059 12日目 アリム正性知識1200
アリムは、【正性知識 2000】を 1800まで読み進めることが出来た!
その結果、第2回襲撃を跳ね返すことができた。
しかし、アリムの頭痛に冬香は気付くのか?
◇
12日目 PM21:12
《2日に一度の会議: あり、
第2回襲撃日: 本日の夜 敵を殲滅済み
一番権利者: 真々美》
アリムが必死に【正性知識 2000】を読み進めていた成果が出た。
アリム
「真々美、冬香、大丈夫?
怪我はない?」
真々美
「なぜ、アリムの正性知識は効いたんだ?」
冬香
「わたしたち3人の正性知識は効かなかった。」
オルア
「アリムの正性知識の call、呼び出しは、わたしたちと違ったよね。
それが理由なの?」
アリム
「夢で見た話になるけれど、聞いてくれますか?」
真々美
「もちろんだ。」
冬香
「聞かせて欲しいわ。」
オルア
「当たり前じゃない。」
アリム
「笑ったり、馬鹿にしたりしないと約束できますか?」
真々美
「笑いのツボに入らない限り大丈夫だ。」
冬香
「正性知識が効かなかったという重大な話に笑う余地があるとは思えないわ。」
オルア
「わたしたちがアリムを馬鹿にするわけないでしょ!」
アリム
「それでは、説明いたします。」
アリムの説明は、こうだった。
・敵兵の特殊防御服プロトタイプは、省電力のために必要な時にしか発動しない。
・正性知識 1200の発動タイミングに合わせて、気流相殺波を発動させるタイプ。
・「正性知識 One thousand two hundred 」のコール音声を認識してONする仕組みだった。
真々美
「疑問点がある。
正性知識をコールして効果が現れるまでの時間は一瞬のはずだ。」
冬香
「そうね、コールしてから発動させたのでは間に合わないはずよ。」
オルア
「気のせいかもしれないけれど、アリムがコールした正性知識は私たちよりも発動が早かった気がする。
速度の速いではなく、時間の早いという意味だけど。
うーん、うまく言えないわ。」
アリム
「真々美の言う通り、正性知識 200までは一瞬で効果が出たと感じたはずです。」
真々美
「その通りだ。」
アリム
「そして、真々美たちの方法で、正性知識をコールされた場合、余裕で間に合います。」
冬香
「ギリギリではなくて、余裕でってことはないでしょ。」
アリム
「そして、オルアの言う通り、ボクがコールした正性知識はみなさんよりも発動が早いです。」
オルア
「断言できるってことね。」
アリム
「それと会話の進行を、ゆっくりお願いします。
遺伝子治療のおかげで、聴覚情報処理能力があがったようですが、速い会話はついていくことがしんどいです。
まるで、全速力で走りながら会話するみたいに大変です。」
真々美、冬香、オルア
「ゆっくり《低速度》にしますね。」
アリム
「まず、正性知識をコールしてから発動するまでの流れについて、ご説明いたします。
その前に、みなさんは正性知識をいくつまで読み進めましたか?」
真々美、冬香、オルア
「「「 1200 まで。 」」」
アリム
「その先の知識の概要から説明しますね。
でも、ホワイトボードか紙に書きながらでないと説明が難しいのですが・・・」
真々美
「わたしの司令室に戻ろうか?」
冬香
「そうね、その前に、シュウピンとメラニィに連絡しましょう。」
真々美
「そうだな。」
◇
真々美と冬香はデバイスでシュウピンとメラニィに連絡した。
真々美
「シュウピン、無事か?
こちらは敵兵を撃退できた。
負傷者は出てしまったがな。」
シュウピン《デバイスの向こう》
「わたしは無傷です。
真々美様、お怪我はありませんか?」
真々美
「大丈夫だ。
ただ、急いで確認するべきことができてしまった。
あとで合流するから、被害状況の確認をお願いしたい。」
シュウピン《デバイスの向こう》
「おおせのままに、あとでお会いするときを楽しみにしていますわ。
チュ!
投げキスです。」
真々美
「はは、困ってしまうな。
よろしく頼む。」
◇
冬香
「メラニィ、状況は?」
メラニィ《デバイスの向こう》
「大変申し訳ございません。」
冬香
「どうしたの?
