082 真っ黒沢絵美? いいえ、暗黒の闇沢絵美です
本日は、朝の7時につづいて、お昼の12時にも公開します。
この082話が2本目です。
白沢絵美様のイメージが崩れそうです。
今回は、かなり残虐です。
◇
16日目 PM 13:00 昼
《2日に一度の会議: 偶数日の予定、16日目の分を本日実施済み
一番権利者: 真々美。
ただし、アリムが意識を取り戻す《20日目予定》までは、お預け状態。》
◇
まことに異例ではあるが、昼食は7人全員で食べた。
アリムのことが心配だと言うオルアの要望で、アリムが寝ているベッドのそばで買ってきた食事を食べた。
絵美
「セーラさん、つらかったわね。
よく言ってくれたわ。
でもね、わたしとメラニィさんだけでなく、ここにいる人たちは恐ろしく怖い存在だから。
あなたの指揮下に入ろうとしない雑魚たちなんて、かわいいと思えるようになるわ。」
絵美の笑顔が怖すぎる。
セーラ
「あ、あのう、それで、わたしはどうすれば良いですか?」
真々美
「絵美、どうするつもりだ。」
絵美
「オルアさんとセーラさんは、成り行きを見守っていればいいわ。
適度に泣き崩れたり、悲痛な顔をしてくれればいいだけだから、簡単よね。
話を合わせることに集中してくれれば演技としては最高ね。
敵をだますには味方から。
わたしや、真々美をののしる言葉を言える最初で最後のチャンスが来たのよ。」
メラニィ
「絵美様、何をされるおつもりですか?」
絵美
「私 暴れたい将軍という時代劇が大好きなのよね。
オルアさんは知ってるかな?」
オルア
「いいえ、知りません。」
冬香
「もしかして、ストレスが溜まって大暴れしても、爺やに叱られない悪者を探している将軍様のお話ですか?」
絵美
「冬香さん正解。
そうそう、あの将軍様よ。
自分のストレスをぶつけても怒られない相手を探しているあの将軍様。」
冬香
「決め台詞は、
よおし、今回も爺やに叱られずに済んで良かった良かった。
ですよね。」
絵美
「冬香さんが時代劇が好きだなんて意外だわ。」
冬香
「なぜか、あの頃の医療に懐かしい感じがするのです。」
絵美
「そうなのね、着眼点は違っても、おなじ番組を見てくれてうれしいわ。」
オルア
「失礼ですが、もしかして絵美様は、ウサ晴らしをする悪者を探してらっしゃるとか。」
絵美
「そんなことは無いわよ。 だって私、暴力は嫌いだから。」
真々美、冬香、オルア、シュウピン、メラニィ こころの声
『『『『『 うそだ、絶対に嘘だ。
モンテハート大公爵を成敗する時に本性が出てたような気がする!!! 』』』』』
セーラ
「分かります。
白沢絵美様は慈愛のイメージを持った純白で清廉潔白なお方に感じますわ。」
絵美
「セイラさんは、本当にいい子ね。
こんないい子を悲しませるようなことをするなんて。
行政庁の連中、お姉さん許せないわ。」
セーラ以外の者は、ぞーっと悪寒と恐怖を感じた。
◇
絵美たち一行は、行政庁に着いた。
オルアとセーラの
四天王として活躍する予定の4名と
四天王の補佐をする予定の4名を
呼び出して、個別に面談した。
絵美
「セーラさん、この8名についてだけれど、彼女らの中で一番偉そうにしているのは誰?」
セーラ
「この方が一番で、あの方が二番です。」
セーラーは写真を指さした。
絵美
「シュウピンさん、メラニィさん。
彼女たちのファーストとセカンドは、この二人で合っていますか?」
シュウピン
「合っていると思いますが、本質を見抜く力はメラニィの方が優れています。
メラニィ、あなたの感じた見解に私は賭けたいと思います。」
メラニィ
「この2人は所詮操り人形です。 裏にいるものはこの者とこの者です。
上の者から順番に、記号を付けましょうか?」
絵美
「ええ、お願いするわ。」
メラニィは、A1、A2、A3、A4、B1、B2、B3、B4と写真の余白に、油性ペンで記号を書き入れた。
メラニィ
「数字は、順位だ。
Aを付けたものは、退場してもらうべきだ。
オルア様やセーラでは扱いきれない。
Bを付けたものは、条件次第で寝返るだろう。
日和見菌のように情勢に流された働きをしてくれる。」
絵美
「真々美、どう思う。」
真々美
