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【完結】理想の美女7人に愛される生活。ベーシックインカムで儲けた「カセイダード王国」に移住して正解でした。《書籍化》  作者: サアロフィア
第3章 司会のお姉さんの好きな人と思い出

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015 白沢絵美様は、お見通し

 オルアにとって、雲の上の御方である白沢絵美様から、司会(中路真々美)に、プライベートメッセージが届いた。



 司会(中路真々美)は、つぶやいた。


 お見通しか?


> 白沢絵美

> 「はーい、真々美。 元気にしてる?」


引用元: 014 司会(中路真々美)の課題


 このメッセージの意味は、


いま、元気ないでしょ!?

いろいろと悩んでも解決しないなら、

全部はいて、スッキリしな。

さっさと楽になった方が良い選択だろ。


刑事ドラマのような意味が込められている。


 白沢絵美様と私は、カセイダード大学を同じ年に卒業した。


 人文系 1位(主席)が、他の惑星からの留学生で、サーク=バル=ルビエライン(Sark-Bar-RUBIELINE)という男の子タイプの男性だった。 絵美は、留学生を「サーク」と名前で呼んでいた。


 人文系 2位(次席)が、白沢絵美様だ。


 そして、3位が私だった。


 カセイダード王国が創立した星立カセイダード大学は、みなさんが想像するような就職予備校ではない。

 簡単に言えば、就職活動は不要だった。

 カセイダード王国が出資していることもあり、成績順で就職先が決定されていた。


 逆らうことは許されなかったが、自分で探そうとする者はいなかった。

 カセイダード大学が指定した就職先よりも条件が良い就職先はいくら探しても存在しない。

 多くの日数を費やして探して得る情報は、カセイダード大学の判断が、いかに正しいかという事実だけであった。


 その結果、絵美は、カセイダード本星のカセイダード部隊=国王を護衛するエリート部隊にトップとして入り、現在も最高責任者の地位に位置している。


 わたしは、カセイダード本星から遠く離れたチータマルム星のカセイダード王国の最高責任者になった。


 カセイダード王国の国教にとって、東の端は、聖なる方角を極めたという名誉あるもので、

「遠すぎて迷っていると、ひとりの友人に弱音を吐いた結果、30人くらいの同期生から、代わって欲しいと詰め寄られた。

 結局、絵美の勧めもあって任を受けたが、10年も経過すれば、白沢絵美様と呼ばずにいられないほどに、こころの距離が開いてしまった。」


 そんな絵美からの久しぶりのプライベートメッセージと過去を思い出していると、次のメッセージが来た


白沢絵美

「どうしたの? 病気で寝込んでいるのかな?

じゃあ、おやすみなさい。」


 これは、

 「今すぐ通信しろ!

わたしを待たせるなんてひどい。

しくしく 泣き」

という意味だった。


 あわてて、通信を開始した。



司会(中路真々美)

「絵美様、夜分に恐れ入ります。

 相談したい悩み事があります。

 お時間を頂けませんか?」


白沢絵美

「真々美さん こんばんは 大丈夫です。

 頼ってくれて、うれしく思います。

 どうしましたか?」


 やさしい笑顔のうらに、わたしを待たせるなんて、罪な人。

 「わたしの愛を試しているのね?」

といういたずら心が透けて見える。


司会(中路真々美)

「チータマルム星の光元国からの移民審査の中間報告というか

 1/4(クォーター quarter)報告になりますが・・・」


白沢絵美

「あなたの結論は? どうしたいですか?」


 やさしいまなざしの裏からは、

 「他人行儀で形式ばった報告ではなく、本音で、聞きたいことを聞いて欲しいな。

  なんのために、1対1で話せる深夜を選んだと思っているの?」

という声が聞こえてきそうだ。


司会(中路真々美)

「今回の移民審査で合格としたい者は1名だけです。

 その1名に対して、不義理をした光元国に経済的な圧力として、為替レートの変更を考えています。

 それだけではなく、一次試験を不合格にした157名のSNS書き込みに誹謗中傷に対する仕返しを含めています。」


白沢絵美

「ふーん。

 話を変えるけれど、あなたの妹分のオルアさんは、どうしているかしら?

