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072 オルアの想い、オルアの過去

 最新話まで読み続けてくださっている方々ありがとうございます。

 アクセス解析に数字が出ているので分かるのですが、うれしいです。


 WEBブラウザ の ブックマークだけでなく、

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 真々美が、姉妹関係の儀式《第4段階の1》を越えようとしていたころ、オルアは・・・



 オルアは、病室でアリムの顔をのぞき込んでいる。

 アリムの護衛をするはずだったのに、油断したために守れなかったばかりか、逆に守られてしまったことに深い後悔をしていた。


 アリムの意識は、まだ戻らない・・・


オルア

「アリム、あなたと初めて出会ってから、まだ14日間しか経っていないんだね。


 不思議だよ。 どうしてだろう。

 もう3年間くらい一緒(いっしょ)に過ごしたような(した)しさを感じるわ。


 真々美と冬香に出会った日は約6年前だけれど、同じくらい こころの距離が近い気がするわ。」



 オルアは静かに涙を流して泣いていた。



オルア

「わたしが、どうして、アリムの専属メイド兼教育係になったのか?

 本当の理由を話さなかったわね。


 それを言うと、あなたが付け上がってしまうとか、見下してくるとか、そういう懸念(けねん)や心配もあったわ。


 でも、途中から変わってしまったわ。


 アリム、あなたに嫌われたくなかったからなの。」



 オルアは、覚悟を決めた表情をしていた。

 それと同時にズルをして、ごめんね。 という表情も見せた。

 複雑な心境のようだ。



オルア

「初めて会ったときは、胸の谷間を見せつければ、簡単に(とりこ)にできると思ったわ。


挿絵(By みてみん)

☆   005 オルアさんと、わたしの新しい名前


 事実、胸の谷間に、あなたの熱い視線を感じていたわ。


 でも、理性で、胸の谷間から目線を移動して、わたしの目をウソ(いつわ)りなく見る努力をしたあなたが、少し、そう、ほんの少しだけ、

 「良いな。」

と思えたの。


 わたしね、波太郎(なみたろう)というマンガが大好きなの。


 そのマンガに出てくるセリフや人をからかう描写(びょうしゃ)が好きで、現実で真似しても怒らずに、

 『上手(じょうず)に返答してくるひとがいいな。』

と思っていたの。


 普通なら、大激怒するはずだったんだけれど、アリムは(ちが)ったね。


 その方が(らく)みたいに言ってくれて、わたしの不安も消えていったわ。


 まるで、古くから同じ趣味を持っていて、気が合う友達のような感じでした。」



 オルアの表情が真剣になった。



オルア

「わたしは、6人の男性を退場(たいじょう)させました、この()からね。

 1対6 の戦いだったうえに、守らなければならないひとが居たから、確実に倒すために手加減できなかった。

 戦闘力を(うば)いきれなければ、私まで(おか)されてしまうから。」


 オルアは当時のことを思い出していた。


オルア

「ひとりの若くて美しい女性が6人の男性に輪姦(りんかん)されていたの。

 6人の男性が代わる代わる女性を(おか)していたわ。


 しかも、彼らは覆面(ふくめん)をしていなかった。


 つまり、男性の遺伝子(いでんし)を出すだけ出したら、その女性をこの世から退場させるつもりだと分かった。


 もちろん、警察も呼んだわ。

 でも、到着するまで10分かかると言われた。


 すでに、2周目が済んで、3周目に入ろうとしていた。


 人間のオスどもは言っていたわ。

「終わったら、天国に送ってあげるよ。

 次は、君の姉さんも同じように可愛がってあげよう。

 終わったら、欲しい部分だけ切り取って、残りは燃やすから安心してね。」


 その言葉を聞いた瞬間、わたしの身体を

   【(くれない)の剣士】

が乗っ取って、人間のオスどもを切り倒す姿が見えた。


 まるで、上から見ているような感じだった。


 わたしは、(なぐ)って()って退場(たいじょう)させるつもりだったのよ。」



 オルアは、やや納得(なっとく)が行かない表情(ひょうじょう)をしていた。



オルア

「警察が着いたときには、()(たお)された6体の人間のオスと私しか居なかった。

 被害にあった女性は、いつのまにか消えていた。


 あ、ごめんね。


 さっきから、人間のオスって言っているのは、愛情交換(あいじょうこうかん)欲求(よっきゅう)()たすことしか考えられない迷惑(めいわく)な男性のことよ。

 動物以下よ。 あんな連中は。


 自分の子孫を残したいのではなく、その場限(ばかぎ)り、スッキリできたら満足という自分勝手な生き物だからね。」



 オルアは深呼吸をして、自分を落ち着かせていた。



オルア

「私は警察に連れていかれた。

 警察が現場を調べても、オスどもが()れ流したはずの男性遺伝子(いでんし)も、犯された女性の(あせ)などもなかった。

 女性に関係するものは、髪の毛の1本も落ちてなかった。


 そんなはずがないのに!