「裏表がある者たちは、移民審査船で討ち死にしたはずだが。」
冬香
「私たちの目を欺いていたなんて、信じられないわ。」
オルア
「ここにいる8人とも、善良でやさしそうな女性に見えるけれど。」
メラニィ
「小悪党と違って本当の悪は自分の手を汚さずに手下にやらせるものだ。
なかなか見抜けるものではない。」
シュウピン
「メラニィ、あなたがモンテハート大公爵に身を任せた本当の理由って、もしかして。」
メラニィ
「シュウピンの予想通りだ。
力なき正義は無力だからな。
百害あって一利なしだ。
今、私がこうやってこの場に居ることができるのは、彼の後ろ盾があったればこそだ。
彼は私が求めた対価を ケチらずに値切らずに すべてを払ってくれた。
そして、避妊具も正しくつけてくれた。
私に対してだけかもしれないが ベッドの上での彼は本当に紳士だった。
もちろん ベッドから出た後もな。」
絵美
「モンテハート大公爵にも良いところがあったのですね。」
メラニィ
「そうかもしれないし、そうではないかもしれない。
もし私が、モンテハート大公爵の本妻として、
子供を産む
と答えていれば、彼の人生も変わったかもしれない。
ただ、わたしは彼の子供が欲しいとは思えなかったんだ。」
シュウピン
「それは、どうしてなの?」
メラニィ
「オルア様をかばって大怪我をしたアリム様のように、
わたしを、すべてと言ってくれるひとでは無かったからだろうな。
俺にはメラニィしかいないんだ。
メラニィと一緒に居れるなら、すべてを捧げてもいい。
もし、そう言われたら、本当に困っただろうな。」
オルア
「どうしてですか?」
メラニィ
「私は男性が嫌いだからだ。」
オルア
「アリムのことは?」
メラニィ
「アリム様は例外中の例外だ。
それは、オルア様が誰よりも深く理解されているでしょう。」
オルア
「そうですね。
彼は男性であって男性ではない、そんな特別な気がします。」
◇
絵美
「それでは、処理を始めましょうか?」
真々美
「どうするつもりですか?」
絵美
「そうね、確認だけれど。
シュウピンさん、メラニィさん。
行政庁は、いったい何をするべき組織かしら?」
シュウピン
「立法庁が決めたことを全国民に反映させるための組織です。」
メラニィ
「司法庁が決めたことを全国民に反映させるための組織です。」
冬香
「もしかして、彼女たちは求められたするべき業務をしなかったってこと?
オルアの名誉回復のための証拠を集めてくれたのは、もしかして・・・」
メラニィ
「司法庁です。
行政庁は、忙しくて手が回らないとのことでしたから。」
オルア
「彼女たちにとって、わたしは守るべき国民ではないの?」
メラニィ
「自分の地位を脅かす存在を浮上させるわけがないだろう。」
オルア
「じゃあ、シュウピンさんとメラニィさんは、なぜ私の有利になるように動いてくれたのですか?」
シュウピンとメラニィは顔を見合わせた。
シュウピン
「それはですね。
オルア様が、真々美様と冬香様と名前呼び出来る関係を作ってくださったからです。」
☆ 面接責任者 《ウェン シュウピン》
☆ 「真々美様と御呼びしたいです。」
☆
☆ 面接準備者 《メラニィ オネスティ》
☆ 「冬香様と御呼びしたいです。」
☆
☆ 025 6日目 AM10時 面接担当たちの反応
オルア
「そんなにも、うれしく思ってくれていたのですか?」
メラニィ
「オルア様にとっては大したことでなくても、私たちにとってはとても大きなことなのです。」
シュウピン
「わたしは真々美様のために。」
メラニィ
「わたしは冬香様のために。」
セーラ
「仕事に私情を挟んでも構わないんですか?」
絵美
「プラス効果があることなら、許容範囲よ。
そして おふたりの行動は国益に適っている。」
冬香
「私情と言うものは、消しきれないものよ。
半分仕事 半分好意と思った方がいいわ。
私情でハラスメントをする者達に比べたら、シュウピンさんとメラニィーさんの行動は、美しいものだわ。」
真々美
「セーラさんも、いつの日か分かる日が来るだろう。
個人の感情を温情に温かいものに向けてくれたら嬉しい。」
セーラ
「はい、心がけます。」
◇
絵美