 あなたの言うことをよく聞いているかなあ?」


 司会(中路真々美)は、冷や汗をかいた。

 お見通しだ。

 絵美様はすべてお見通しだ。

 おかしい。

 盗聴器や観察カメラを見ることできても、忙しくて見ていないはず。

 ピポットと呼ばれる最新見守りカメラも飛んでいない。

 しかし、なぜか、わたしの状況をくわしく知っている気がする。


白沢絵美

「中路真々美さん、いえ、真々美さん?

 私たちは固い友情で結ばれた友達じゃないの?

 昔みたいに、絵美って呼んで欲しいな?」


司会(中路真々美)

「いえ、そんな大学生のころのように馴れ馴れしくはできません。」


白沢絵美

「そう悲しいわ。

 真々美にそんな風に距離を置かれるなんて、

 もう切った方が良いかしら。」


 絵美様のほほに涙が伝わっている。

 オルアよりも数段上の自然な涙だ。


司会(中路真々美)

「絵美!

 じゃあ言わせてもらうけど、アリムさんのことは、どこまで知っていたの?

 予想外のことが起こって、ギリギリだった。」


白沢絵美

「真々美が感情をぶつけてくれるなんて、うれしいわ。

 卒業式の日にもどったみたい。」


 なにやら、かなりご機嫌だ。


司会(中路真々美)

「卒業式と言えば、絵美のお気に入りだったサークが他の星の女性に連れていかれて、さびしそうに見守っていた絵美を覚えています。」


白沢絵美

「へーっ、わすれちゃったの?

 あのときの真々美はかわいかったのになあ。」


司会(中路真々美)

「かわいいと言ってくれるのは、悪い気はしませんが、まあ、正直、うれしいですね。」


白沢絵美

「すなおな真々美が見れて、うれしいわ。

 あのときのサークを連れて行った女性のことを覚えているかな?」


司会(中路真々美)

「たしか、卒業式の門を通り抜けたサークの肩をつかんで、じっと見つめて言っていましたね。」


サークを連れて行った女性

「あなたが、サーク=バル=ルビエライン(Sark-Bar-RUBIELINE)くんね。

 わたしは、ナーム=トゥ=マミ(Naam-to-Mami)。

 5年間、わたしの言いなりになってくれませんか?」


サーク=バル=ルビエライン(Sark-Bar-RUBIELINE)

「はい、ついていきます。」


白沢絵美

「よく覚えていますね。 その通りです。

 その女性はサークを幸せにしてくれそうだった。

 もし、サークが断ったら、その場で切腹しそうな深刻な顔で、サークを待ち続けた顔をしていたから、良しとしたわ。

 5年前から、サークのことを見続けていたし。」


司会(中路真々美)

「5年も見続けていたなんて、気付きませんでした。

 だから、見送ったのですね。」


白沢絵美

「それだけじゃないけれど、もしかして、本当に覚えていないの?」


司会(中路真々美)

「確か、絵美のパートナーの(りゅう)(Ryu)くんが引き留めていましたね。」


白沢絵美

「そうそう、そして、サークは(りゅう)(Ryu)くんにこう答えていたわ。」


サーク=バル=ルビエライン(Sark-Bar-Rubieline)

「ナームは、1000年もわたしを待ち続けてくれた人だから。」


白沢絵美

「サークは、私が見抜けなかった「なにか」を見通したのだと理解したわ。」


司会(中路真々美)

「そうだったのですね。だから、ナームさんにゆずったと。」


白沢絵美

「本当に覚えていないの? 悲しいわあ。」


司会(中路真々美)

「そして、わたしは、こういった記憶が有ります。

 絵美の耳に、わたしの功績が届くように、がんばるから、楽しみにしていてね。」


白沢絵美

「その間の記憶が抜けていない? わすれたふりをしているの?」


司会(中路真々美)

「いいえ、うーん。 なにか有りましたか?」


白沢絵美

「そのころの私の目標を思い出せるかしら。」


司会(中路真々美)

「たしか、3種類のトップをコンプすると言って、なにかを集めていましたね。

 それがなにだったか思い出せませんが・・・」


白沢絵美

「そうですか。時間が掛かりそうなので、後にしましょうか。

 仕事の話ですが、任務中にわたしに聞きたいことがありませんでしたか?」


司会(中路真々美)