 そして、わたしの精神鑑定が行われたわ。

 妄想癖(もうそうへき)がある精神(せいしん)異常者(いじょうしゃ)として扱われたわ。


 わたしは孤児院(こじいん)あがりで肉親と言える保護者もいなかった。

 だから、わたしの弁護は、国が選んだ日銭稼ぎの五流(ごりゅう)弁護士が付いた。

 当然(とうぜん)、わたしを守る気など1mm(ミリ)()かった。


 ただ、裁判(さいばん)を長引かせて、少しでも多く(かせ)ぎたいだけと分かったわ。」



 オルアの顔が怒りで、みにくく(ゆが)んでいた。



オルア

「あのオスどもを切り殺した凶器(きょうき)

  --切り口から判断して、かなりの切れ味(きれあじ)名刀(めいとう)と判断された--

が発見されなかったから、わたしが犯人にされることは無いはずだった。


 それにしても、あの【(くれない)の剣士】は、どこに消えたんだろう。


   ???

   「・・・(まる)ー、どこにいるの? 戻ってきて!」


   【(くれない)の剣士】

   「ああ、もう済んだ。」


という会話が記憶に残っているわ。」



 オルアの顔が怒りで、さらに、みにくく(ゆが)んでいた。


 

オルア

「警察は自分たちの面子(メンツ)というか面目(めんもく)を守るために、わたしを犯人に仕立て上げようとしたわ。


 光元国(ひかりもとこく)の週刊誌やテレビのワイドショーに相当する団体が、わたしの顔写真や動画などを公開して好き勝手、書きなぐって、私の名誉(めいよ)棄損(きそん)し、傷付けて、泥だらけにしてくれたわ。


 今、思い出しても、腹が立つ。


 でもね、そんなとき、面会(めんかい)に来てくれたひとたちがいたのよ。」



 オルアの表情が(おだ)やかで優しいものに変わった。



オルア

「真々美と冬香よ。


 チータマルム支国王になって4年目の中路(なかじ)真々美(ままみ)

 医師として独立したばかりの白石(しろいし)冬香(ふゆか)よ。


 ふたりは同じ日に面会に来てくれた。


 そのときは、二人はまだ知り合っていなかったから、別々の時間に面会したわ。


 あとで聞いた話だと、面会の待合室で同じ雰囲気(ふんいき)を感じて、

  「面会が終わったあとで、ゆっくりと話したい。」

一緒(いっしょ)に帰って私のために協力してくれたそうよ。」



 オルアは、ほっとした表情をしていた。


オルア

「わたしの弁護士は冬香が雇ってくれた弁護士に代わったわ。

 表向きの依頼主は冬香、そして、お金を出してくれたのは真々美。


 支国王が表立って動くわけに行かないから、

   冬香が(おもて)というか日向(ひなた)で、

   真々美が(うら)というか日陰(ひかげ)

