090 すぐには出来ないよね
17日目 PM 13:40 昼
《2日に一度の会議: 偶数日の予定、本日は無し。
一番権利者: 真々美。
アリムは目を覚ました。》
オルア 心の声
『クラスターの男の子って、男の娘ですよね。
こころが乙女で、かわいい。』
◇
真々美の執務室に、オルアが戻ってきた。
オルア
「ただいま、冬香は?」
絵美
「少し、横になっているわ。
アリムさんから受け取って来たかな?」
オルア
「はい、これです。」
オルアは使い古された短い算盤を取り出して見せた。
絵美
「そろばんね。
小型計算機があるから無用の長物ね。」
オルア
「確かに、これの方が便利ですよね。」
オルアは小型の電卓を取り出した。
どう見ても子供用に見える。
絵美
「ずいぶん可愛いものを持っているのね。」
オルア
「大人用のものは大きくてポケットに入らないですからね。
それに、音色を鳴らす機能が無くて、さびしいです。」
絵美
「なるほどね。
持ち歩くことを優先しているのね。」
オルア
「そんなところです。」
絵美
「ところで、オルアさんは算盤を使ったことがあるのかな?」
オルア
「無いですが、アリムの動画で使い方を学びましたから、足し算、引き算、掛け算、割り算の方法は分かります。」
※ 「サアロフィア そろばん」で検索すれば、GoGoGo社の動画サイトで出てきます。
絵美
「すごいわ。
じゃあ、どんな音色がするか聞かせてちょうだいな。」
オルア
「じゃあ、1から10まで、たし算しますね。」
パチッ、パチッ、パチッ、パチッ、パチッと、オルアは算盤を鳴らした。
絵美
「まあ、まあ、いい音ね。」
オルア
「そうですね。」
オルア こころの声
『でも、良くも悪くも感じないなあ。』
冬香
「オルア、戻ったのね。」
オルア
「ただいま。
冬香、どうしたの?
目が赤いわ。」
冬香
「そう?
あとで話すわ。」
真々美
「冬香、無理しないでいいぞ。」
冬香
「ありがとう。
もう目立たないわよね。」
真々美はやさしく冬香のほほに触れた。
真々美
「ああ、オルアとわたしにしか分からないぐらいには目立たなくなったぞ。」
冬香
「そう?
なら、誤魔化せるわね。」
オルア
「なにかあったの?」
真々美
「戻ってから話す。
シュウピンさん、メラニィさんとセーラさんを待たせているからな。」
オルア
「あの、話したいことがあるんだけれど。」
真々美
「長い話になりそうか?」
オルア
「そうね。
長くなるかもしれない。」
絵美
「オルアさん、その話は待てない感じ?」
オルア
「うーん、今夜に間に合えばいいので、待てると言えば待てるかも?
でも、夕方に帰るまでには話したいです。」
絵美
「それじゃあ、オルアさんの話は待ってくださいね。
真々美?」
真々美
「ああ、絵美、冬香、オルア 出掛けるぞ?」
真々美たちは、シュウピンさんたちが待つ場所に向かった。
◇
シュウピンさんたちは、会議室を用意してくれていた。
シュウピン
「絵美様、真々美様、冬香様、オルア様。
ようこそ、いらっしゃいました。」
メラニィ
「呼びつけてくだされば、伺いましたのに。」
セーラ
「お越しいただいて恐縮です。」
シュウピンさんは、いつもどおり無表情で何を考えているか分からない。
メラニィさんは、機嫌が悪そうだ。
セーラさんは、絵美様を前にして緊張しているようだ。
真々美
「忙しい所、時間を割いてもらって、ありがとう。
実は、3人に報告することがある。
アリムが目覚めた。」
シュウピン
「おめでとうございます。
大変、うれしく思います。」
真々美
「これだけだから、こちら側に来てもらうのも悪いと考えて、出向いてきたんだ。
邪魔をして悪かった。」
シュウピン
「いえいえ、邪魔どころか、うれしいですわ。
わたしたちの【遺伝子獲得権】をアリム様に対して使用したい件を合わせて、ご検討お願い致します。」
真々美
「ああ、シュウピンさんもメラニィさんも気が変わっていないということで良いか?」
シュウピン
「ええ、変わっておりません。
どうぞ、よろしくお願いします。
メラニィ?」
メラニィ
「わたしも、変わっておりません。
どうぞ、よろしくお願いします。」
真々美
「分かった。
セーラさんが遺伝子獲得権を実行できることは、まだまだ先の話だが、希望はあるか?」
セーラ
「まだ、分かりませんが、アリム様を希望できる人数制限はありますか?」
真々美
「絵美? どうなんだろう?」
絵美
「ナイトバインドは3人まで、
伍姫なら5人、
七曜なら7人
というところね。
さすがに、これ以上は無いから、セーラさんが希望するならば、七曜の残り1枠を手に入れる必要があるわ。」
セーラ
「7-5=2で、2枠あるはずですよね。
すでに、1枠は決まったのですか?」
絵美
「ええ、そうよ。
わたしが、1枠もらう予定だから、のこり1枠よ。」
セーラ 心の声
『絵美様までアリム様を評価していらっしゃるの?