「移民審査船に、わたしとオルアを乗り込ませた理由は、アリムさんという男の子のクラスター認定を取れる可能性がある男性のためですか?」


白沢絵美

「そうです。 あなたがその場に居合わせない場合の獲得確率がゼロ%近くまで落ちるからです。

 そして、あなたの妹分のオルアさんのパートナー候補にするためです。」


司会(中路真々美)

「だったら、アリムさんだけを招待して、他の候補者は書類審査で落とせばよかった。

 そうすれば、こんな手間と労力と時間を掛けずにすんだんだ。

 いくら、アリムさんの治療のための日数を得るためとは言え、効率が悪すぎる。

 今回のことも、受伝台参照権が使える絵美と4人なら分かっていたはずだろうが、なぜ、こんな無駄な苦労をさせるのか?

 いやがらせか?」


白沢絵美

「真々美? 会話履歴参照権や受伝台参照権について誤解していませんか?」


司会(中路真々美)

「会話履歴参照権があるから、裏表があるひとの本音も読める。

 過去の出来事も知ることができる。

 受伝台参照権があるから、最高位の存在である女神から、最良で最高の助言を得られて、大成功をおさめることができる。

 この理解で合っているはずだ。」


白沢絵美

「真々美? いつの間に脳みそお花畑のような(あま)い考え方をするようになったのですか?」


 大事なものが劣化したような、

 憧れの存在が堕落したような、

 100年の恋が冷めたような、

冷たい目をしていた。


司会(中路真々美)

「ベーシックインカム導入が成功した理由は、カセイダード国王が受伝台参照権の助言を活用した結果だったはずだ。

 事実であり、あまい考え方などしていない。」


白沢絵美

「最高位の存在である、女神のクラスを持つ、あの融通(ゆうづう)が利かない小娘(こむすめ)本願(ほんがん)(※)を、思い出してください。」


(※)本願とは、神の位を得たときに、叶えたい目標のことだ。

 小娘の本願とは、

 「美女以上の女性が生と性を守ることができますように」

だった。


 一時期は、すべての女性に「正性知識を公開するべきだ」という運動があって、その通りにした。

 その結果、男性が女性に性的に襲われる結果となった。

 これでは、襲う側と襲われる側が入れ替わっただけで意味がない。


 このことを予見していたから、融通が利かない小娘は、「美女以上の女性」と限定したのだったと解釈された。


 その経験を活かして、クラスター表は、

  クラスター認定者向けと

  一般人向け

の2種類が作成されたのだった。


挿絵(By みてみん)


司会(中路真々美)

「美女以上の女性が生と性を守ることができますように、です。」


白沢絵美

「そうです。

 そして、その願いは、女神さまの犠牲の元に支えられています。

 女神さまが過酷な状況で、正気を失う前に代わりの者を立てる必要があります。」


司会(中路真々美)

「それは理解しています。

 そして、ルーレットの()け位置全部にコインを置いて()けることを望まれるために、わたしたちがわたしたちの判断で、間引(まび)きすることを嫌がられます。

 だから、200人全部を審査(しんさ)させたということですか?」


白沢絵美

「うーん、近いけれど、注目して欲しい点は別です。

 つまり、なにかを得るためには犠牲が必要です。

 楽して、最短距離で手に入るものなど無いのです。」


司会(中路真々美)

