186 白沢絵美が竜くんの好みを知る日
2023年8月29日(火) 13:15
アリムたちの住居にある大きなベッドの周りに、みんなが集まっている。
台所の位置を、時計の12時とすれば、
真々美は9時、
冬香は8時、
オルアは7時、
シャイアルーアさんは1時、
シュウピンさんは3時、
メラニィさんは4時、
セーラさんは5時
の席に座っている。
その中央に、アリムと絵美が座る大きなベットがあった。
シャイアルーア メイ ルビエライン
「アリムさん、大事なことなので、もう一度言っておく。
伍姫がカセイダード王国の本星を離れるなんてことは、異例中の異例だ。
今日明日にも呼び戻される可能性が高い。
もう二度と会えないと思って、後悔のないようにするんだぞ。
絵美さん、アリムから引き出すべき情報があるなら、無理やりでも聞き出しておけ。
文字や画像、音声では伝えられない情報の方がはるかに多いのだからな。」
アリム
「May 様が心配されるなら、後悔しないように全部を絵美さんに話します。」
絵美
「他の誰でもない、パラレルワールドの伍姫ファーストの言葉だから、軽く流したりしないわ。」
シャイアルーア
「しかし、これだけのギャラリーが見守る中での愛情交換が始まるとはな。
二度目とは言え、慣れないものだな。」
真々美
「絵美はもちろんのこと、アリムも今となっては、カセイダード王国の要人、重要人物だからな。
どちらかに髪の毛ほどの細い傷が付いただけでも大問題になる。
だから、万が一にも過失で相手を傷つけそうな場合に、割って入るために必要な処置なんだ。」
シャイアルーア
「アリムさんが要人扱いされていることは嬉しいが、目の前で見ても信じられないな。
でも、アリムさんが皆様に大事にされていると知ることが出来て、本当にうれしい。安心する。」
シャイアルーアは、涙を流してしまった。
あわてて、ハンカチを取り出して、涙を拭いた。
◇
アリムと絵美の愛情交換が始まろうとした。
アリム
「絵美、最初に断っておきます。
これから、絵美とする愛情交換は、前世のボクである竜くんと初めて愛情交換した場合に起こる出来事というか言動をできる限り再現しようと思います。
だけどね・・・ ちょっと問題が有るんだ。」
絵美
「なによ? なにが問題なの?」
アリム
「たぶんね。 絵美が怒り狂う場面というか言動が5~6回は有るはずです。
それを、絵美が冷静に流せるかどうか、不安で仕方ないです。」
絵美
「大丈夫よ。
さあ、なにから始めたらいい?」
アリム
「では、始めます。
前提条件として、最初のデートと二人での食事はできるようになった後という設定にします。
よろしいですか?」
オルア こころの声
『心配性のアリムの中でも、さらに心配性になっているわね。』
絵美
「クリア。 理解したわ。」
アリム
「まず、最初の一手として、絵美さんから竜くんに抱きつくところから始めましょう。
服は着たままのところから、スタートしましょう。」
絵美は、アリムに抱きついた。
絵美
「竜くん、絵美は、竜くんが大好きよ。」
絵美は、アリムをベットに座った状態で抱きしめた。
アリム
「ここで普通なら、顔を赤らめたり、どきどきして嬉しそうにするはずなのですが・・・」
絵美
「えっ? ちがうの?」
アリム
「まったく経験がないボクは、こういう反応をすると思います。
こころの準備は良いですか?
かなり、ショックを受けますよ。」
絵美
「いいわ。耐えて見せるわ。」
アリム
「それじゃあ、行きます。
絵美、ボクは肥満体のぶよぶよした身体は好きじゃない。
気持ち悪いから、離れてよ。」
絵美
「ほう? いま、なんと言った。
この美しい私の身体を肥満体だと?