「メラニィさんがAを付けてくれた4名のうち、A1とA2のふたりを行政庁の長と副長にしましょう。」
メラニィ
「それならば、A3とA4を行政庁の長と副長にした方が良いでしょう。
そうすれば、A1とA2のふたりが闇から闇へ消してくれます。」
真々美
「そうなるものなのか?」
メラニィ
「ええそうなります。
内示を出しておけば行動に移すでしょう。
A3とA4は、この機会にA1とA2のふたりを消せば、自由に動けますから。
正式発表前に決めてくれるでしょう。」
オルア
「それから、どうなるの?」
セーラ
「わたしたちの昇格は立ち消えですか?」
絵美
「そうなるわね。
組織を掌握できないような弱者では困るからね。」
セーラ
「あんまりですう。」
セーラは大粒の涙をこぼしていた。
セーラ
「絵美様は、絵美様だけは信じられると思った私が馬鹿でした。」
メラニィ
「セーラ、これ以上、苦しまなくて済むと前向きに考えればいい。」
セーラ
「メラニィ様」
セーラは気を失った。
冬香
「うるさいから、鎮静剤を打ったわ。」
オルア
「冬香、あんまりよ。
セーラさんを、慰めてあげたっていいじゃない。」
真々美
「絵美様にくってかかって、殺されないだけマシと思って欲しいな。」
オルア
「真々美まで、そんなひどいことを言うなんて。」
絵美
「オルアさん、どこに行くつもりなの?」
オルア
「行政庁の連中を締めてくるわ。」
絵美
「手を出したら負けよ。
わたしたちがすることを黙ってみていなさい。」
オルア
「なにが、白沢絵美よ、真っ黒沢絵美だわ。」
オルアは、立ち去ろうとした。
真々美
「まて、オルア。
絵美には考えがあるはずだ。」
オルア
「わたしとセーラさんは行政庁にふさわしくないんでしょ。
セーラさんは預かるわ。
アリムと一緒に看病するわ。」
オルアは、セーラをお姫様抱っこして、退出した。
真々美
「絵美、オルアは純粋な子なんだ。
わかってやってくれないか。」
絵美
「ひとのことを、真っ黒沢というなんてね。」
冬香
「絵美様、オルアのハイシスである私からも、お詫びします。
どうか、お許しください。」
絵美
「暗黒の闇沢絵美と言って欲しいものだわ。」
メラニィ
「絵美様、もしかして。」
絵美
「オルアさんとセーラさんは天使のように純粋ね。
いいやつ悪い奴戦術のいいやつを担当してもらいましょうか?」
シュウピン
「ということは、Aの4人を暫定で行政庁の長と副長にされるのですか?」
絵美
「ええ、暫定でね。
任命したら、喜んで受けるでしょうが、なぜ王族が長を務めるのか思い知らせてあげましょう。」
冬香
「組織は、ナンバー2 《セカンド》で決まるから、シンボルとしてですか?」
絵美
「いいえ、真々美は分かるわよね。」
真々美
「冬香、いい線まで行っている答えだが、半分足りない。
責任はナンバー1 《ファースト》が取るんだ。
オルアの冤罪を放置し、真実を調べようとしなかった怠慢は重罪だ。
なんのために私が要職から男性を外したと思っている。
彼女たちは女性の身体を着た男性なのかと疑いたくなる。」
絵美
「メラニィさんは分かったようね。
シュウピンさんも分かったけれど、ありえないと思っているわね。
じゃあ、メラニィさんに解説してもらいましょうか?」
メラニィ
「恐れながら私が今考えているような腹黒いことを絵美様がお考えになっているとは思えないのです。」
シュウピン
「彼女たちが 行政庁の長と副長に 任命される。
そして、それを受けるということは 自分の死刑執行令状にサインをするようなものなのでしょうか?」
絵美
「正解よ。
真々美と冬香さんも分かったわよね。」
真々美
「うそだよな。 絵美。
わたしは絵美の上澄みしか見ていなかったのか?」
冬香
「わたしの中の絵美様のイメージが消えていく。」
絵美
「悪党どもに、こわい、おそろしいと思われない正義の味方は弱すぎて邪魔よ。
暗黒の闇沢絵美の恐ろしさを見せてあげるわ。
みんな、行政庁に行くわよ。
協力お願いね。」
メラニィ こころの声
『お貴族の世間知らずのお嬢様と思っていたが、なかなかどうして、女神様が存在すると信じたくなってきたな。』
シュウピン こころの声