ということは、ここにいらっしゃる6名の【女の人のクラスター】が評価している男性が、アリム様。
私自身の目で相手を探すつもりだったけれど、それは悪手ね。
わたしに人を見る目が無かったから、人生で苦労したのだから。』
セーラ
「あの、大変厚かましいことは、重重承知しています。
ですが、わたしもアリム様を希望したいです。
のこりの1枠に入れてもらうには、どうすれば良いですか?」
真々美
「じゃあ、のこりの1枠はセーラさんが予約ということで進めたいと思うが?
冬香、どうだろうか?」
冬香
「・・・」
オルア
「冬香、どうしたの?
いつもと違うわね。」
冬香
「オルアは、アリムに対する独占欲は無くなったの?」
オルア
「もちろん、あるわ。
1グラムも減っていないわ。」
冬香
「そうは思えないわ。
それとも、余裕が出来ただけなの?」
オルア
「たしかに、余裕はあるわ。
なんと言っても、3つ先の来世までナイトバインドしたからね。」
絵美 心の声
『それって有効かなあ?
まあ前例が無いから不明なんだけれど。』
メラニィ
「1つ聞いてもいいか?」
真々美
「ああ、どうぞ。」
メラニィ
「だれが、冬香様を泣かせたんだ?」
冬香
「えっ? どうして分かったの?」
メラニィ
「冬香様のことは、つま先から頭のてっぺんまで見ているから気付いて当然だ。」
真々美
「愛されているな。 冬香。」
冬香
「まさか、見破られるとは思わなかったわ。」
メラニィ
「冬香様、だれを排除すればいい?
教えてください。」
冬香
「えっ? それは、言えないわ。」
メラニィ
「誰かに脅されているのか?」
絵美
「わたしが原因よ。」
メラニィ
「たとえ、絵美様が相手でも、わたしは。」
シュウピンがメラニィの頭に、空手の瓦割を当て留めした。
作者の注釈
「寸止めは、1cmくらい手前で止めることです。
当て留めは当てるけれど、1mmも進めないという感じです。」
シュウピン
「メラニィ、落ち着きなさい。
というか、【怒気当て】を抑えなさい。
片方聞いて沙汰するな!
司法庁の副官なんだから、思い出してね。」
メラニィ
「分かったよ。
当て留めとは言え、痛かったぞ。」
シュウピン
「絵美様に無礼な態度を取ったら、痛いじゃすまないわよ。
前にも言ったけれど、わたしは欲張りだから、全部欲しいのよ。
真々美様、メラニィ、アリム様、全員欲しいのよ。
命を粗末にしないで。
絵美様、大変失礼しました。
なにがあったかを、お聞かせ頂けますか?」
シュウピンさんは疑問形で聞いてはいるが、意味的には、
「わたしが冷静でいられるうちに、早くお話しください。」
という意味だ。
真々美
「それはだな。」
絵美
「真々美、いいわ。
わたしが自分で話すわ。
わたしが、アリムさんと【愛情交換】したいと宣言したのよ。
立場的には、七曜のひとりね。
月曜日がオルアさん、
火曜日が真々美、
水曜日が冬香さん、
木曜日がシュウピンさん、
金曜日がメラニィさん、
土曜日がセーラさん、
そして、
日曜日がわたしこと絵美。
とは言え、11月の初めに私はカセイダード本星に帰ることになるけれど。
そのわたしの希望をオルアさんとアリムさんは受けてくれて、
真々美と冬香さんの了承を得たと思っていたんだけれど。」
冬香
「絵美様、続きは私が自分で話します。」
絵美
「でも、いいの?」
冬香
「はい、大丈夫です。
メラニィさんが心配してくれたおかげで、冷静になれました。
メラニィさん、わたしがね、アリムを絵美様と共有することは嫌だと泣いてしまったの。
真々美とオルアとわたしの3人だけのアリムで居て欲しいと思っていることを、絵美様に打ち明けたの。」
メラニィ
「そうだったのか?
