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188 竜くんは泣いて喜んだ

2023年8月30日(水) 昼 13:15


カセイダード王国の本星


レバーラのおかげで、絵美は、竜くんが閉じ込められている牢屋の前にいた。


牢屋で両手を鎖に繋がれて、座らされている竜くんを見つけた。


絵美

「りゅ」


後ろから口を塞がれて、絵美は牢屋から引き離された。


絵美

「誰よ! 話して!」


絵美の裏拳を、シドニーが受け止めた。


シドニー ソドニー

「あの白沢絵美とは思えないほど、取り乱しているな。」


ミミー ミリー

「絵美、静かに。 様子を見守りなさい。」


廊下の角から、牢屋の中をのぞくと、リリー ラリーが竜くんに食事を差し入れようとしていた。


リリー ラリー

「おなかが、すいただろう。

 もう何日も食事していないように見える。


 毒など入っていないんだから、食べた方がいい。」


竜 豪(りゅう ごっと)

「絵美、絵美に会いたい。」


リリー ラリー

「だったら、なおさら食べないと絵美に会う前に、餓死してしまうぞ。

 それに、ヘッド リョウジャーや、供 涼からも聞いているだろう。

 絵美の帰る日は未定だと。」


竜 豪(りゅう ごっと)

「絵美、絵美に会いたい。」


リリー ラリー

「廃人状態に近いな。」


竜 豪(りゅう ごっと)

「ボクは、女王様に絵美に会わせないと言われたから、ちゃんと武器と防具を作った。

 それなのに、絵美と会わせてもらえない。」


リリー ラリー

「サア女王は絵美と会わせないとは言っていなかった。

 ただ、しばらく帰れないと、おっしゃっただけだ。」


竜 豪(りゅう ごっと)

「じゃあ、いつ会えるか、予定日だけでも教えて欲しいと言ったんだ。

 でも、答えられないって。」


竜くんの目から涙がこぼれていることは、遠くから見ても分かった。

床に水たまりができて、大きくなったからだ。



絵美は、ミミーとシドニーの案内で、部屋に通された。


後から、リリーがやってきた。


リリーは疲れた様子で、椅子に座って、テーブルに両ひじをついて、頭をうなだれた。


リリー

「絵美は、いったいナニを手こずっているんだ。」


リリーは相当に参っているようで、そばに絵美がいることに気付かない。


ミミー

「竜くんの様子は、どう?」


リリー

「どうもこうもない。

 女王様の前に来る3日前から何も食べていないようだ。

 睡眠も足りていない。


 天才科学者が今では、

 「絵美に会いたい!」

と繰り返すだけのオルゴールだ。」


シドニー

「大変だな。」


リリー

「わたしの担当業務だけでも大変なのに、絵美が判断するべき分の25%が回って来ている。

 それに加えて、竜くんの生命維持まで私の責任下にある。


 この調子では、私の方が先に参ってしまう。」


ミミー

「わたしとシドニーには30%が回ってきているわ。」


シドニー

「美々には、15%が上乗せされている。

 まあ、美々は新人だからな。」


ミミー

「絵美が1日だけでも帰ってきたら、なにをさせたい?」


リリー

「絵美の担当業務を利子を付けて返してやりたいが、まずは竜くんに食事を取らせてやりたい。

 絵美の顔を見たら、食事をする気にもなるだろう。」


リリーも医者の鑑だ。

自身の要求よりも患者の回復を優先している。


ミミー

「だって、絵美。

 もう食事はしたの?」


絵美

「昼ごはんがまだよ。」


ミミー

「だってさ。 リリー。

 絵美と竜くんには、いっしょに昼ご飯を食べてもらおうよ。」


リリー

「それが出来ないから、参っているんだろう。

 絵美、はやく帰ってこい。」


絵美

「リリー、ありがとう。

 竜くんの生命維持をしてくれて。」


リリーは、顔を上げて、絵美が戻っていることに気付いた。


リリー

「絵美? 今まで、どうしていたんだ。

 いいや、それより、早く竜くんに飯を食わせてくれ。」



牢屋のカギを開けられて、絵美は竜くんに近づいて、竜くんの頭を胸に抱き寄せた。


竜 豪(りゅう ごっと)

「ウォーターボールを押し付けて、窒息死させるつもりか?

 それも良い案だが、顔の向きを変えないと無理だぞ。」


絵美 こころの声

『あっ? 本当に、女性の身体が柔らかいってことを知らないんだ。

 予備知識って大事ね。

 アリム、ありがとう。』


絵美

「竜くん、本物の絵美だよ。

 待っててくれて、ありがとう。帰ってきたよ。」


「絵美? 生きてる? 動いてる?

 まぼろしでも、会えてうれしい。」


竜くんの目から涙がこぼれていた。


絵美 こころの声

『アリムが竜くんの転生体だってことが立証されたわね。』


☆ アリム

☆ 「絵美? 生きてる! 動いてる?

☆  間に合った?」

☆ 

☆ 086 万能で最強のルナです


リリーが竜くんと絵美の前に食事を用意してくれた。


絵美

「竜くん、さあ食べましょう。」


「う、うん。」


竜くんは、絵美の顔をじっと見つめていた。


絵美 こころの声

『確かに文句があるかのような見つめ方ね。

 これも、アリムさんの解説が正しいと証明されたわね。』


☆ でも、もしかして、竜くんには【相貌認識障害】があるのですか?

☆ 

☆ 186 白沢絵美が竜くんの好みを知る日



絵美

「そんなに見つめられたら、恥ずかしいわ。

 それに、せっかくの食事を、こぼしちゃうわ。」


絵美は、こぼした分を台布巾で拭いてあげた。


「あ、ありがとう。」


絵美 こころの声

『アリムさんからの予備知識が早速役に立っているわ。』


絵美

「どう、久しぶりの食事の味は?」


「うん、とっても美味しいよ。

 いままで、格好をつけて研究が忙しいと絵美の誘いを断っていたけれど、ずいぶんともったいないことをしていたと後悔しているよ。

 絵美と食べる食事は、普段の10倍くらい、美味しいよ。」


絵美 こころの声

『この辺は、オルアさんののろけ話が参考になるわね。』


☆ 絵美

☆ 「わたしもよ。

☆  たった14日間でアリムさんとの距離を詰めたオルアさんの技術力は尊敬に値するわ。」

☆ 

☆ 088 真々美、冬香、オルアの愛の高さ





絵美

「じゃあ、サア女王に謝ってくるからね。

 ちゃんと食事はしてね。」


「女神様、絵美のまぼろしを見せてくださって、ありがとうございます。」


絵美 こころの声

『本物なんだけどな。』


絵美は、ミミー、リリー、シドニーとともに、サア女王に謁見しに行った。


つづく


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