「アリムさんを手に入れるための対価が

  200人を審査することだった。

 ということですか?」


白沢絵美

「近くなりましたが、正解にはほど遠いです。


 まず、会話履歴参照権は、その会話を知ることで苦労させることが目的です。

 知らなければ、状況を良くするために、考える必要がありません。

 相手の状況や本音を知らなければ、負い目や罪悪感を感じる必要がありません。

 相手の悪意を知らなければ、いつのまにか退場するだけです。

 楽な最後を迎えられるでしょう。


 つぎに、受伝台参照権は、ヒントを与えてくれるだけです。

 決して、答えではありません。

 課題を与えて乗り越えようとし、乗り越えた先に、なんらかの成果があるだけです。


 あなたが文句を言ったアリムさんという男の子のクラスター候補について、受けた助言は、次の通りです。


 紅姫、黄花、青紫の3名がそろえば、稀有なクラスターを得ることができるであろう。

 しかし、宝石が磨き削り上げられる前は、ただの石ころで見向きもされない。

 紅姫が見つけ、黄花が青紫を守ることで、青紫が磨き続けることができるだろう。

 青紫は磨き上げた宝石に満足するが、それをひとに取られるくらいなら燃やすだろう。

 紅姫と黄花の協力がなければ手に入らなかったことを理解して、燃やす前に紅姫と黄花に助けを求めるが、紅姫と黄花は、青紫の幸せを願って断るだろう。

 青紫は宝石を燃やすことを一時は思いとどまるが、宝石を砕いてしまう。


 あなたなら解決できます。 最後まで、あきらめないでください。


司会(中路真々美)

「なにかの物語の一説ですか?

 よく暗唱するまで読みましたね。

 3人が協力して誰かを守って、貴重な宝を手に入れるパターンは良く聞きますね。」


白沢絵美

「真々美?

 かなり魔力が落ちていませんか?

 もう1回、聞きますか?」


司会(中路真々美)

「いえ、聞いても意味わからないんで、要りません。

 ベーシックインカム制度を導入したときも、こんな感じのヒントだったのですか?」


白沢絵美

「あのときのヒントは、もっと難解でしたね。


 あるところでは、新しい社会制度の実験が進められています。

 しかし、実験母数が少なすぎたり、予算が足りなかったりして、十分な検証ができませんでした。


 でも、効果があることを多くのひとが予想しています。

 しかし、ダメだった場合の不安と責任を誰がとるのか?

 大きく変えることは大変だ。


 今まであるものが無くなるなら、そのままがいい。


 知りたい?


 ベー 教えてあげない。

 病気になっても、6まで数えても、

 マイク付きイヤホンを付けて、こっそり教えて?

と言っても、ダメだよ。


 王様にでもならなきゃできないよ。


 でも、できたら、みんなが幸せになって、手のひら返すよ。


 机上の空論、絵空事、うちわで空を飛ぶくらいにできそうにない夢の世界。


 王様のあなたなら、もしかしたら、できるかもしれません。


司会(中路真々美)

「今度は、まだマシですね。

 これをベーシックインカムと結びつけた国王様は、すごいですね。」


白沢絵美

「わかりませんか?

 真々美なら簡単だと思ったのですが、テキスト付きで渡しますから、考えてみてくださいね。」


司会(中路真々美)

「冬香とオルアにも見せて聞かせて良いですか?」


白沢絵美

「アリムさんにも見せて聞かせてください。

 男の子のクラスター認定を受けるころまでには、魔力が高まっているでしょうから、きっと分かるでしょう。」


司会(中路真々美)

「はい、そうします。

 良く分かりませんが、受伝台のヒントを聞いて、わたしたち3人を審査に向かわせるべきと、国王様と絵美とあとの4人が判断されたということですね。」


白沢絵美

「その通りです。

 本題として、わたしに相談したかったことがあったのでは?」


司会(中路真々美)

「そうでした。

 「わたしたちの誕生日を8月3日に変更する手続き」

をお願いしたいです。


引用元: 第一章 012 ベーシックインカム制度を成功できた理由


 アリムさんを若返らせる過程で、アリムさんだけでなく、わたしたち3人も少し若返ってしまいました。

 年齢計算の起算日を変更しないと健康診断の数値にも影響しますから。

 でも、若返ったことが周囲に知れると、ねたまれるしどうしようかと。」


白沢絵美

「真々美は、カセイダード大学を卒業したときと変わっていないので、バレないのでは?

 冬香さんとオルアさんも10才の少女に若返ったのでもない限り、周囲には分からないでしょうから、安心しても

良いでしょう。

 そもそも、管理は、カセイダード隊員番号とカセイダード国民番号の2つです。

 容姿、性別、誕生日や氏名などでは管理されていないから大きな影響は無いです。

 ただ、台帳に登録されている誕生日や名前などで運勢が変わると信じている人が多いです。

 このような事情から変更しても、目立たないで済むでしょう。」


司会(中路真々美)

「運勢を気にする人が、まだいたのですね。」


白沢絵美

「気になる人は、変えたいだけ変えれば良いです。

 生命や身体に悪い影響が出ない限りという条件付きですが。

 あと2つくらい聞きたいことがありそうですね。」


司会(中路真々美)

