062 13日目 冬香、一番大事な女性
絵美様、間に合って!
しかし、カセイダード王国の本星の最新型宇宙船でも1週間かかる距離に、真々美たちがいるチータマルム星があります。
それでも、なんとかして、主人公でしょ!
◇
13日目 PM13:10 昼
《2日に一度の会議: なし、
第3回襲撃予測日: 本日の昼 300名
一番権利者: 真々美 昨日の夜が流れたため。》
敵兵が現れた。
バリアが無いことを良いことに、接舷された敵船からも空からも敵兵が降ってきた。
冬香
「前方の船首に150名。
反応からして、
特殊防御服 プロトタイプ《省エネタイプ》 50人
そして、未知の反応だから、
特殊防御服 強化タイプ《常時発動タイプ》 100人。
後方の船尾にも、未知の反応だから、
特殊防御服 強化タイプ《常時発動タイプ》 150人。」
真々美
「ついに来たか。
冬香、オルア、アリム、覚悟は良いか?
うん、他にも反応があるぞ?」
冬香
「これらは、うちの警備兵たち?
無茶よ、無駄死だわ。」
◇
前方の船首にて
警備兵隊長 その1
「このまま、怪我して生き残っても、恥をかくだけだ。
少しでも、敵兵を減らすぞ!」
警備兵
「おおー。」
しかし、敵兵に10分も持たずに殲滅されてしまった。
150人 vs 10人
で人数で負けているうえに、防護服でも負けていれば勝てないよね。
敵兵たち
「おれたちは無敵だあ。」
◇
後方の船尾にて
警備兵隊長 その2
「帰国後の立場を弱くするわけには行かない。
少しでも、敵兵を減らすぞ!」
警備兵
「おおー。」
しかし、敵兵に10分も持たずに殲滅されてしまった。
150人 vs 10人
で人数で負けているうえに、防護服でも負けていれば勝てないよね。
敵兵たち
「おれたちは無敵だあ。」
◇
真々美
「彼女たちにも良心はあったのだな。」
冬香
「というよりは帰国後に自分たちがしてきたことを仕返しされる恐怖が勝ったのでしょうね。」
オルア
「どういうことなの?
それに、二人とも少しも悲しそうじゃないわ。
どちらかというと、便秘が治ったような清々しい顔をしている。」
真々美
「彼女たちはな、女の人のクラスター認定を得たことが不正かと思えるような裏表がある連中だったんだ。」
オルア
「裏表って、コイン《貨幣》じゃあるまいし。」
冬香
「自分たちよりも立場が強いひとたちには遜るけれど、自分の方が立場が強いと分かれば、態度を豹変させるひとたちなの。
わたしたちが見ていなければ、モラル、セクシャル、パワーなどのハラスメントを「やりたい放題」になるところだった。
だから、移民審査船に連れてきたのよ。」
真々美
「そして、事故という名誉を損ねない形で、ご退場いただく予定だった。」
オルア
「そんな事情があったなんて。」
アリム
「ボクの昔の上司たちに、真々美と冬香の爪の垢を薬として煎じて飲ませたいよ。」
真々美
「最後だから厳しいことを言うがな、アリム。
そのような上司や同僚を信じて頼ったアリムにも落ち度がある。」
冬香
「そうよ。
己こそ己の寄る辺。
己をおきて誰に寄る辺ぞ。
真々美とわたしがお互いに信頼している理由は、肌を重ねて、お互いの恥ずかしい姿を見せあう仲まで発展できたからよ。
そうでなければ、他人なんて、信用できないわ。」
アリム
「そうだね、ボクが甘かったよ。
その意味で姉妹関係は良い制度だと思うよ。
光元国でも、兄弟関係の制度が欲しかった。」
真々美
「アリム、ただし、わたしたちに出会ってからの貴方は輝いているよ。
わたしたちにさえ頼ろうとはしなかったのだからな。
アリムが全精力をかけて、【正性知識 2000】を覚えた姿勢こそ、頼りになる自分を作るという大事な心構えだ。
アリムをナイトバインドできたことを誇りに思うぞ。」
冬香
「わたしもよ、アリム。
そして、裏表がない不器用なところも素敵だわ。」
オルア
「当然よ、わたしが良いと思った初めての男性だからね。」
アリム
「ありがとう。
話を変えるけれど、
特殊防御服 強化タイプ《常時発動タイプ》 150人が来ている後方の船尾には、ボクに行かせてほしい。
正性知識 1600は通用すると思うから。
そして、オルア。
頼り切って申し訳ないけれどボクの護衛をしてくれませんか?
