表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

153/209

151 【挿絵】 メラニィが好きと思える唯一の男性

 ボクはアリム。

 今夜は、シュウピンさん、メラニィさん、絵美さんといっしょに過ごすことになった。


 大きなベッドの上に、ボクたちはパジャマ姿で座っている。


絵美

「さあ、アリムさん、ごらんになって!

 美しいシュウピンさんと、美しいメラニィさんのパジャマ姿を!」


アリム

「う、うん、とても美しいと思います。」


絵美

「そのふたりを上回(うわまわ)る美しさの絵美のパジャマ姿もご(らん)ください。」


シュウピン こころの声

『絵美様のことが(きら)いになってきたわ。』


メラニィ こころの声

『アリム様がなんと答えるかが()ものだな。』


アリム

「そうだねえ、シュウピンさんの美しい黒髪が際立(きわだ)つねえ。」


シュウピン

「えっ? ポッ。」


絵美

「さすがはアリムね。


 美しい黒髪にしか発生しないエンジェルリングが、シュウピンさんの真っすぐで裏表(うらおもて)がない(ひとみ)の輝きと共鳴(きょうめい)して、素敵(すてき)よねえ。


 さすがのわたしも、うらやましくて、嫉妬(しっと)しそうよ。」


シュウピン

「そんな、絵美様。

 ()ずかしいです。」


絵美

「本当に可愛いわあ。

 もし、真々美より先にシュウピンさんに出会っていたら、口説(くど)いていたわね。

 きっとね。」


シュウピン

「まあ、光栄(こうえい)ですわ。」


シュウピン こころの声

『どうしましょう。 絵美様のことが好きになってきたわ。』


メラニィ

「アリム様、わたしについては、どうだ?」


アリム

「そうだね。 髪の毛を巻いたカールと(むらさき)(ひとみ)(のぞ)()みたくなるよ。」


メラニィ

「近くで、ご(らん)になりますか?」


アリム

「メラニィさんの(ひとみ)(おく)を見てしまったら、メラニィさんから(はな)れられなくなりそうだから、遠慮(えんりょ)しておくよ。」


絵美

「アリムさん、正解よ。

 メラニィさんなら、指折(ゆびお)りの美女が使う【(ひとみ)(おく)】という魅了技(みりょうわざ)を使用できると思うわ。」


アリム

「やっぱりか。

 ということは、シュウピンさんは、【(いや)しの()】という魅了技(みりょうわざ)を使用できそうだね。 シュウピンさんの視線は、とても(あたた)かくて心地良(ここちよ)いよ。」


絵美

「アリムさん、正解よ。

 シュウピンさんは、【(いや)しの()】という魅了技(みりょうわざ)を使用できるわ。」


シュウピン

「わたしとしては、使用している自覚(じかく)がないのですが・・・」


絵美

「そうなのね。 (した)しいひとに(たし)かめてもらう方がいいわ。

 ONとOFFを意識(いしき)できる方が無難(ぶなん)よ。


 というよりも、マイナスの効果(こうか)も出せるというか出るから、気を付けてね。」


シュウピン

「どういうことですか、くわしく知りたいです。」


絵美

「うーん、例えば、

   この人のことが嫌いだわ。

と思ったときに、冷風(れいふう)を相手に感じさせることもできるのよ。


 こんなふうにね。」


アリム

「絵美さん、そんな冷たい目で見ないで、ボクはなにか気に(さわ)るようなことをしましたか?」


絵美

「いいえ、この中でわたしに一番近いひとがアリムさんだからよ。

 この使い方は、精神的(せいしんてき)なダメージが強いからね。」


アリム

「ボクなら、(きず)ついてもいいの?」


絵美

「いいえ、そんなことないわ。


 ただ、アリムの場合は、ね、

  「ごめんね、朝まで温めてあげるわ。」

というフォローができるからね。」


アリム

「ふーん、そうなんだ。

 それでも、納得(なっとく)()かないよ。」


絵美

「じゃあ、もし、わたしがシュウピンさんに今の技を使ったら、真々美とメラニィさんからお説教1時間の(けい)(しょ)されるわ。


 そして、もし、わたしがメラニィさんに今の技を使ったら、冬香さんとシュウピンさんからお説教1時間の(けい)(しょ)されるわ。」


アリム

「ボクに対しては、苦情(くじょう)が出ないのかな?」


アリム

「もちろん、でるわよ。

 そのときは、

   アリムさんが欲しくて欲しくて、アリムさんと朝まで温めあう状況(じょうきょう)を作りたかったの。

と言うわ。」


メラニィ

「アリム様、その(へん)納得(なっとく)した方がいいぞ。

 女性は男性の愛情をためしても、ほとんどの場合、(ゆる)されるからな。


 ただし、男性が同じことをしたら、気持ち悪いと拒絶(きょぜつ)されるだろうな。」


アリム

「男性にきびしいな。」


メラニィ

「カセイダード王国は、本当の意味で【男尊女卑(だんそんじょひ)】だからな。


 男性は尊敬(そんけい)される存在であるように全力で、(つと)めろ。

 女性は(いや)しい存在だから、男性に負けても(くや)しがらなくていい。


という考え方の国風(こくふう)だと覚えておいてくれないか。」


アリム

「へー、同じ言葉でも、光元国(ひかりもとこく)とは意味がちがうね。」


シュウピン

「そういう事情(じじょう)があるから、光元国で移民募集(いみんぼしゅう)をしたのです。


 所変(ところか)われば品変(しなか)わる


 アリム様のように、カセイダード王国にとっては、(この)ましい人物を探すためだったのです。」


アリム

非常(ひじょう)光栄(こうえい)です。

 ありがとうございました。」


絵美

「メラニィさん、どうしたの?