「光元国への対応として、

  1Versil(バーシル) = 100(まる)(光元国の通貨)

にしようと考えています。

 また、今後はカセイダードの通貨を両替せず、カセイダード王国への支払い時の換算レートのみにしたいと思います。」


> 1Versil = 100丸(光元国の通貨)

> にしようと考えている。

> しかも、両替レートではなく、「換算レート」だ。


引用元 第一章 014 司会(中路真々美)の課題


白沢絵美

「光元国と関係諸国に分からせたいのならば、

  1Versil(バーシル) = 1万丸(まんまる)光元国(ひかりもとこく)の通貨)

にしないと分からないのではないかなあ?


 両替レート表で、100なんて数字は珍しくないし、10000くらいにしないと、気付いてもらえないよ。

 みんな忙しくて、流し見しかしないから。」


司会(中路真々美)

「しかし、それでは厳しすぎませんか?」


白沢絵美

「じゃあ、責任者は私の名前で行きましょうか?

 サインして送ります。

 届いたでしょ。」


司会(中路真々美)

「ありがとうございます。

 でも、追い詰めすぎて、やけを起こされても面倒になりませんか?」


白沢絵美

「十分な兵器はあるはずよね。

 壊れたり、補修部品が足りないなら送るように手配しますよ。」


司会(中路真々美)

「ただ、その強力すぎて、やりすぎになるかと。」


白沢絵美

「なまくら刀で時間かけて切られるよりも、名刀でスパッと切られる方が幸せでしょ?

 苦しまなくて済むし。」


司会(中路真々美)

「確かに、そうですね。」


白沢絵美

「あと1つ、あるでしょ? 悩んでいることが。」


司会(中路真々美)

「コモンルーンの5つ目と6つ目について、教えて頂ければ助かります。」


白沢絵美

「うーん、めったに使うことは無いけれど、あるとないとでは大違いね。

 燃費が悪すぎるのが欠点ね。

 あなたもそう思うでしょう。


 それよりも、悩んでいることがありそうよ。

 なにに悩んでいるの?」


司会(中路真々美)

「コモンルーンの5つ目と6つ目の活用方法についてと、情報公開がどこまで許されているのか?ですね。」


白沢絵美

「自分のスリーサイズやカップ数を服に書いて歩く人がいない程度の価値じゃないかなあ。

 聞かされても、返答に困るからね。」


司会(中路真々美)

「そんなもんですか?

 もっとたいそうな物で、非公開にするべき機密のようなものかと考えていました。」


白沢絵美

「そうねえ、よほど親しい相手やパートナーでも無い限り、知らせる必要はないわね。

 それで?」


司会(中路真々美)

「いえ、いろいろと教えてもらって助かりました。

 他は、特に無いですね。」


白沢絵美

「コイバナ(恋の話)とか無いの?」


司会(中路真々美)

「いえ、特にないですね。

 カセイダード王国に船が着いたら、男の子を口説いて、相手してもらって、家事を頼もうかな?くらいですね。」


白沢絵美

「もう? よそよそしいのね。

 卒業式のときの貴方は、とっても可愛かったのに。

 その面影も無いわ。」


司会(中路真々美)

「いまと変わらないと思いますが。」


白沢絵美

「思い出させてあげようか?

 ナームと名乗る女性がサークを連れて行こうとしたとき、なぜ、私が止めなかったか思い出せない?」


司会(中路真々美)

「絵美が言う通り、サークさんを幸せにしてくれそうだったからでは?」


 プチンって音が聞こえた。


司会(中路真々美)

「あれ? なにか切れました?

 もしかして、絵美、太った?

 総責任者をしているから運動不足じゃない。」


白沢絵美

「真々美~ーーー。」


 目が笑っていない笑顔を久しぶりに見た。


白沢絵美

「あなたがあー、私を引き留めたからよ。

 もう半分の理由はね。」


司会(中路真々美)

「そうでしたか?

 そういうとき邪魔する主義じゃないですよ。」


白沢絵美

「絵美ーーー、離れたくないよー、嫌だよー

 そうだ!