『絵美様の視界に、もしも、あの頃の私が入っていたら、助けてもらえたのでしょうね。
オルア様、セーラ あなたたちは幸せ者よ。』
◇
筆者の注釈
本来なら、8人分の名前を考えるべきなんでしょうね。
A1~A4、B1~B4ではなくて、手を抜かずに。
14:00 昼
行政庁にて
絵美、真々美、冬香、シュウピン、メラニィは、A3,A4を呼び出した。
絵美
「あなたたちを行政庁の長と副長に任命するわ。」
A3
「お言葉ですが、支国王様からは、オルア様とセーラ様が任命されたはずです。」
A4
「わたしたちは、おふたりを支える所存です。」
真々美
「いくら絵美でも、越権行為だ。
ここは私が治める支国だぞ。」
絵美
「だまれ。 実力がない者を任命したと知ったからには修正の手を入れるしかないだろう。」
真々美
「ぐっ。」
絵美
「あくまで、内示だから書面を出せる日はかなり先になる。
準備に掛かってくれ。」
A3、A4
「「かしこまりました。」」
◇
A3、A4
「「わたしたちの時代が来たな。」」
A1、A2
「「なにがあった?」」
A3、A4
「「・・・」」
無視して通り去ろうとするふたり。
A2
「まあまあ、屋上で風に当たりながら話そうじゃないか?」
A1
「さあ、行こうか?」
A1とA2は、A3とA4の肩を抱いて、屋上に向かった。
屋上でA3、A4は白沢絵美様に内示をもらったことを話した。
A2
「辞退した方が良いのではないか?
重責に耐えられずに、飛び降り自殺でもされたら、友人として後悔してしまう。」
A1
「そうだな、もしくは、陰ながら、わたしたちが助力しても構わないが。」
A3
「いい気なものだな。
もう立場は逆転したんだ。」
A4
「これからは、わたしたちがあなたたちを顎で使ってあげるわ。」
A1とA2は下を向いて、涙を流した。
A1
「わたしの誠意が伝わらないなんて悲しい。」
A2
「わたしたちの友情は永遠だと思っていたのに。」
A3、A4
「さようなら~」
A1、A2
「ああ、さよならだ。」
A1、A2は、A3、A4を屋上から突き落とした。
◇
14:30
行政庁の下の道路が騒ぎになっている。
通行人A
「とつぜん、上からひとが降ってきたんだ。」
通行人B
「行政庁は、そんなにつらい業務なのか?」
15:00
絵美たちが集まっている部屋に、A1とA2が入ってきた。
A2
「A3とA4は、長と副長になれると張り切っていました。」
A1
「わたしたちも応援すると話したばかりだったのに信じられません。」
絵美
「おふたりは友情が深いようですね。
こんなことをお願いすることは、心苦しいのですが・・・」
A1とA2
「「いいえ、友の弔いのためなら、なんなりと。」」
絵美
「ふたりの熱い友情に、感動の涙が出てしまいますね。
彼女らに変わって、行政庁の長と副長を引き受けて欲しい。
いいえ、いまは、あなたたちも動揺されているでしょう。
落ち着いたころに改めて、打診しますね。」
A1とA2
「いいえ、友の弔いのためですから、迷いはありません。」
絵美
「そうですか、感謝します。
真々美、シュウピンさん。
A2さんを副長室に案内してあげてください。
わたしと冬香さん、メラニィさんで、A1さんに長の業務について話し合います。」
A1とA2 こころの声
『やった。』
◇
副長室にて。
A2
「ついにわたしがここに座るときが来たのですね。
副長としての責務を果たすことを誓います。」
シュウピン
「ええ、果たしてちょうだいね?」
シュウピンは、A2に殴りかかった。
殴られたA2は、真々美の方に飛ばされた。
真々美
「中段蹴り。」
真々美のキックが下腹部に入った。
シュウピンは、A2のくちをふさいだ。
シュウピン
「メラニィとわたしは、あなたたちに言いましたね。
セイラの昇格が気に入らないなら セイラと同じように 下腹部と性器を蹴り潰される苦痛に耐えてから言いなさいと。
その試練を断っておきながら セーラーの昇格を邪魔し、嫌がらせするとは何事ですか。」
A2
「うう、うーう。」
真々美
「シュウピンさん、ひと言くらい言わせてやろう。」
A2
「わたしは無視しただけで、嫌がらせはしていません。」
真々美
「そうなのか?