正性知識 1600で倒せなかった敵に対して、ボクは無力だから。」
オルア
「もちろんよ、
カセイダード王国についたら、肉弾戦も教えるね。
それとも、ナームさんに習ったから不要かな。」
アリム
「そんなことないよ。
ものすごく必要だよ。
習ったという記憶があるだけで、なにを習ったのか思い出せないんだ。」
オルア
「じゃあ、1から鍛えてあげるわ。
真々美、冬香、わたしたちは船尾に行ってくるわ。」
真々美
「頼んだぞ。」
冬香
「気を付けてね。」
アリム
「真々美、冬香、正性知識1200が防がれたら逃げてね。」
真々美
「ああ、分かった。」
冬香
「無理はしないわ。」
◇
後方の船尾にて
オルアとアリムは、敵兵の集団と遭遇した。
敵兵たち
「オルアがいるぞ。
たしかに美しいな。
味見くらいさせてもらおうか?」
オルア
「寄るな。
男風情が。」
敵兵たち
「オルアちゃーん、元気ですねえ。
おにいさんたちが可愛がってあげますからね。」
オルアは【怒気当て】を放ったが、特殊防護服に阻まれて、効果が無かった。
常に、正性知識を無効化する気流をまとっていることで防御できたようだ。
敵兵たちが性欲にまみれた煩悩をまき散らしていることを確認したアリムは叫んだ。
アリム
「アリム 正性知識 Sixteen Hundred 《1600》」
敵兵たち
「オルアさんは、結構スケベだねえ。
可愛い声が止まらないねえ。
がまんしなくていいんだよお。」
敵兵たちは、ほぼ全員が寝転がっている。
そして、腰を動かして、男性遺伝子のにおいを吹き出していた。
オルア
「アリム、これって、どういうこと。」
アリム
「敵兵たちは、自分たちの妄想の中で、オルアに愛情交換の欲求をぶつけているんだよ。
現実的に考えて、オルアと仲良くなれることは無いという冷静な判断ができなかったんだろうね。」
オルア
「へえ、楽勝じゃない。」
アリム
「オルア、残心。
敵を倒した後も油断しないで。」
オルア
「アリムは心配性ねえ。
もっと自信を持ったら?
とても強い私がそばにいるんだから、安心してよね。」
勝利を確信したオルアがクルリとバレリーナのように回って踊ろうとした。
敵兵
「今だ!」
敵兵は銃剣を放った。
銃の先に剣がついたものではなくて、弓銃が矢を飛ばす代わりに、短剣を打ち出すタイプだった。
アリム
「オルア、あぶない。」
アリムは、オルアに体当たりして突き飛ばした。
オルア
「アリム、痛いじゃない。
いきなり、なにするのよ!」
オルアは怒って、アリムが居た方を見た。
アリムの背中に短剣が刺さっている。
オルア
「アリム?
うそ?