 考え込んでいるようだけれど。」


メラニィ

「絵美様には分かりますか?

 シュウピンは?」


シュウピン

「あなたが何かを決心したことは分かります。

 それが、わたしにとって良い内容であれば良いのですが・・・」


メラニィ

「良い内容だと思うぞ。

 ただ、シュウピンより先になるとは思わなかった。」


アリム

深刻(しんこく)な話ですか?」


メラニィ

深刻(しんこく)な、ですか?

 そうですね。

 堅苦(かたくる)しくても、真剣(しんけん)さが(つた)わる方が良いですね。


 絵美様、アリム様、シュウピン

 15分ほど、席をはずします。


 失礼します。」


 メラニィさんは、部屋を出ていった。


絵美

「お花畑で、花束(はなたば)を作るのかしら?」


アリム

「あの、それでしたら、トイレに行ってきてもいいですか?」


シュウピン

「絵美様の優雅(ゆうが)表現(ひょうげん)台無(だいな)しです。

 アリム様。」


アリム

「なぜか分からないけれど、第1志望の会社の面接に行ったときのように緊張(きんちょう)して落ち着かないんだよ。」


絵美

「へー、その会社は、どうだったの?」


アリム

「落とされたよ。


 その会社の人事のご子息が言うには、

   大学推薦を形だけ受けるけれど、採用しないことが決まっている。

   これからも、大学から製品を買ってもらうために、人物に問題あることにしよう。

という裏事情があったんだって。」


シュウピン

「その会社名を、教えてもらえますか?」


絵美

「わたしも知りたいわ。」


 じゃあ、小声で言うから、耳を近づけてよ。

 ふたりは、(まよ)いもせずに、耳を近づけてきた。


アリム 小声

「?????」


絵美

「アリムさん、ごめんね。

 引き()めて。


 じゃあ、行ってきて。

 10分後には(もど)ってきてね。」


アリム

「ごめんね。 行ってきます。」


シュウピン

「絵美様。」


絵美

「カセイダード王国の購入先リストから、300年間以上、抹消(まっしょう)しましょう。」


シュウピン

「その代わりに、敵対者(てきたいしゃ)リストに()せておきますね。」


 絵美さんとシュウピンさんは、(かた)握手(あくしゅ)を交わした。



 メラニィが戻る少し前に、アリムが戻ってきた。


絵美

「アリムさん、大丈夫?」


アリム

「うん、落ち着いてきたよ。」


シュウピン

「それは、良かったです。」


 スーツ姿のメラニィさんが戻ってきた。


アリム

「えっ、もしかして、今から仕事をされるのですか?」


シュウピン

「メラニィ?」


絵美

「メラニィさん?」


メラニィ

「いいえ、仕事と同じくらい、いいえ、仕事以上に大事な話をするために、仕事着を着てきました。」


 メラニィは、アリムの前で正座(せいざ)をして姿勢(しせい)を正した。

 アリムを見つめる目は、とても真剣だった。


アリム

「お聞きします。 メラニィさん。」


メラニィ

「アリム様、わたしは男性が(きら)いです。

 生殖本能(せいしょくほんのう)忠実(ちゅうじつ)な、性欲(せいよく)(あやつ)人形にんぎょうだからです。


 だから、こころから()()いたいと思える男性など物語の中だけの、空想(くうそう)存在(そんざい)と思ってきました。


 でも、わたしの考えは間違(まちが)っていたようです。


 アリム様、あなたは、わたしが恋愛感情(れんあいかんじょう)を持って、愛情交換(あいじょうこうかん)したいと思える、【最初で最後の男性です。】」


挿絵(By みてみん)


アリム

「ボクの人格を(みと)めてもらえたようで、本当に(うれ)しいです。


 これから、よろしくお願いいたします。」


メラニィ こころの声

『アリム様が(なみだ)を流しながら、まっすぐに見つめ返してくれた。

 思い切って告白(こくはく)して良かった。

 このときの判断(はんだん)が正しかったと、胸を張って言えるわ。』


 メラニィさんは、アリムさんを同じ高さで抱きしめた。

 メラニィさんの頭のすぐ横にアリムさんの頭があった。


 その様子を見て、絵美は胸に()すような痛みを感じていた。


メラニィ

「アリム様、わたしのこともオルア様のように、いいえ、その半分くらいでも文句(もんく)は言いません。

 あなたの愛情をくださいませ。」


アリム

「メラニィさんの愛情もくださいね。」


メラニィ

「もちろんでございます。」


【読者様へ】


 あなたの30秒で、この作品にパワーをください。

 「ブックマーク」(2点)と、広告下(↓)の【見えない場所】にある「☆☆☆☆☆評価」(2~10点)を待っています。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