163 モンテハート大公爵様の遺言というか願い
宝物庫の準備室
モンテハート
「わしの至宝の宝ともいえるコレクションについて、説明しよう。
どれか一つでも分かったものはあるのか?」
メラニィ
「3点だけ分かりました。」
モンテハート
「ほう? 目利きが出来るものがおるではないか?
名前を知りたいものだな。」
メラニィ
「アリム様です。」
モンテハート
「アリム? あの幼稚園児か?」
☆ モンテハート大侯爵
☆ 「アリムとか言う小僧は、幼稚園児並みの頭脳しかないのか?
☆ なーにが、お結びころりんスッテンテンだ。
☆
☆ 目障りだから、消えてもらおう。」
☆
☆ 042 8日目 昼食デート
モンテハート
「い、いや、アリム様と呼ばれる高貴なお方なら、納得だな。」
まるで、首筋にナイフを突き立てられたような冷や汗をかきながら、モンテハート大公爵は態度を変えた。
メラニィが【怒気当て】を飛ばすよりも前のタイミングだった。
メラニィ
「どうされたのですか?」
モンテハート
「いや、気にしないでくれ。
それで、その3点は、どんなコレクションだったのだ。」
メラニィ
「短剣、聴診器、ソロバンです。」
☆ ざっと、見た中では、これが紅姫の愛刀 【妖刀斬 紅丸】だと思うんだ。
☆
☆ 黄花殿の相棒である、聴診丸も向こうで待っておりますぞ。
☆
☆ 目の前にあるソロバンが青紫の神器、【音色の算盤】ですじゃ。
☆
☆ 087 紅姫、黄花、青紫の神器
モンテハート
「短剣、聴診器、ソロバン?
はて、そのようなものがあったかなあ?
わしは、500点以上のコレクションをすべて覚えている自信があるのだがなあ。」
メラニィ
「じゃあ、もうろくしたのでしょうね。」
モンテハート
「失礼な、わしはまだボケておらんぞ。」
次の瞬間、モンテハート大公爵は冷や汗をかいて、ハッとしていた。
メラニィ
「どうされましたか?」
モンテハート
「いやいや、すまなかった。
ど忘れしていたようだ。」
モンテハート こころの声
『ギリギリセーフだよなあ。
冷や汗がとまらない・・・』
メラニィ
「では、コレクションについて説明してくれますか?」
モンテハート
「もちろんだ。
ゆっくりと話すから、メラニィの声で繰り返して録音して欲しい。」
◇
1個1分で記録したとしても、8時間かかると思われたが、売りさばく相手ごとにグループ分けして、おもなコレクションだけ説明し、あとは価格だけを記録するように、モンテハート大公爵が考慮してくれた。
それでも、3時間かかった。
メラニィ
「疲れた。」
モンテハート大公爵
「ご苦労、いや、お疲れさまでした。
メラニィさん。」
メラニィ
「モンテハート大公爵様、悪いものでも食べましたか?」
モンテハート
「いいや、そうではない。
メラニィさんに聞いて欲しい頼みがあってな。
わしの遺言と思って、聞き届けてくれないか?」
メラニィ
「聞いてから、考えさせてください。」
モンテハート
「それでよい。
この最後に残った分厚い本は、メラニィさんに持っていて欲しい。」
メラニィ
「なんですか?
これは?」
モンテハート
「わしの先祖が残した恥ずかしい妄想だ。
燃やすべき黒歴史とは思うのだが、この写真、いや、精巧な肖像画かもしれない。
これに、込められた想いには、わしも共感しているのだ。
若いころのわしは、このような将来を迎えたいと目を輝かせていたものだ。
見てくれるか?」
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