どうして?」
敵兵
「ざまあみろ、お前のように変な奴がオルアのように美しい女性のそばにいることが身分不相応なんだよ。」
敵兵はヘルメットを投げ捨てて、オルアにせまった。
敵兵
「生まれてきて、ごめんなさい
というまで殴りつけてやる。
ちょっと美人に生まれたからといい気になりやがって。」
オルア
「最低ね。
卑怯者。」
敵兵
「その生意気な言葉遣いを、できなくしてやるう。」
オルア
「【圧殺】」
敵兵は息絶えた。
オルア
「特殊防護服が無ければ、なにもできない。
そのことを忘れていたのかしらね。」
オルアは、アリムを抱きかかえた。
オルア
「アリム、なぜ、わたしの身代わりになったの?
これから、カセイダード王国で幸せになれるはずだったのに。」
アリム
「オルアのいない世界で、53年間も生きてきたんだ。
オルアのいない世界に、意味や価値は無いよ。
オルア
だい、す、k・・・」
オルア
「アリム、最後に大好きと言おうとしてくれたのね。
わたしも大好きよ。
待っててね、アリム。
動かすと余計危ないから、冬香を連れてくるね。
冬香が来てくれたら大丈夫だから、それまで生きていてね。」
オルアはアリムを優しく寝かせて、冬香のもとに行こうとした。
グサリ!
オルアの背中に短剣が刺さった。
オルア
「どうして?
敵兵の気配は感じなかった。」
オルアが短剣が飛んできた方向を見ると、小型の戦車の上にどくろの頭をつけたようなロボットのような機械があった。
ロボットのような機械
「ラストワン賞、おめでとう。」
オルア
「機械だからか。
Tegutosu」
オルアが放ったエネルギー光点を受けて、ロボットのような機械は、破壊された。
オルア
「ごめんね、アリム。
冬香を呼びに行けない。
デバイスを使うと数が多い敵の方が先に着いてしまう。
最後まで、そばにいさせてね。」
オルアは身体の出血箇所を抑えながら、アリムのところに戻ってきた。
アリムの手を握って、オルアは静かに目を閉じた。
◇
船の前方 船首にて
真々美と冬香は、敵兵と戦っていた。
真々美
「真々美 正性知識 Twelve Hundred 《1200》」
敵兵50名を倒した。
冬香
「プロトタイプには効果ありね。」
真々美
「新型の常時発動タイプには、どうかな?」
のこりの敵兵 100名には効かなかった。
冬香
「全身を防護服で包み込んでいるからね。
せめて、顔だけでも見せてくれたら、なんとかなるけれど。」
真々美
「仕方ない。
弾が続く限り、打ち続けるしかないな。」
冬香
「全然、効いていない。
足止めさえ出来ないのね。」
敵兵は、なにかを投げるような合図をした。
敵兵たち
「えーい。
剛速球だ。
コントロール力だ。」
威力を抑えた爆弾だった。
敵を消す為の物ではなく、負傷させて、なぶり殺すために威力が抑えてあるようだ。
真々美
「冬香、退くぞ。
そして、後ろに回り込もう。」
冬香
「そうね。」
真々美と冬香は、敵の背後に回り込もうと移動していた。
冬香
「真々美、あぶない。」
冬香は、真々美に覆いかぶさるように押し倒した。
爆発音がした。
真々美は意識を取り戻そうとして、右手を額にあてて、頭を振った。
真々美
「冬香、無事か?」
冬香
「真々美、良かった。
無事だったのね。」
冬香の背中には無数の破片が刺さっていた。
真々美は、急いで破片を抜いた。
しかし、破片の中には深く刺さっているため、抜いたら出血がひどくなるものも有った。
だから、全部の破片を抜くことはできなかった。
真々美
「冬香、冬香、しっかりしてくれ!
ちがうだろ、ハイシスがサブシスを守って傷つくなら分かる。
だが、これじゃあ、逆じゃないか?
冬香、冬香、しっかりしてくれ!」
真々美に抱き起こされた冬香が目を開いた。
冬香は苦しいはずなのに、必死で笑顔を作ろうとしていた。
冬香
「真々美? どうしたの? どこか痛いの?