そこへ直れ、せめて苦しまずに首を刎ねてやろう。」
アリム
「こころの準備をしても、いきなりゲームオーバーだね。
絵美さん、言い訳を聞いてくれますか?」
絵美は、目を真っ赤に光らせながら言い放った。
絵美
「良かろう。 血迷って、化けて出ぬように、さえずらせてやろう。」
アリム
「竜くんは、女性の身体が男性に比べて柔らかいことも、丸みを帯びていることも知りません。」
メラニィ
「はあ、そんなことは無いだろう。
いまどき、中学生ともなれば、愛情交換に興味を持って、保健体育の授業で知るはずだ。」
アリム
「メラニィさんの・・・」
メラニィ
「ああ?」
アリムは、メラニィの強い視線を受けて、言い直した。
アリム
「メラニィの疑問はもっともです。」
メラニィ こころの声
『そうだよ。 もう愛情交換は済ませたんだから、名前を呼び捨てしてくれないと困る。
アリム様は王族だから、私がアリム様を呼び捨てにすることは許されないがな。』
アリム
「竜くんは、性教育をまったく受けていません。
だから、男女の身体の違いや第二次性徴についても知りません。」
絵美
「うそでしょ? 信じられないわ。」
アリム
「ですよね。
だから、こう答えてあげてください。
竜くん、わたしの身体がぶよぶよしている理由は、肥満体でも贅肉でもないわ。
女性だからよ。 男性と女性とでは身体の作りがまったく違うのよ。」
絵美
「へー。」
しばらく絵美は放心状態だった。
3分後
絵美
「そんな受け答えなんて、初見で、なんの予備知識も無しでできるわけないわ。」
アリム
「ボクもそう思います。
本当にお手数をお掛けしますが、どうか尽力お願いします。」
絵美
「まあ、答えを聞いたからできそうだけれど・・・」
アリム
「そして、絵美は竜くんにキスをすると思います。」
絵美
「まあね、【はじまりはいつもキス】 は、常識よね。」
冬香はメラニィをじーっと見た。
メラニィは恥ずかしそうに下を向いた。
☆ 冬香
☆ 「ねえ、わたしに恥をかかせないでね。
☆
☆ 【はじまりはいつもキス】
☆
☆ でしょ!」
☆
☆ 116 冬香とメラニィさんの夜
アリム
「すると、前世のボクは、こういう反応をすると思います。」
絵美
「照れて、うれしい。って言ってくれそうね。」
アリム
「絵美? ボクの口を吸ってなにがしたいの?
のどが渇いているなら、冷蔵庫に冷やした麦茶があるよ。」
絵美
「はあ? 私とキスすることがイヤだってか?
唇がタラコのように膨れ上がるまで殴ってやろうか?」
アリム
「絵美? 落ち着いて。
竜くんはキスという行為を知らないだけですから。」
絵美
「はああああああああ?
キスを知らない。
A、B、CのAのキスを知らないなんて、ある訳ないでしょ?
おちょくってんのか?
蹴り殺すぞ!」
アリム
「絵美? びっくりしたことは良く分かったから、気持ちを鎮めてくれるかな。
続きを説明するから。」
絵美
「まあ、蹴り殺す前に、話くらいは聞いてあげるわ。」
アリム
「こう説明してあげてくださいね。
竜くんも私も21歳を超えた大人なのよ。
子供は、好きって言い合うだけだけど、大人の男性と女性は、くちとくちをくっつけるのよ。
これを、キスと呼ぶのよ。
御飯を食べたり、話したり、大きく呼吸するために大事なくちとくちを合わせることで、命をかけて好きという気持ちを行動で表すのよ。
わたしは竜くんが好きだから、キスをしたわ。
竜くんは私のこと、好き?