無視は嫌がらせではないのか?
見解の相違だな。」
真々美は、A2を蹴り続けた。
A2
「も、もう、やめてください。 ゆるして。」
シュウピン
「セーラはね、意識が無くなる直前まで蹴られ続けたのよ。
そして、最後までバリアのスイッチを守り続けたの。
あなたもセーラと同じ根性を見せてくれなきゃね。」
シュウピンは再び、A2のくちをふさいだ。
A2
「う、うう。」
シュウピン
「うるさいわ。」
シュウピンはA2の鼻もつまんだ。
真々美
「あー、足が疲れた。
事務仕事が多くて、腕がなまっていてな。」
真々美の中段突きが、ダンダンダンと3連撃で入った。
リズミカルに3連撃を繰り返した。
シュウピンは、A2の口から手をはなした。
A2
「おねがい、ゆるして。」
真々美
「無視は嫌がらせではないと言っていたな。」
シュウピン
「そのとおりですわ。」
シュウピンは再び、A2のくちをふさいだ。
A2
「うう。」
真々美
「これで、ひと通り内臓をつぶせたな。
男性と女性の区別がつかないな。」
A2
「びょ、病院に連れて行ってください。」
シュウピン
「無視します。
セーラを無視した過去の自分に文句を言いなさい。」
真々美
「シュウピンさん、返事をしたら、無視にならない。
だから、言うなら独り言にしてくれ。
こんなふうにな。
冬香がいたら助かっただろうが、冬香は別件に当たっている。
日頃の行いは大事だな。
飛び降り自殺した二人は、最後の力で、A1とA2の名前を書いて息絶えたそうだ。」
A2
「な、そんなはずはないはすだ。」
真々美
「語るに落ちたな。」
真々美、シュウピン こころの声
『非公開の監視カメラが屋上にあることを知らないのかしら。』
シュウピン
「セーラの副長就任に意義があるものは、
内臓と下腹部をつぶされてから言えという試練に挑戦しろ
という通達をしてある。
試練を受けずに副長になろうとした貴女を不満に思った大勢が貴女をリンチしたのね。
証拠も隠滅されているから、わたしたちが調査に入った時点で手掛かりは無かったわ。」
A2
「そんな酷すぎる。」
真々美
「オルアにあなたたちがしたことと何がちがう。」
A2
「どこから知ったのですか?」
シュウピン
「女神さまは見ていたのよ。」
真々美
「わたしたちが見つけたときは出血多量で手遅れでした。」
A2は息絶えたが、恨みがましい目で見ていた。
シュウピンは目を閉じさせてやった。
◇
そのころ、絵美たちは・・・
A1
「わたしは、行政庁の長としての責務を全うします。」
絵美
「うれしいわ。
任務を果たしてね。
貴女には期待しているわ。」
A1
「お任せください。」
冬香
「まず、最初の任務ですが・・・」
A1
「なんなりとおっしゃってください。」
冬香
「オルアの冤罪を調査しなかった責任を取ってください。」
A1
「いきなり辞表を出せとおっしゃるのですか、それはあまりにも。」
メラニィ
「白石冬香様は、責任を取るようにおっしゃったのだ。」
A1
「それは辞表を書いて辞めろという意味ではないですか?」
冬香
「責任を取るという言葉の意味は、オルアの人生に汚点を残し 損害をかけたことを賠償しろと言っているんです。」
A1
「いくら払えとおっしゃるんですか?」
冬香
「女の人のパートナー選択権の末端価格は、6億バーシルと言うことを知っていますね。
それを切り売りさせたのですから、100倍の600億バーシルです。」
A1
「そんな金額払えるわけがないでしょう。」
冬香
「行政庁の長としての責務を全うします。
と貴女が言ってから、3分も経っていないのだけれど、もう忘れましたか?」
A1
「なにをおっしゃっているかわかりません。
白沢絵美様からも 何かおっしゃってください。」
絵美
「誰も責任を取れないと分かっているから、貴女たちの中からは行政庁の長に選ばなかったのよ。
唯一責任を取れるひとは王家の者しかいないわ。
そして、責任が免除される唯一のひとが被害者であるオルアさんだったのよ。
あなたの罪は、国家反逆罪よ。
他の7人はゆるしますが、あなただけは許しません。
徹底的に詰めます。」
A1
「ご無体な!