ごめんね、スリーカーを覚えることができなかったの。
だから、せめて、トゥベルサで元気を出してね。
Tooberusa
ねえ、少し眠くなっちゃったの、少しだけ眠らせてくれない?
1時間経ったら、起こしてくれると助かるわ。
おやすみ、真々美。」
真々美
「ダメだ、寝ないでくれ、冬香。
ここは戦場だ。 だから、家に帰るまでガマンしてくれ。
冬香? 冬香? 冬香ーーーーーーーーーーー!
絵美、わたしは、あなたに誓ったんだ。
冬香を一番大事にします。と。
その誓いを守れなかった。
一番大事にされたのは、わたしの方だった。」
真々美の目からは、滝のような涙が流れている。
敵兵 その1
「いたぞ、こっちだ。 中路司令と白石医師を見つけたぞ。」
敵兵 その2
「おやおや、お熱いことで、戦場でいちゃつくなんて、余裕だな。」
真々美
「去れ。」
敵兵 その3
「ああ、聞こえませんねー。 いつもの威勢がいい声を出してくださいよ。」
真々美
「去れ。 失せろ。」
敵兵 その4
「はあ? なんだって。」
真々美
「去れ。 失せろ。 消えろ。」
敵兵 その5
「消えるのは、そっちだろうが。」
敵兵 その6
「女の分際で、司令官だとか、支国王だとか気に入らなかったんだ。」
敵兵 その7
「おれたちは優しいからなあ、裸に剥いて、二人並べて展示してやるよ。
感謝しな。」
敵兵たちは油断していたからか、ヘルメットの前カバーを上にあげて、顔を見せていた。
傷ついたものを、あざ笑う不愉快な笑顔を、真々美に見せつけた。
真々美
「【圧殺】」
敵兵 その1~その7
「・・・」
敵兵たちは、声もたてずに息絶えた。
真々美
「男風情が、ひとりで引きこもって自慰してろ。」
◇
敵兵の司令官と残りの敵兵すべてが集まってきた。
敵兵の司令官
「これは、これは、中路司令、いや中路支国王。
お会いできて光栄ですな。
どうですかな?
わたしの愛人になるなら命だけは助けて差し上げます。
衣食住の保証もいたしますぞ。」
真々美
「断る。
真々美 正性知識 Twelve Hundred 《1200》。」
敵兵の司令官
「お忘れですかな。
この特殊防護服には、通用しません。
無意味ですぞ。」
真々美
「ならば、直接、叩き込んでやる。
白兵戦でも負けないぞ。」
敵兵の司令官
「おお、こわい。
せめて、剥製にして並べて差し上げます。
全体、構えろ。 足をねらえ。
商品価値を落とすな。」
真々美
「冬香、すまない。
せめて1発でも多くの銃弾を、わたしの身体で防ぐ。
だから、ゆるしてくれ、冬香。
さいごにキスさせてくれ。
冬香、一番大事な女性。
わたしのかわいいサブシス、冬香。」
冬香の顔には、真々美の涙がシャワーのように注がれていた。
敵兵の司令官
「この世とのお別れをする
お祈りの時間を差し上げるなんて、
なんて優しい私たちでしょうか。
紳士ですね。わたしたちは。」
敵兵たち
「ハハハハハハハ、ざまあみろ。」
敵兵の司令官
「撃ち方 用意。」
???
「『シルバーソード 真空導波』」
高さ2m幅30cmの衝撃波が地上を走り、すべての敵兵を切り裂いた。
真々美は衝撃波のスタート地点を見た。
真々美
「だれだ?
幻影か?」
???
「真々美~~、冬香さ~ん。」
真々美
「幻聴なのか?
よく知っている声が聞こえる・・・」
あともう少しで砂ほこりが散って、声の主が見えそうだった。
◇
自分で書いている物語なのに、涙が止まりません。
【読者様へ】
あなたの30秒で、この作品にパワーをください。
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