うん、大好き。
じゃあ、キスして。
うん、やってみる。
勢いが強すぎるわ。 ぶつかって痛いじゃない。 ゆっくりと近づけるのよ。」
メラニィ
「ぶふふ。」
オルア
「ぷふう。」
真々美
「うそだろう。
幼稚園児でもあるまいに。
アリム、受けをねらって、大ボケをしているのか?」
絵美と冬香に睨まれて、真々美は静かになった。
メラニィとオルアは、笑いを必死にこらえて良かったと心底思った。
絵美
「最期のぶつかって痛いというのは、キスしたくないから頭突きをかまされたってことかなあ?」
絵美の顔が本当にこわい。
アリム
「ちがうよ。 絵美に言われたとおりにキスしようとしただけだよ。」
絵美
「それなら、なんで痛がっているのよ。」
アリムは絵美にキスをした。
本当にやさしく柔らかいキスだった。
アリム
「ボクは、オルア、真々美、冬香に導いてもらったおかげで、普通くらいのレベルのキスをできるようになれたと思っている。」
オルア、真々美、冬香 こころの声
『本当にね。 最初のころは、啄木鳥か?と思ったわ。
痛かったわね。』
絵美
「そうね。 悪くないキスだったわ。」
アリム
「でもね、最初のころは、歯が当たって痛いとかダメだしされていたんだ。
つまりね、力加減がまったく分からないんだよ。
卓球で初心者が続けるためのラリーをしているのに、いきなりスマッシュを決めようとするような感じだね。」
絵美
「つまり、竜くんは初心者やビギナー以下のマイナスからのスタートって言うことなの?」
アリム
「そうなるね。
本当にその通り。
そして、絵美が竜くんの上着を脱がして、自分も上着を脱いだ時に、竜くんは、こういうと思う。
そんな? 絵美は大ウソつきの悪いひとだったの?
失礼な! 正直者の私に向かって。
だって、そんなに大きなこぶを2つもぶら下げているじゃないか?
こぶとり爺さんの話を知らないの?」
絵美
「いやいやいや、いくら何でもそんなことは無いでしょ!」
アリム
「いや、あるから。
そこで、絵美はこぶじゃないってことを証明するために、竜くんの両手を取って、お胸を触らせるとおもうんだけれど・・・」
絵美
「まあ、そうするわよね。」
アリム
「絵美は、竜くんが喜ぶかと思うだろうけれど・・・
硬くないからコブじゃないことはわかったよ。
でも、スライムみたいにブヨブヨして気持ち悪い。放してよ。」
絵美
「さあ、殴り殺すべきか? 蹴り殺すべきか? それとも切り殺そうか?
どれがいいと思う。」
アリム
「本当に落ち着いて、絵美。
知識がないだけだから。
大人の女性が相手の男性を好きと示す証拠として、胸を触らせるのよ。
竜くん、わたしのことが好きなら、お手手をグッパーしてくれる?
そうよ、ゆっくりと、上手よ。」
絵美
「もう情報を渡されているのか?
おちょくって、からかわれているのか?
分からなくなってきたわ。」
アリム
「ボクとしては、情報を渡しているつもりだよ。
続けて良いかな。」
絵美
「ええ、いいわよ。」
アリム
「その次に、絵美は、竜くんのパンツを下げると思うけれど・・・
これは、本番に備えて、実地でやってもらおうか?
パンツを下げてくれますか?」
絵美
「え、ええ。アリムさんが頼むなら仕方ないわね。」
真々美 こころの声
『絵美、よだれが垂れている。
ジャマするわけには行かないから、拭いてやれないぞ。』
絵美は、期待に胸を膨らませて、アリムのパンツをさげた。
ガーン
そこには、小学生のカタナしかなかった。
シャイア
「かぎりなく本番を再現しているな?」
真々美、冬香、オルア、シュウピン、メラニィ、セーラ こころの声
『うそ、アリムさんのカタナが、カッターの1マス分しかない。』
絵美
「ほほーっ。
私の身体には、少しの魅力も感じないってか?