ご乱心されたのですか?」
メラニィ
「白沢絵美様を始めとする王家の方々のご厚情を理解できなかった自分自身が乱心していることが分からないのか?」
冬香
「あなたの罪は、白沢絵美様が決めてくださるわ。
承認欲求と自己顕示欲が高すぎるあなたにとっては、とてもうれしいのでは?
もっと喜びなさい。」
A1
「ばかな、誰が喜ぶか?
わたしたち8人が実質的に行政庁を支配していることを忘れたのですか?
タダでは済みませんよ。」
絵美
「あなたはひき算ができないのですか?」
A1
「馬鹿にするな。
できるに決まっているだろうが。」
冬香
「あなたたちが二人屋上から突き落として殺したから、8-2=6人です。
もう忘れたのですか?」
A1
「あっ?」
冬香
「それと、副長室でひとり下腹部を蹴りつぶされて内臓と性器が破損で無くなっています。」
A1
「まさか? そんなことが。」
メラニィ
「セーラと同じ試練に挑戦しないで副長になろうとしたから、恨みを買ったのだろうな。」
A1
「くっ、それでも、まだ4人残っている。
私たちを排したからと言って、行政庁を思い通りにできるとは思うなよ。」
絵美
「その4人は私たちの味方になったわ。
貴女たちの悪事を証言してくれただけでなく、オルアさんとセーラさんに忠誠を誓うと言ってくれたわ。」
A1 こころの声
『油断させて、裏切るつもりだとも知らずに、いい気になっていろ。』
冬香
「オルアが好きなマンガに対象者の心臓に仕掛けをするという話があってね。
誓いを破ると心臓で血が凝固するようにしたわ。
そうしたら、涙を流して自己の行いを反省して、こころを入れ替えてくれたわ。」
メラニィ
「白沢絵美様は、貴方だけは許さないそうだ。」
A1
「いったい、いつの間に、4人を懐柔して裏切らせたんだ。」
絵美
「あなたたちが二人を屋上から突き落としている間に、かしらね。」
A1
「そんなことができたのか?
いやいや私の負けね。
今からでも忠誠を誓わせてもらうわ。」
絵美
「ご遠慮させていただくわ。
私たちには必要ないもの。
メラニィさんの言葉を聞いてなかったのかしら?
<<< あなただけは許さない! >>>
聞こえなかったの?」
メラニィ
「聞こえたら返事くらいしたら、どうだ。」
A1
「そこをなんとか!」
冬香
「なるわけないわ。」
絵美
「そういえば、光元国の法律は甘いわよね。
公開処刑はしないんですって。
でも、安心してね。
カセイダード王国では公開処刑があります。
あなたが処刑された後であなたの5親等以内の家族は全員、罰せられるわ。
ベーシックインカムで自宅封印される世の中でもこんなことする者がいるんだから思い知らせてあげないとね。」
冬香
「あなたの命は有効に使わせてもらうわ。
でも、生体部品刑はできないのよ。
だれも欲しがらないからね。」
A1
「うおおー。」
近くにあったゴミ箱を蹴とばし、絵美に殴りかかろうとした。
絵美はさっと身をかわして、一本背負いでA1を床に叩きつけた。
絵美
「久しぶりだわ。 手加減しなくていい相手なんて。」
絵美は仰向けで動けない相手の身体の中心線に沿って、踏みつぶした。
股間、おへそ、みぞおち。
絵美
「次は、首と頭なんだけれど、悲鳴が聞こえないと楽しくないからね。」
絵美は黒い笑顔をA1に向けた。
メラニィ こころの声
『暗黒の闇沢絵美様。』
冬香 こころの声
『暴れたい将軍。』
A1
「もう勘弁してくれ。」
絵美
「そうね。
公開処刑まで生きていてもらわないとね。」
絵美は笑顔を向けた。
◇
16:00 夕方
セーラ
「う、うう。」
オルア
「セーラさん、目が覚めたのね。」
セーラ
「オルア様、ご迷惑をお掛けしました。」
突然、国営放送の受信機の電源がついた。
アナウンサー
「司法庁の長である白石冬香様からの発表があります。
国民の皆さまは手を止めてお聞きください。」
白石冬香
「6年前の事件を皆さま覚えておいででしょうか?