なにか失敗したの?」
メラニィ《デバイスの向こう》
「バリア制御室の制御盤を破壊されてしまいました。」
冬香
「そう、あとで見るわ。
それより、元気が無さそうだけど、怪我したの?」
メラニィ《デバイスの向こう》
「いいえ、怪我はありません。
ただ、敵を現行犯で捕まえようとしたことが失敗だったと悔やまれて悔やまれて、気力がありません。」
冬香
「そうね、メラニィの代わりはいないけれど、こわれた制御盤の代わりはカセイダード王国に帰れば有るから、そんなに気に病まなくて良いでしょう。
それでは、あとで合流するからね。
いま、どうしても調べなきゃならないことがあるから。
遅れると思う。
疲れているところ悪いけれど、第3回襲撃予定は明日の昼だから、防戦準備を進めてちょうだい。
メラニィ、私たちにとって大事なことは生きて帰ることだからね。
取り返せる失敗と回復できる失敗は悔やまなくていいわ。
それじゃ、あとでね。」
メラニィ《デバイスの向こう》
「冬香様、ありがとうございます。」
◇
真々美の司令室に戻った4人。
アリムは説明を続けた。
アリム
「わたしの前世と同じだとしたら、【正性知識 2000】の内容は次の通りです。」
アリムはテーブルに置いた紙に書き出していった。
100 《One hundred》 接触行為による攻撃。
200 《Two hundred》 100に対する防御。
1200 《Twelve hundred、防御 Twelve hundred》 真空導波による攻撃または防御。
1600 《Sixteen hundred》 精神波による攻撃 《自爆誘導、または、物語提供》。
1800 《Eighteen hundred》 1600に対する防御。
1900 《Nineteen hundred》 完全なる性転換。 対象者を、経験がゼロの異性にすることで弱体化させる。
2000 《コール不明》 若返り効果。 胎児以前《女性遺伝子と男性遺伝子》にまで戻すこともできる。
2200 《コール不明》 愛情交換無しで、生命を創造する。
冬香
「ちょっと待って、正性知識って、2000までのはずよね?
2200が、なぜあるの?」
アリム
「2000まで読み進めたひとがおっしゃるには、
次のゴールは、2200 愛情交換無しで、生命を創造する。
と書かれていたそうです。
さすがに、読み進めることはなかったそうです。」
真々美
「アリム、前世で教えてくれたひとの名前は?」
アリム
「サーク=バル=ルビエライン《Sark-Bar-RUBIELINE》です。
正性知識だけでなく、本能学、超心理学という
【カセイダード大学 人文基本3学問】
を教えてくれました。」
真々美 こころの声
『まさか、カセイダード大学 人文系を首席で卒業した者か?
絵美と会ったら相談するべきだな。』
冬香
「そのサークというひとに、コールの方法を教わったのですか?」
アリム
「いいえ、コールの方法は、ナーム=トゥ=マミ《Naam-to-Mami》に教えてもらいました。」
コール登録方法をナームから教わったと聞かされた真々美は、卒業式の日を思い出す。
真々美 こころの声
『ナームか、いよいよ絵美に報告する必要があるな。
しかし、前世と言っても、ふたりは私と同じ年齢だから、アリムさんよりも若いぞ。
訳が分からないな。
まさか、アリムさんは未来から転生してきたのか?
いま、声に出すことはやめたほうがいいだろう。
今度、絵美と会うときに相談しよう。』
☆ サークを連れて行った女性
☆ 「あなたが、サーク=バル=ルビエライン《Sark-Bar-RUBIELINE》君くんね。
☆ わたしは、ナーム=トゥ=マミ《Naam-to-Mami》。
☆ 5年間、わたしの言いなりになってくれませんか?」
☆
☆ 015 白沢絵美様は、お見通し
オルア
「アリム?
ナームって女性ですか?」
オルアの雰囲気が少しだけ変わった。
アリム
「そうです。」
オルア
「へえ、肉体的な授業もあったのかな?」
アリム
「格闘技の組手や乱取りのことですか?」
オルア
「うーん、そうじゃなくて、ずばり愛情交換があったのか聞いているのよ。」
アリム
「全然ないです。
ナームはサークのことしか対象と見ていないから。」
オルア
「そうなの。 ならいいわ。」
オルアが落ち着きを取り戻した。
冬香
「ナームさんから教わったのは、コール方法だけですか?」
アリム
「1800 《Eighteen hundred》 1600に対する防御。
について、厳しく鍛えられました。
ただ、ほとんど防げなかったです。」
冬香
「精神波による攻撃って、そんなに威力があるのですか?」
アリム
「自分が理想とする物語の中に引き込まれて、現実に戻れなくなるという意味で、威力が有りますね。」
オルア
「へーっ、どんなエッチな物語を体験したのかなあ?」
オルアの機嫌が悪い。
アリム
「そうですね。
オルア、真々美、冬香がボクにしてくれた内容を物語で読み聞かせされて聞き入ったような体験ですね。
現実と区別は付かないですね。
最近、仮想現実《VR《Virtual Reality》》が流行していますが、こわくて手を出す気には成れませんね。
ナームの1600 《Sixteen hundred》 精神波による攻撃 《自爆誘導、または、物語提供》。
に比べたら弱すぎるだろうけれど。」
オルア
「今度わたしの番が来たら、すべて上書きしてあげるから、なにをして欲しいか、洗いざらい吐いてもらうわね。」
アリム
「いますぐハグしたいです。」
真々美
「アリム、すまないが後にしてくれ。
次の襲撃は明日の昼だから、疑問を解決しておきたい。
オルアも、アリムの前世にまで焼きもちを焼かないでくれ。
現世のアリムの1番はオルアなんだから、自信を持ってくれ。」
冬香
「それと、余裕も欲しいわ。
わたしたちと愛情交換した後も、アリムの一番はオルアのままでしょ!」
オルア
「でへへ、そうね。
そうよね。
アリム、おいで、ハグとキスしましょうか?」
アリムはオルアに駆け寄ってキスしながらハグをした。
◇
5分経過・・・
真々美
「オルア? アリム?