 絵美、いいこと思いついた、あの卒業のアーチをくぐらなかったら、まだまだ一緒にいられるよ。

 ねっ?

 行かないで、絵美ーーーー


と言って泣きじゃくる貴方を振りほどいて止めるほどの緊急性を感じなかったから、あなたが満足するまで、その場に留まったのよ。


 2時間くらいして、冷え込んで、そろそろトイレに行かせてーー


と思ったときに、あなたが急にかっこいいこと言い出して、

 「最後に一緒にお花摘みに行こう?」

って、トイレに行ってから、卒業のアーチをくぐったの?


 どう? 思い出した? 真々美?」


司会(中路真々美)

「・・・」


 返事は無かったが、顔を耳の先まで真っ赤にしていた。


白沢絵美

「・・・」


 思い出したようね。まあ、ゆるしてやるか。


司会(中路真々美)

「絵美、ありがとう。 じゃあ、またね。」


 切ろうとして、待ったが掛かった。


白沢絵美

「待って、まって、待って、まだ終わってない。

 切らないで。」


司会(中路真々美)

「ちゃんと思い出したから、いいでしょ。

 それとも、まだわたしの恥ずかしい話が有るの?」


 ひとは都合が悪いことは忘れたり、記憶を改変したりするが、司会(中路真々美)は、わすれるタイプらしい。


白沢絵美

「2つ話が残っています。

 公的な仕事の話と、プライベートの話があるわ。

 どっちから聞きたい?」


司会(中路真々美)

「公的な仕事の話から聞くわ。」


白沢絵美

「オルアさんは、アリムさんが初めてのナイトバインドの相手になる予定よね?」


> (注) 騎士(Knight)契約と夜(Night)契約をパートナーと結ぶこと。


 くわしくは、第一章 004 運営側の話し合い、クラスターとは 参照のこと


司会(中路真々美)

「そうですね。

 オルアが仲良くしようとした初めての男性がアリムさんなので、ナイトバインド枠は空いているでしょうね。

 オルアは、いろいろと試したようですが、よほど気に入ったようです。」


白沢絵美

「それは良かった。

 真々美と冬香さんのナイトバインド枠は空きがあるかな?」


司会(中路真々美)

「いまは有りますよ。

 わたしは良い男の子が見つかったら、迷わずナイトバインドしたいと思う。

 もちろん、公私の区別は付けます。


 冬香は良い男の人が見つかったら、迷わずナイトバインドしたいと思っていますね。


 良いひとがいたら、こちらに来て欲しいですね。」


白沢絵美

「うんうん、それは良かった。 本当にね。」


 ニンマリと笑った。


司会(中路真々美)

「絵美? なんの悪だくみ?」


白沢絵美

「これは半分仕事で、半分プライベートに過剰に干渉するパワハラだから、断られても仕方ないのだけれど・・・


 ・・・


 ・・・


 もしも、もしもの話なんだけれど、オルアさんが頼んできたら、真々美と冬香さんのふたりとも、アリムさんとナイトバインドして欲しい。


 そんな可能性は低いだろうから、いつまでもナイトバインド枠を空けて欲しいとは言えないけれど、もしものために備えて空けておいて欲しい。」


司会(中路真々美)

「それは、どういう意味で?」


白沢絵美

「3人のナイトが倒されたら、山分けされる危険があるから、3人目のナイトはぜったいに倒されないように、空席にする必要があることは分かっている。


 つまり、実質2席しかないナイトバインド枠の1席を空け続けることは厳しいと分かっている。 

 でも、でも、真々美と冬香さんのふたりしかダメなの。」


司会(中路真々美)

「わたしのナイトバインド枠はできるだけ長く空席を確保します。

 しかし、冬香のナイトバインド枠は冬香自身に決めさせて欲しいから、返事はできません。」


白沢絵美

「ありがとう。 助かるわ。


 それでは、お待ちかねのプライベートの話をしましょう。


アリムさんがカセイダード王国の王城で、国王様に映像通信で面会して、1ヵ月も経てば、生活基盤もできて、落ち着くわよね。」


司会(中路真々美)

「そうですね。

 オルアとアリムさんがケンカ別れしない限り、私の手を離れるから、ひと息付けますね。」


白沢絵美

「でしょ! でしょ!