これは、わたしに対する侮辱というか決闘の申し込みと受け取っていいんだな?」
アリム
「絵美、解釈と評価は待ってください。」
絵美
「辞世の句を書くくらいは待ってやろう。」
アリム
「竜くんは意味が分かっていないだけなんです。」
絵美
「13歳の子供でも分かることを知らないわけが無いでしょうが?」
アリム
「本当の本当に知らないんですってば。」
絵美
「弁明の機会くらいあげるわ。
ただし、慎重に言葉を選べ。
苦しんで死にたくなかったらな。」
アリム
「竜くんの父は、過剰な性教育を受けて嫌だったからという理由で、聞かれるまでなにも教えないことにしたんです。
そして、母親は時期が来たら、となりの絵美ちゃんから手取り足取り学べばいいわよね。
絵美ちゃんがその気になっていないときから、がっついたら嫌われちゃうわよね。
という方針で、なにも教わらなかったんです。」
絵美
「それでも、友達から聞いたりするでしょ!」
アリム
「友達は、そういう性的な話題はしない主義だったし、サークも家庭の事情に干渉する気はなかったからです。 あっ、でも、1つ前の前世では、【正性知識】を教えてくれましたよ。」
絵美
「竜くんのご両親のせいかあ。
あいつら~ 帰ったら、文句を言ってやる!
って、もう時効よね。」
アリム
「あのう? 絵美?
1つずつ感想をくれることは、うれしいけれど、話が進まないから、あとでまとめて感想を述べてくれますか?」
絵美
「そうね。
そうするわ。」
アリム
「そして、根気よく優しく、絵筆でなでるように竜くんのカタナの元を撫でているうちに、はじめてのビルドアップと、初めての丸首セーター着用が、絵美の辛抱強いナデナデで成功します。
そして、絵美がお祝いに兜をつけてあげて、絵美のお部屋に竜くんをご招待することに成功します。」
絵美
「ご招待できる未来なんて、予備知識無しでは無理ね。」
アリム
「そして、竜くんの初めての感想が、「悲しい。こんなのイヤだよう!」と泣きわめきます。」
絵美は、アリムのくちを右手でつかんで、アリムのあごを外そうとした。
絵美
「竜くんはわたしのことを好きだって言っていたよな。
あれはわたしをだましたのか?
楽には死ねないと覚悟しておけ。」
真々美が絵美をアリムから引き離した。
アリム
「い、痛い。 ゲホゲホっ、絵美、最後まで聞いて。
お願いだから。」
絵美
「真々美に免じて、5分だけ命を永らえさせてやる。」
アリム
「竜くんは、精通もまだだったんです。
初めてのビームだったんです。
だから、大好きな絵美の前で、おねしょ、お漏らしをしたと思って、恥ずかしくて嫌だったんです。」
冬香
「どんな箱入り環境で育ったら、そうなるのよ。
ありえないわ。」
アリム
「ゲホゲホ。
事実は小説より奇なりです。
言ったでしょ。
前世のボクは、幼稚園初等クラスの恋愛経験値しかないって!」
絵美は落ち着いたようだ。
絵美
「本当に信じて良いの?」
アリム
「本当です。
だから、サークは【正性知識】を一番に教えてくれたんです。
【正性知識】を学んで分かったことは、絵美がボクを捨てて、サークに会いに行ったことが自然であり正しい判断だったということです。
だって、そうでしょう?