でも、なあ?」
メラニィは、シュウピンの方を見た。
シュウピン
「そうね、変よね。」
真々美
「なにが変なんだ。」
シュウピン
「【ナイトバインド4 クローズ届け】が出ています。
ひとりだけのナイトバインドでも、他の女性と愛情できない状態になるのに、
3人がかりでナイトバインドしているのに、アリム様が絵美様と愛情することは不可能なはずです。」
メラニィ
「ナイトバインドは、女神様、つまり、融通が利かない小娘の加護の力の一つだ。
シクペリアで一番素敵な女性である白沢絵美様に誘われても、浮気する気にならないような強力なものであるはずだ。
そうでなければ、ナイトバインドに意味など無くなってしまう。
ナイトバインドした相手よりも数段格上のライバルが現れても、関係無いはずだ。」
絵美
「メラニィさん、わたしのことを、シクペリアで一番素敵な女性って評価してくれているのね。
うれしいわ。」
作者の注釈
「チータマルム星のひとの言葉で言うと、銀河系の外にある大宇宙のことをシクペリアと呼んでいます。
大宇宙 銀河系 太陽系第3惑星 チータマルム星 に相当する言葉が、
シクペリア オリガスト星系 カセイダード本星 です。」
オルア
「あのー、発言してもいいですか?」
シュウピン
「お願いいたします。
オルア様。」
オルア
「さっき戻った時に、アリムと話したんだけど、そのね。
絵美様、こころを落ち着けて、冷静に聞いてくださいね。」
絵美
「なあに、アリムさんからの伝言かな?」
オルア
「えー、伝言ではなくて、アリムが本音というか心情を話してくれました。」
絵美
「わたしとの夜が上手に過ごせるか心配しているとか、かな?
かわいいわねえ。
心配しなくても、優しくするわよ。
わたしのお胸で窒息するまで抱きしめるとか、そんな失敗はしないから安心してね。」
オルア
「えーっと、なんと申しましょうか?
そのですね。
本当に落ち着いて聞いてくださいね。
要するにですね。」
絵美
「もう、オルアさん、もったいぶらないで、はっきりと言ってよ。」
オルア
「絵美様との夜は、延期して欲しいそうです。」
オルア こころの声
『アリムが心変わりしたときに備えて、こういう表現が無難よね。』
絵美
「えっ? 延期?
御部屋の中ですることだから、雨天決行できるから、延期する必要がないわよね。」
絵美は予想外の反応に、正常さを失っているようだ。
手を離した風船が鉄アレイに変わって足に落ちたような驚いた様子を見せている。
絵美 こころの声
『なぜ、どうして、わたしのどこが不満なの?
わたしを愛さないひとは、いないはずなのに?』
真々美
「もしかして、アリムは体調不良で発熱して、頭がぼーっとしているのか?」
オルア
「真々美との夜は楽しみにしていると言っていたわ。」
真々美
「そうか良かった。」
真々美は本当にほっとして安心した表情を見せた。
真々美
「いや、そうじゃない。
どうして、アリムは絵美との【愛情交換】を延期したがるんだ。
絵美との【愛情交換】を望まないひとは、存在しないはずだ。」
オルア
「それがね、絵美様との間にはまだ何もないからだって。」
冬香
「それって、どういうこと。」
オルア
「うーん、アリムも上手く言葉にできなかったから、わたしの推測になってしまうんだけれど、
ひとことで言うとアリムは乙女なのよ。」
真々美
「アリムは男性だよな?
意味が分からない。」
オルア
「つまりね、たとえ話をする方が良いかな。
わたしたちの前に、一人のとても美形で背も高くて頭も良くて、人柄も良さそうな男性が現れたとしましょう。」
メラニィ
「オルア様、つづきをお願いいたします。」
オルア
「そこで、問題です。
わたしたちは、その男性と即日、お布団の中で、【愛情交換】をする気になりますか?」
絵美、真々美、冬香、シュウピン、メラニィ、セーラ
「「「「「「 絶対にならない。 」」」」」」
絵美
「少なくとも2年間は観察して、裏表がないか、精神疾患がないか確認したいわ。」
真々美
「怒った時に、暴力でうったえたり、【怒気当て】してくるものも、お断りだな。」
冬香
「一番無防備な姿をさらす相手だから、本当に信用できるか見極めないと。」
シュウピン
「わたしを大事にする気があるのか、だますつもりか吟味するまではダメです。」
メラニィ
「容姿が美しくても、こころまで美しいとは限らないからな。
嫌いな相手に対しては、非道なことをする輩もいるからな。
今現在、好かれているからといって、安心できない。」
セーラ
「本当にわたしを必要としてくれているのか?