 そのころに、カセイダード本星に、真々美が出張する理由を作って、1週間くらい滞在できるようにするから、2人でデート

しましょう。

 ひさしぶりにあなたと2人で、ピアノの音色を楽しみたいわ。」


司会(中路真々美)

「そうですね。

 ディナーはピアノが聞けるレストランを予約してくれますか?

 楽しみですね。

 1週間もあれば、色々な店のピアノを聞きに行けますね。」


白沢絵美

「もう、意地悪ね。

 わたしも準備するけれど、

 あなたもピアノの調律をちゃんとしておいてね。


 じゃあね。 おやすみなさい。 ぶちっ。」


 通信が切れた。


司会(中路真々美)

「ピアノを聞きに行くのに、なぜ調律をしなければならないんだ?

 なぞなぞかな?」



 白沢絵美は、コモンルーンの窓を眺めていた。


[5] レバーラ


<同性>

中路 真々美

ミミー ミリー

リリー ラリー

シドニー ソドニー

近藤 美々



[5] Rebaara


< same-sex >

Mamami NAKAJI

Mimi Millie

Lily Larry

Sidney Sodney

Mimi KONDOU


挿絵(By みてみん)


白沢絵美

「もう? 真々美はいじわるね。

 レバーラに表示されている限り、お互いが友達だと認識していることが分かるでしょうに。


 それとも、忙しくて、レバーラを見る暇も無いというのかしら。


 それは無いわね。


 真々美~ わたしを、からかったなあ。


 今度会ったら、あの綺麗なソプラノで何曲も歌ってもらうわ。」


 白沢絵美は、司会(中路真々美)が、「コモンルーンを4個目までしか使用できない」という可能性を思いついていなかった。


 ふたりの話が微妙にかみ合っていない理由は、そこにあった。


 まあ、ふたりがあったときには、絵美が真々美の頭をつかんで、レバーラの説明をするだろう。



 司会(中路真々美)は、考え込んでいた。


 なぜ、わたしがピアノの調律をする必要が有るのだろうか?

 ピアノの演奏を売る高級レストランなら、専属の調律師がいるだろうに、その調律が気に入らないのだろうか?


 それなら、絵美自身がピアノを調律すれば良いだろうに。


 訳が分からん。


 なぜ、わたしをいじわる呼ばわりするのか?


 もう眠ることにしよう。


 それにしても、音色と言えば、男の子のアルト笛やソプラノ笛が一番だろうに。


 どうして、ピアノの音色にこだわるのだろう。

 お嬢様だからかな?


 とにかく、明日は、冬香に伝えなければならない。


 アリムさんのナイトバインド枠を空けるようにと、「半分命令で、半分プライベートに干渉するパワハラ」を白沢絵美様から伝言を頼まれたことを。


 そして、いつになるか分からない、いや永遠に来そうにない、オルアに頼まれる日を待つ必要があることを。


 司会(中路真々美)は、眠りについた。



 司会(中路真々美)は、なぜか目が覚めた。


白沢絵美

「ピアノの調律ちょうりつ、わすれないでね。」


 なんだか色っぽい目をしていたような気がするな。


司会(中路真々美)

「はっ、やっと意味が分かった。」


 顔中はもちろんのこと耳の先まで真っ赤にして、真々美は、頭の上まで布団をかぶったのだった。








 名前の呼び方に、さんがついたり、くんがついたり、表記の揺れが気になる方も多いのではないでしょうか?


 親しさの度合いを示す大事な要素ですから、表にまとめました。


 ご覧ください。


挿絵(By みてみん)


1.さま


同性:

"かなり目上 または 昔のように親しくできないと遠慮"

異性:

"かなり目上 または 距離を置きたい"



2.苗字 + さん

同性:

すこし敬意

異性:

"今後に期待"



3.名前 + さん

同性:

親しくても、冷静な話をしたいときに使う

異性:

"恋愛対象宣言または恋人間近"



4.くん

同性:俺の下に付け

異性:同等以下



5.苗字を呼び捨て

同性:見下している

異性:"友達扱いまたは過去に恋仲"



6.名前を呼び捨て

同性:"弟分、妹分、庇護対象"

異性:"ナイトバインドまたは親子、兄弟姉妹"


 お読みいただき、ありがとうございます。


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