どんなに誰も出来ないことができたり、誰も知らないことを知っていても、意味ないです。
みんなが知っていることを知らなかったから、大好きな絵美にも、するべきことができなかったんだ。
そして、自分に欠けている知識があることにさえ、気付けなかった。
だから、ボクは・・・」
絵美
「竜くん、いいえ、アリムさん。
つらいことを話してくれて、ありがとう。
わたしが常識と思ってきたことの、はるか遠方だったから、受け止め切れなかったわ。」
アリム
「ねえ、絵美さん。
これだけは信じて、ボクは絵美のことが、本当に本当に好きだったんだ。
そして、今も好きだよ。」
絵美
「竜くん。」
絵美は、アリムを胸に抱きしめた。
アリムの顔を横に向けて、呼吸できるように配慮した上で。
◇
絵美
「それから、どうなるの?」
アリム
「もし、絵美が子供に1から性教育するように、竜くんをリード出来たら、そのときは?」
絵美
「そのときは?」
アリム
「いままでの反動で、時間さえあれば、絵美の裸を見て触って愛情交換を求めてくると思う。
ただ、しつこすぎて、絵美がイヤになってしまうと思う。」
絵美
「過ぎたるは及ばざるがごとしだからね。」
アリム
「だからね、こう言って上げて欲しい。
食事を朝昼晩。 おやつは10時と15時というように、決まった時刻に愛情交換しましょうね。
21時に寝て、22時に眠りましょう。
だらだらとした愛情交換は嫌いだからね。
わたしのことが好きなら約束できるよね。
って、言ってあげてください。」
絵美
「わかったわ。
じゃあ、竜くんが正しい性の知識を得た後で、求めてくることや好むことを教えてくれるかな?」
アリム
「うん、わかったよ。
じゃあ、はじめるよ。
その前に、竜くんは絵美の目をじーっと見つめてくると思う。
まるで、授乳中の赤ん坊がママの目をじっと見つめるようにね。
なにか文句があるのか?
ああ、眼つけやがって!
と、いら立つかもしれない。」
絵美
「ホホホ、そんなことは、・・・あり得るわね。」
アリム
「でも、この視線の訳は、自分自身を愛してくれる人を、自分自身が愛するべき人を必死で覚えようとしている行為だから、良い意味で受け取ってね。」
絵美
「分かったわ。
でも、もしかして、竜くんには【相貌認識障害】があるのですか?」
アリム
「【相貌認識障害】、つまり、【相貌失認】とまでは行かないかもしれないけれど、平均的な人と比べると、記憶するまでに必要な【1回あたりの記憶時間】と【回数】を多く必要としています。
いまのボクもそうだけれどね。
だから、オルアが、おはようからおやすみまで一緒に居てくれて、いつも目と目を合わせて話してくれることは大助かりでした。」
ナレーション
「【相貌失認】とは、他人の顔を識別し、覚えることが困難であり、場合によっては親しい人の顔さえも認識できないことがあります。」
オルア こころの声
『その可能性を感じていたけれど、正解だったのね。』
☆ おはようからおやすみまで、いっしょにいますから大丈夫です。
☆
☆ 005 【挿絵】 オルアさんと、わたしの新しい名前
絵美
「そうだったのね。
だから、家に居ることが多かったり、サークのように目と目を合わせて話すことを苦手としないひととしか関わらなかったのね。」
アリム
「うん、その通りだね。
じゃあ、はじめるよ。」
絵美
「その前に、兜をつけてあげるわね。」
絵美の兜は、白色だった。
絵美
「アリム、お待たせ。
それじゃあ、愛情交換を始めてくれますか?」
絵美は、ほほを赤くしながら、アリムをじっと見つめた。
アリム
「かわいい絵美、大好きな絵美。
ボクは、世界の支配者になりたいよ。
そうすれば、大好きな絵美のまなざしも声もすべてをボクのものにできるからね。
さあ、絵美、キミに残された自由は、可愛い声を出すことだけだよ。
ボクは絵美のすべてを手に入れたい。」
アリムは、絵美の身体じゅうにキスの雨を降らせながら、絵美の耳元であまい言葉をささやいた。
絵美は、すべてをアリムにまかせて、アリムが望むようにした。
アリムの声が舌が手がカタナが、アリムのすべてが絵美に愛情を注いだ。
絵美の中では、アリムの愛情の攻めを受け止める以外の選択肢は却下されていた。
始まったころは、アリムが自分の身体のどの部分を見たがったり、触りたがったりしたかを覚えようとしていたが、後半になるにつれて、なにも考えられなくなった。
すべてから解放されたような空に舞い上がる糸が切れた凧になって、空に流されたような気持ちになったことが最後の記憶だった。
つづく。
【読者様へ】
あなたの30秒で、この作品にパワーをください。
「ブックマーク」(2点)と、広告下(↓)の【見えない場所】にある「☆☆☆☆☆評価」(2~10点)を待っています。