それとも、たんに便利な存在と思われているとか?
もっと良い相手が見つかるまでの 【場つなぎ】 と見下してないか、とか?
じっくり確かめて、周囲の意見も聞いてからでないと、自分の直感がまちがっていることも考慮に入れないと。」
絵美、真々美、冬香、オルア、シュウピン こころの声
『メラニィさんとセーラさんは、【こころの闇】が深そうね。』
オルア
「アリムも同じようなことを考えていると思うわ。
真々美と冬香に思い出して欲しいんだけれど、アリムと【初めて触れ合ったとき】って、アリムの小説を読んで大笑いしたときよね。」
真々美
「そうだったな、私たちが大笑いして、アリムと仲直りの1分間の握手を求められたときだな。」
☆ アリム
☆ 「握手して欲しいにゃ。 そして、両手でやさしく包み込んで1分間続けて欲しいにゃ。」
☆
☆ 030 【挿絵】 アリムさんの小説を読ませて!
冬香
「そうだったわね。
わたしは求められた1分間、
オルアは3分間、
真々美は5分間
の握手でこたえたわね。」
オルア
「だからね、絵美様。
わたしたちも、アリムとは1分間の握手から始まったのです。
そして、時間を掛けて、海賊を装った敵の襲撃があって、明日の命が有るか無いか分からない状況だったから、出会って7日後に初めての【愛情交換】をしました。
それだけではなく、わたしは、ずっとアリムと一緒にいました。
おはようからおやすみまで一緒だったことが助けとなって、大急ぎで結ばれることができました。
ですから、絵美様、お願いいたします。
アリムに【絵美様を観察する日数】をあげて頂けませんか?」
絵美
「わかったわ。
わたしも同じくらいの日数を掛けて、アリムさんに私という人間を見極めてもらうわ。」
冬香
「アリム、うれしいわ。
ナイトバインドは、ただの儀式じゃなかったのね。」
メラニィ
「確かにな。
絵美様との【愛情交換】を延期したいという男性が存在するとは信じられない。
だが、そこがいいな。」
シュウピン
「メラニィ?
大変うれしそうだけれど、絵美様の気持ちも考えてあげてね。」
メラニィ
「もちろん、考えている。
そして、このことは絵美様にとっても、良いことだ。」
オルア
「えっ? どういうことですか?」
メラニィ
「アリム様の相手になるための参入障壁が極めて高いということだ。」
オルア
「参入障壁って、商売敵が参入しにくい仕組みを作る話よね。」
メラニィ
「参入障壁は、商売だけでなく恋愛にもあるものなんだ。
振られて相手にされなかった女性が悪い噂を流すだろう。
「あの男は女なら誰でもいいのか!」
って、自分が相手にされなかったことを棚に上げてこう言うんだ。
でも、実際のところは
「その男性の理想が高すぎて、相手にされなかった!」
ことを示している。」
絵美、真々美、冬香、オルア、シュウピン、セーラは真剣に聞いている。
メラニィ
「ということは、だ。
逆を言えば
恋愛相手として認めてもらうことは、とても大変なことであるが、
一度、恋愛相手として認められてしまえば、浮気される心配をする必要がないことになる。
つまり、アリム様は、とてもいい男性ということになる。」
オルア
「メラニィさんのいう通りね。
アリムは本当に魅力的よね。」
真々美
「たしかに浮気される心配がないと、安心して仕事に集中できるな。」
冬香
「でも、いま気付いたんだけれど、アリムの恋愛相手として認めてもらうためのハードルって、どんどん高くなるような気がするわ。」
シュウピン
「おっしゃる通りですね。」
メラニィ
「そうはならないと思うが、どうしてだ?」
シュウピン
「アリム様は、53年間も独り身だったわけです。
初めての相手に選ばれたオルア様は、カセイダード本星を含めて考えても、指折り数えて五本の指に入るぐらい素敵な女性です。」
オルア
「とても光栄ですわ。」
オルアは頬を赤らめた。
シュウピン
「さらに、真々美様と冬香様ともナイトバインドされたことにより、夢の中でさえ考えることができなかったハーレム状態に、アリム様はいらっしゃいます。」
真々美
「そのとうりだな。」
冬香
