!」

「そちらにも頼む。今夜にも発つからな、それまでに大至急頼む」

「……」


 何と機動力のあることか。しかしこれなら素早く対応出来そうだ。コリュモの邪魔をしただけのことはあったようだ。


「主任には全部話しておけよ。黙ってたら荒れるぞ、あの人。

 ……それはそうと、質問だ。私の所属はどっちだと思う?」


 クダツーが悪戯気に笑った。それで分かった。


「どちらでもないんですね……」


 ではどこか。そのどちらでもなく、どちらでもあるような部署。思い当たる部署はあるが、それ以上、踏み込まないのが身のためいうものだ。




「メキナハさん。何を企んでるの?」


 一時帰宅したシィトゥーハは、メキナハが一人黙ってカイレーを出ようとしていたあの時と、同じ表情をしていることに気がついた。


「企んでる?」

「企んでるでしょ。また一人で何かしようとしてる」


 シィトゥーハは珍しく真っ直ぐに自分を見るメキナハに驚いた。その表情に戸惑いとためらいが読み取れた。迷っているのだ、何かを。


「そうですね、企んでます。でも、シィトゥーハさんを巻き込んだら、リューバ兄様に恨まれてしまいます」


 巻き込む。やはり何か渦中にいるのだ。どうしてこの人ばかり。

 シィトゥーハはメキナハを見た。彼女はこの家に来てから、「シィトゥーハ兄様なんて長すぎますから」と言って彼をトゥーハ兄様と呼び始めた。だが彼が頑なに彼女を「メキナハさん」と呼び続けると、そのうち彼に呼びかける時だけシィトゥーハさんと呼ぶようになった。兄様と呼ばれなくなって嬉しくなったのと同時に、なにやら少し寂しく思ったものだ。メキナハは彼の視線をよそに考え込んでいる。


「私、腑に落ちないことが二つあるんです。一つはアーニーさんの件。この件は表面に見えているよりずっと複雑と推測してます。もう一つはヤデイニトコの件。これも何か裏があるはずだと思ってます」

「そうなのかな……?」

「そうだ、あともう一つありました。リューバ兄様のチームで捜査官の権限を持っているのは五人。所属の違うクダツー副主任を外せば四人。そのうち三人が国境に派遣されるなんてこと、あります?……続きはリューバ兄様を待ちましょう。」


 そう言うと、メキナハは呆気にとられるシィトゥーハを置いてどこかへと出かけてしまった。




 その夜、当主夫妻とセヌリューバ、シィトゥーハ、そしてメキナハが応接室に集まった。皆、一様に眉間に皺を寄せている。


「キーナ、また一人で先走っているね?」


 セヌリューバの声は尖っていた。しかしメキナハは怯まなかった。


「はい、少しでも早くと思い、当主様や兄様にご報告する前に動きました。申し訳ありません」

「あれほど動く前に必ず報告しろと言っただろう、何故待たなかった」

「一日の違いで手遅れになるからです、勝手に判断して申し訳ありません」

「しかも、断りもなくクダツーと接触するとは!何故だ!」

「万が一、兄様がクダツー副主任の所属をご存知なかった場合のことを考えました。そうだった場合の影響を思えば、先に動いて兄様に叱られる方が危険が少ないと思ったのです。兄様を信頼していなかったわけではありません」


 セヌリューバは一瞬、黙ったが、未だ怒りを滲ませたまま続けた。


「だがもし私が知らなかったら黙っているつもりだった?」

「クダツー副主任の任務を推測すると、お話しするわけにはいきませんよね?

 兄様、この一件が落着したら、食事抜きでも鞭打ちでも監禁でも罰を受けます、今は時間が惜しいのです」


 メキナハの言い分に、他の者は顔を見合わせるばかりだ。今まで彼女はどんな罰を受けてきたのだろう。


「……鞭打ちとか監禁とか、お前は私を何だと思ってるんだ。それで?クダツーは何と言っていた?」

「黙っていたら荒れるから、ちゃんと兄様に報告するように言われています」

「……あいつめ」

「副主任はヤデイニトコに向かわれました。タノトとオイノはそれぞれ国境軍を強化して、ヤデイニトコを牽制し始めました。下手をすると多国間で衝突が起きてしまいます。タノトとオイノに矛を収めてもらうには、ヤデイニトコがカイレーから撤兵してもらう他ありません。

 もう片方の火種のトーザッタには、イイタダイ捜査官が向かわれました」

「な、な、なんで?」


 シィトゥーハが口を挟んだ。


「ぼやぼやしてると、トーザッタが介入してくるからですよ、トゥーハ兄様」

「そうじゃなくて、そうだけど、なんでそんな国際問題に、メキナハさんが関係あるのさ」

「それはですね、この一連の出来事には、『落ち人』が絡んでいると思われるからです」

「……キーナ」


 それまで黙ってやり取りを見守っていた当主ヘッシガーキが、穏やかだが威厳あふれる声でメキナハを呼んだ。


「どういうことだか、最初から説明してもらえるかね?」


 メキナハは静かに頷いた。そして、養父となった人物の目を真っ直ぐに見た。



二章は全部で八話、三章までで完結の予定です。間に番外編を挟みます(多分)。

最後まで頑張ります!どうぞよろしくお付き合いください。

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