ひとりの成人したばかりの女性が6人の男性を殺したという事件です。
モンテハート大公爵が裏で事件に関係していたことが分かりました。
当時、要職についていた男性達は全員がお役御免にされました。
その後を継いだ女性の要職者たちが冤罪を晴らすべく 調査するはずでしたが
その責務 を全うせずにいた事が判明致しました。
冤罪の女性の名誉を回復することもせずに、自身の地位の権力を維持することばかり考えていたのです。
そのうちの2人は良心の呵責から飛び降り自殺をしました。
また2人は自分たちが 行政庁の長と副長になろうとしていました。
本来、副長になる者は下腹部を暴漢に蹴り潰されながらも、移民審査船のバリアのスイッチを守ろうとした勇敢な女性でした。
この昇格に不服があるものは 同じ試練を受けてみろ!と通達していました。
その試練を経ずして副長になろうとしたことから不特定多数の恨みを買って殺されたものと判明しました。
そして、4人の協力者から証言が得られ 重大責任があるものは一人だけとなりました。
王家が指名した者の指揮下に入ろうとしないだけでなく、その者を無視し業務を邪魔するように裏で指揮していた者です。
国民を守るべき 行政庁に属しておきながら 子供のようないじめを 行っていたものだけは許せません。
この者は公開処刑となります。」
メラニィ
「全体、構え。
担当部位に照準を合わせろ!
反逆者を撃て!」
見学者たち
「わあーーー。
カセイダード王国では悪は滅びるんだ。」
白石冬香
「そして 残念なお知らせがあります。
今回の摘発に協力してくれた四名の方ですが 退職願が届けられました。
再就職の難しさ、そしてご家族への影響を配慮し、退職せずに職務を全うして頂くことになります。
罪を憎んで人を憎まず。
行政庁の腐敗を正す大きな助けになってくださったことを最大限に考慮しました。」
メラニィ
「行政庁が機能していなかったことから 関係者の給料を 減らすことになりました。
30%ダウンです。
大いに反省していただきたい。」
シュウピン
「立法庁からのお知らせです。
この度、冤罪を受けた女性 オルア サーパース 様の名誉を回復するため、王家の神殿に銅像を作ります。 女性の生と性を守るために戦ったオルア様は女神様の御意思にかなっています。
皆様も女神様の本願を忘れないでください。」
真々美
「カセイダード王国チータマルム支国の女王 中路真々美です。
改めて 行政庁の長と副長を任命します。
この度、名誉が回復された王家のオルア サーパースを長に任命します。
そして、移民審査船のバリアを命がけで守ったセーラさんを副長に任命します。
このふたりを、行政庁の腐敗を正すために尽力した4人が四天王として支えてくれます。
四天王から宣誓の言葉を頂きます。」
B1
「行政庁の四天王を代表して誓います。
オルア様、セーラ様を行政庁のトップとして、忠誠を誓います。」
真々美
「カセイダード王国チータマルム支国の行政庁の機能が回復したことを喜ばしく思います。
皆様もご存じのように、カセイダード王国チータマルム支国では、学校や職場にも警察が配置されています。
子供だから民事不介入、
職場だから民事不介入、
という言い訳は通用しません。
ご家庭におかれましても、孤児院におかれましても、いじめが公開処刑になりうる犯罪だと理解を進めてください。
以上です。」
アナウンサー
「行政庁の膿を出し切るためとは言え、30%の給与ダウンは重すぎるのではないでしょうか?」
解説者
「中路支国王様は、バランスを大事とされている御方です。
なんらかの救済処置を考えておられると予想できますね。」
アナウンサー
「予想の一番に考えられるものは何でしょうか?」
解説者
「もちろん、オルア様とセーラ様の行政庁のトップへの就任です。
四天王の代表者が誓われたように、行政庁の一員としての職務を全うし、冤罪の調査などに尽力してさえいれば、恩赦として、30%の給与ダウンを取り消しされると予想できます。」
アナウンサー
「とすると、近いうちに、±ゼロに戻るということですか?」
解説者
「そうです。
巧なバランス感覚と尊敬の念が止みません。」
アナウンサー
「副長のセイラ様についてですが 異例の大出世ですか問題ないのでしょうか?」
解説者
「移民審査船が襲撃された時 バリアのスイッチ を身を張って守ったことが高く評価されたのでしょう。
多くの人は、みんな自分の身が一番かわいいのです。
重傷を負うような痛みに耐えてさえ 他人の命を守ろうとする気高い精神が評価されたのでしょう。
私には到底真似できません。」
アナウンサー