動いてくれた。」


 オルアは、無表情になった。


オルア

「それでも、わたしは無罪にはならなかった。


 輪姦されていた女性は見つからなかった。

 監視カメラがあるはずなのに、その当時だけ録画されていなかった。

 まるで誰かが意図的に操作したかのように、故障していたり、残量不足だったり、とにかく機能していなかった。


 その結果、わたしが妄想癖(もうそうへき)から人を殺したと結論付けられた。


 わたしは、生殖刑(せいしょくけい)として、6人の子供を生まされることになった。


 それも、高齢になっても相手を探せない魅力不足(みりょくぶそく)の下位の男性に(たね)()けされて、人生の大部分を(うば)われることになった。


 そのときのわたしは、本当の21歳だった。」


※作者の注釈 オルアたちは若返っています。

☆   008 原因不明? 救いのコモンルーン

☆   010 真々美、冬香、オルアとスリーカー


オルア

「アリムに会うまでの6年間は、真々美と冬香が守ってくれたおかげで、のらりくらりと逃げ続けることができた。


 しかし、さすがに遅すぎる。

 すぐにでも生殖刑を実行するべきだ。

 実行されないなら、生体部品刑にすべきだ。

ということになって、わたしは移民審査船に乗ることになったわ。


 アリムが相手と決定されるまでは、毎日、悪夢にうなされていたわ。

 それでも、真々美と冬香に、これ以上、迷惑をかけるわけには行かないから、覚悟を決めたの。」


 オルアは、何かを思い出したようだ。


オルア

「信じられないと思うけれど、モンテハート大公爵は、わたしの裁判が有利になるように応援してくれたわ。

 尽力(じんりょく)とも言うわね。


 彼がいなかったら、

   精神異常者との生殖を望むものなどいない、即、生体部品刑にするべきだ。

となって、わたしは今頃、切り刻まれていたでしょうね。


 彼のおかげで、わたしの刑は、

   生殖刑《6人出産》

と決まったわ。


 生殖刑の相手候補には、モンテハート大公爵が第1位に上がったのだけれど・・・


 彼は、何人もの女性と関係を持っていたから、失格だったのよ。


 もし、彼がアリムさんのように孤独(こどく)な独り身だったら、わたしは、モンテハート大公爵を選んでいたわ。

 うふふ、焼きもちを焼かないでね。

 そうならなかったんだから!


 ただ、彼の裏の顔を知ったときは、選ばなくてよかったと強く感じたわ。


 彼のライバルになりそうな男性に対する残虐(ざんぎゃく)さと、

 女性の体力と気力を奪って、女性を支配して喜ぶ性癖(せいへき)を知ってしまったからね。」



 オルアは、懺悔(ざんげ)告白(こくはく)が終わったかのようなスッキリとした表情を浮かべていた。


オルア

「わたし、ずるいよね。

 本当なら、アリムが起きて意識があるときに言うべき話なのにね。


 でもね、わたし、あなたを(うしな)いたくないの。


 子供を思う親よりも強く(はげ)しいレベルで、アリムのことが大事なの。


 だからね、

   卑怯(ひきょう)と言われようが

   公正でない(アンフェア)と言われようが

アリムを手放したくないのよ。


 一生どころか来来世になっても、本当のことは言えないね。」



 オルアは、上着のポケットから口紅(くちべに)を取り出した。


オルア

「本当は、お互いの名前を入れ墨(タトゥー)にして身体に入れたいところだけれど・・・


 女神さまは不可(ふか)(ぎゃく)的な行為を禁止されているの。


 パートナーとは

  常に別個の意志ある人格として尊重し、

  (わか)れの時が来た時には手土産を持たせるように、

という指針(ししん)があるの。


 だからね、マジックで書いたら、しばらく消えないから、禁止だけれど・・・

 口紅(くちべに)は大目に見てね。」


 オルアは、アリムの服を脱がせて、胸の中央、鎖骨のすぐ下あたりに、

口紅で自分の名前を書いた。


 Allrounahオルア


 そして、オルアは服を脱いで、アリムの右手に口紅を持たせて、自分の胸の中央、鎖骨のすぐ下あたりに、

口紅でアリムの名前を書いた。


 Alimアリム


 オルアは口紅を枕元に置いて、アリムの右腕を抱き寄せた。


オルア

「おやすみ、アリム。

 おはようからおやすみまで、いっしょにいましょうね。」


オルアは、そのまま眠りについた。





 場所が変わって、温 秀平(ウェン シュウピン)の寝室


温 秀平(ウェン シュウピン) こころの声

『わたしの愛しい妹 (シャー)、あなたの(かたき)()ったわ。


 明日、オルア様に御礼を言うわ。

 大変遅くなりましたけれど、

   愛しい妹を助けてくれて、ありがとうございました。

って。


 そして、あなたに似ている 莎拉《Shālā、セーラ》 のことも面倒見るわ。

 あなたを忘れないためにね。


 うん、大丈夫よ。


 今の私には、メラニィがいるから(さみ)しくないわ。

 安心してね。


 (シャー)、あなたに幸せな来世がありますように!』


メラニィ・オネスティ

「シュウピン、眠れないのか?」


シュウピン

「そうね、眠れるようにしてくれる?」


メラニィ

「まかせておけ。

 気がついたら、朝にしてやるぞ。」


シュウピン

「うれしいわ。」


 シュウピンは、長年の目標を果たせて、心地よい疲れの中にいた。

 そして、新たな幸せな疲労を感じようとしていた。



※作者の解説 (シャー)は、「かすみ」で漢字変換できます。


 早くアリムさんに目覚めてもらわないと!


2024年 1月12日時点

総合PV

 4,857


ユニークアクセス(※ユニークのみおよそ2日遅れ)

 1,792人


 ご愛読ありがとうございます。


 まだまだ続きます。



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