そこまでにして続きをお願いできるか?」
オルア
「はあい、アリム、がんばってね。」
オルアの機嫌が良くなっていた。
アリム
「うん、まかせて。
そして、真々美、冬香、オルアのコール方法だと、【正性知識 2000】が、コール内容を判定できるまで時間が掛かります。」
冬香
「判定とは?」
アリム
「どの知識を呼び出そうとしているか?
を判定します。
使用できない知識をコールされた場合は、無効判定になります。
つまり、なにも起こりません。
わたしの登録方法だと、後半の hundred を聞かなくても、呼び出し希望の正性知識を特定できます。」
真々美
「後半が同じ単語《 hundred 》で統一されているからだな。」
アリム
「それに対して、Thousand & Hundred の呼び出し《Call、コール》方法では最後まで言い終わらないと、【正性知識 2000】がコール内容を判定できません。
判定できてから用意するから、どうしても遅くなります。」
冬香
「それに対して、アリムの方法だと、前半で用意して、後半を言い終わったタイミングで、すぐに実行できるわけね。」
アリム
「おっしゃる通りです。」
オルア
「じゃあ、私たちも呼び出し《Call、コール》方法を、アリムさんと同じに変えましょうよ。」
真々美、冬香、オルアは、【正性知識 2000】の呼び出し《Call、コール》方法を、
Thousand & Hundred 登録から、
Hundred 登録に
変更した。
アリム
「最後にですが、次回の敵兵の装備が
省エネタイプではなく、
常時発動タイプだった場合は、
意味がありません。
そのときは逃げてくださいね。」
真々美
「敵は、常時発動タイプの防護服も用意していると思うか?」
アリム
「わたしが技術担当者なら必ず用意します。」
冬香
「それでも、省エネタイプの防護服だったら勝てるから大きいわ。」
オルア
「そうよ、アリムのおかげで勝利に一歩近づいたわ。」
アリム
「くれぐれも油断しないでくださいね。
敵が舐めているなら油断するでしょうが、真々美、冬香、オルアのことを過小評価していない場合は、確実に対策されますから。」
真々美、冬香、オルア
「「「 大丈夫よ。 」」」
アリム こころの声
『そうであって欲しいけれど、エリートの慢心は油断と対処不足のもとだからな。
でも、これ以上言って、3人に嫌われたくない・・・』
◇
モンテハート大侯爵
「第2陣も全滅だと?
新型の防護服は、正性知識に対して無力だったということか?
開発費とか言っていたが、金をドブ《排水溝》に捨てただけか?」
技術スタッフ
「プロトタイプのため、威力が十分でなかった可能性があります。」
モンテハート大侯爵
「言い訳だな。
完成タイプでもダメだった場合は、技術部門は閉鎖だからな。
いままでに掛かった費用を返せとは言わないことに感謝するんだな。」
技術スタッフ
「ははあ、ご厚情、温情に感謝いたします。」
技術スタッフ こころの声
『第2陣の隊長が、途中経過を連絡してくれていれば良かったのだが・・・
常時発動タイプは燃費が悪く、3時間しか持たない。
省エネタイプと同時投入するしかないな。』
◇
真々美、冬香、オルア、アリムは、最初に、バリア制御室に向かった。
冬香
「思ったよりも被害は厳しいわね。
制御盤の部品の替えが無いわ。」
真々美
「他のところの制御盤を取り外して使うことはできないか?」
冬香
「名案ね、真々美。
動力室の制御盤を取り外して、船を止める?
それとも、
操船室の制御盤を取り外して、船を止める?
どちらがいい?」
オルア
「冬香、いじわる言わないで、どっちも駄目よ。」
真々美
「その通りだな。
バリアをあきらめるしかないな。
明日の昼さえ乗り切れば、なんとかなる。
と考えるしかないな。」
◇
真々美、冬香、オルア、アリムは、シュウピンとメラニィに会いに行った。
ふたりは無事な動力室を警備しながら、関係部署に指示を出しているはずだった・・・
真々美
「ノック、ノック。
シュウピン、メラニィ 入るぞ。」
動力室の中に入ると、ふたりが倒れていた。
◇
次から次へと事件が起こりますね。
気が休まりません。
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