「私たち3人のような素敵な女性に囲まれることって、漫画や小説の中だけの話よね。」
シュウピン
「アリム様は、すでに非常に満足されているのではないでしょうか?」
真々美、冬香、オルア
「「「確かに、そのとうりだ。」」」
シュウピン
「4人目の相手に、白沢絵美様が選ばれてしまったら、わたし、メラニィ、セーラが、アリム様に選んで頂くことは不可能となってしまいます。」
絵美
「そんなことは、ないんじゃないかな?」
シュウピン
「いいえ、ちがいません。
白沢絵美様より上の女性は、シクペリアが広い世界とは言え、存在するはずがありません。
ライバルとして 太刀打ちできるような女性がいるとすれば それは女神様しかありえません。」
絵美
「シュウピンさん、それは、言い過ぎよ。
褒め殺しすぎだわ。」
メラニィ
「いいえ、絵美様、シュウピンのいう通りです。」
絵美
「そうかな?」
シュウピン
「という訳で、絵美様にお願い申し上げます。
わたし、メラニィ、セーラが、アリム様と恋人になるまで、アリム様と恋仲になることはお待ちいただけませんか?
絵美様なら、7人目の相手としてでも、アリム様と恋仲になれる可能性は100%です。
もちろん、すぐには【愛情交換】できないことは変わりませんが。」
絵美
「そこまで言われたら、わたしは7人目として、アリムさんにアプローチすることにするわ。
それでも、【愛情交換】以外のこと、ハグ、手つなぎ、腕組んで歩くは、チャンスがあれば実行してもいいわよね。」
シュウピン
「もちろんでございます。」
メラニィ
「結論として、アリム様のナイトバインドは効力を発揮していることが判明したな。
冬香様も、ひと安心。
にはならないかもしれないが、しばらくはアリム様を3日に1日は独占できるはずだから、徐々になれてもらうしかないな。」
冬香
「ええ、覚悟はしておくわ。
絵美様、取り乱して、すみません。」
絵美
「冬香さん、謝らないで欲しいわ。
わたしはね、冬香さんが恋する男性に出会えたことを、とてもうれしく思うわ。
【医学と真々美だけが恋人】
だと思っていたからね。」
冬香
「絵美様、サブシスのオルアも恋人ですわ。」
絵美
「ええ、分かっているわ。
でも、オルアさんをサブシスにしてから、12日しか経っていないわよね。
だから、医学と真々美だけが恋人だった期間の方がはるかに長いわよね。」
冬香
「そうでしたわ。
色々なことがあって、この数週間は密度が濃いものでした。
だから、何年も前から、オルアと姉妹関係を結んでいた気になっていました。」
◇
真々美
「では、邪魔したな。
わたしたちは帰るとしよう。」
シュウピン
「お待ちください。 真々美様。
モンテハート大公爵のコレクションから回収された3点の品々を見せて頂けませんか?
そして、どのような品物だったのかを教えてください。
ほかの品物を鑑定する助けになるはずですから。」
真々美
「わかった。 わたしが持っているペンのように見えるものが、【妖刀斬 紅丸】だ。」
真々美は、【妖刀斬 紅丸】をテーブルの上に置いた。
冬香
「わたしが持っている物は、【聴診丸】です。
むかしの聴診器として使われていたものです。」
オルア
「わたしが持っている物は、【音色の算盤】です。
昔の計算機です。」
シュウピン
「ありがとうございます。
じっくりと見ても構いませんか?」
真々美
「ああ、問題ない。」
冬香
「どうぞ、シュウピンさん。
メラニィさん、セーラさん、絵美様もご覧ください。」
オルア
「どうぞ、そろばんですから、弾いて計算されても構いません。」
シュウピン
「ありがとうございます。
では、失礼して。」
シュウピンさんは、【妖刀斬 紅丸】を、じーっと見つめていた。
穴が開くのではないか? というくらい注視していた。
妖刀斬 紅丸 こころの声
『視線が熱すぎる。』
14:50
◇
ほかの方が描かれているハーレムは、マンガと小説を問わずに上手く回って、主人公がただただ幸せにしか見えないことが不思議です。
【読者様へ】
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