「私は 痛がり屋さんですから痛みに耐えることはできません。
そのように考えると年齢ではないのですね。」
解説者
「おっしゃるとうりです。」
アナウンサー
「オルア様の行政庁の長への就任ですが、やはり王家の方だということが大きいのでしょうか?」
解説者
「冤罪の責任を取れる方という意味で王家の方が任命されたことが、まず一つです。
そして、当時21歳だったオルア様に生殖刑《6人出産》という大きな心身の負担が宣告された責任を取れる方は、はっきり言って誰もいません。
中路支国王と白石医師のおふたりが刑の執行を遅らせるための保証金を国費ではなく、個人の財産から支払われています。
この払わずにすんだお金に対して 国は 利子をつけて返さなければなりません。
そうなると国民の 税金が 50%から60%、もしかしたら70%に増える可能性があります。
しかし、オルア様が長となられた場合、被害者と責任を取るべきものが同じ方になります。
その結果、中路支国王と白石医師のおふたりは、保証金の元本だけを請求されることになります。
複利計算で、支払われた保証金の3倍をおふたりに返却するところだったことを考えると、大きな助けとなります。」
アナウンサー
「中路支国王は、そこまで考えて人事をされているのですか?」
解説者
「あの方は、チェスや将棋はとても弱いのですが、人事においては先の先の先まで思考をめぐらされておられます。 対戦者の方におかれましては、たまには接待で負けてあげたらどうかと提案いたします。」
アナウンサー
「わかりやすい解説ありがとうございました。
わたしたちは中路支国王の治世化で生活していることを女神さまに深く感謝するべきですね。
国民の皆様、ご視聴ありがとうございました。」
◇
オルア
「絵美様は映っていませんでしたね。」
セーラ
「中路支国王の立場を立てられたのでしょうか?」
オルア
「だれ? そこにいるのは?」
絵美
「わたしよ。 おどろかせたなら、ごめんね。」
セーラは、ベットから飛び降りて、臣下の礼の姿勢を取った。
セーラ
「絵美様、絵美様のおこころを読み取れず、申し訳ありません。
絵美様のことを信じられなかったことを、どうか、お許しください。」
オルア
「絵美様のことを、真っ黒沢絵美様などと、失礼な言葉を投げてしまいました。
絵美様、どうか、お許しください。」
絵美
「そうね、今度からは、暗黒の闇沢絵美様と言って欲しいわ。
その方が格好いいでしょ。
強力なラスボス感が出るわ。」
セーラ
「白沢絵美様、おゆるしいただきありがとうございました。」
オルア
「絵美様、おゆるしいただきありがとうございました。」
絵美
「ふたりとも頭をあげてください。
つらい思いをさせましたね。
ただ、世の中はきれいごとだけでは済まないのです。
オルアさんは、真々美と冬香さんから、
セーラさんは、シュウピンさんとメラニィさんから、
裏と言うか闇の部分についても習ってくださいね。」
オルア、セーラ
「「はい、ありがとうございました。」」
絵美
「よろしい。
それにしても、チータマルム支国の国営放送はレベルが高いわね。
解説者だけでなく、アナウンサーも素晴らしいわ。
ただ、ネタばれは控えて欲しかったけれどね。」
オルア
「30%の給与ダウンと、恩赦のことですか?」
絵美
「そうよ。
1ヵ月から3ヵ月は減給を味わってもらう予定だったのに、最長で1ヵ月しか引っ張れそうにないわね。」
セーラ
「就任と同時に恩赦ではないのですか?」
絵美
「1ヵ月に10%ずつ戻していく予定だったのよ。
3ヵ月も忠誠を誓うふりをしていれば、それが通常運転になるからね。」
オルア
「そんなものですか?」
絵美
「そんなものよ。
わたしは上手く説明できないから、冬香さんとメラニィさんの説明を受けてね。」
オルア、セーラ
「「はい。」」
絵美
「セーラさんは、シュウピンさんとメラニィさんが迎えに来るから、落ち着いたら、帰り支度してね。
と言っても、しばらくかかるだろうから・・・
ねえ、オルアさん、なにか作ってくれない。
お腹がすいたわ。」
オルア
「はい、絵美様、喜んで。」
セーラ
「オルア様、お手伝いできることは有りませんか?」
オルア
「じゃあ、頼むわね。」
3人は、ひとときの休憩と軽食を楽しんだのだった。
17:00 夕方
◇
こわいけれど、頼りになる上司ですね。
勧善懲悪なんて、時代劇の中だけの話と思っていました。
カセイダード王国チータマルム支国の未来に、乾杯!
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