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146 みんなの歩き方は、美しいよ

アリム

「歩く動作が、とても綺麗(きれい)だ。」


オルア

「良く分かったわね。

 医学的な解説もしたいから、冬香、お願いできる?」


冬香

「オルアも医師資格を持っているのだから、私に遠慮(えんりょ)しなくていいわ。」


オルア

「冬香が、そう()ってくれるなら。


 アリム、(ふと)()ぎた女性はバランスが取れなくなって、男性のような二線歩行(にせんほこう)になってしまうのよ。

 (まさかり)(かつ)いだ金太郎(きんたろう)みたいにね。


 そして、運動不足が過ぎると、足を上げるというか、(ひざ)()げることができなくなるのよ。

 そのような状態で歩くためには、ゼンマイをまいて歩くおもちゃのロボットのように、身体の重心を右や左に(かたむ)けることでしか歩けなくなるわ。


 さらには、デスクワークで(すわ)る時間が長くなると(つか)れてしまって、姿勢が(かたむ)いて背骨(せぼね)()がってしまう。

 その結果、身体の中央線にそって、身体を真っすぐに()ばせなくなるの。


 平均台の上を歩くことは、そのような状態に(おちい)らないために、とても重要な運動なのよ。」


アリム

「そうなんだね。

 最後に平均台に乗ったのは、いつだろう?

 高校生の頃かなあ?」


オルア

「じゃあ、セーラさんの模範演技を真似して、アリムも平均台の上を歩いてみてくれるかな?」


アリム

「うん、やってみるよ。」


 ボクは、両手を水平(すいへい)(ひろ)げて、バランスを()ろうとした。


オルア

「アリム、ダメよ。 手でバランスを取ることは反則(はんそく)よ。

 セーラさんは、両手は、きょうつけの位置だったでしょ。」


アリム

「手を広げたら、ダメなんて、難易度(なんいど)が上がるね。」


 ボクは、両手を広げずにバランスを取ろうとして、(ちゅう)かがみ姿勢になってしまった。


オルア

「アリム、しゃがまないで!

 平地(へいち)を歩くときのように、直立姿勢(ちょくりつしせい)維持(いじ)して。」


アリム

「う、うん。」


 ボクは、平均台を()(はず)さないように、足元(あしもと)を見ながら歩いた。


オルア

「アリム、足元にお金は落ちていないわ。

 前を見て(ある)いて。」


 ボクは、平均台から落ちてしまった。


アリム

「平均台が、こんなに(むず)しいなんて、(おも)わなかったよ。」


オルア

「これも、1か月くらい()かりそうね。

 周囲(しゅうい)()をアリム自身(じしん)()()せる重力(じゅうりょく)(たか)める訓練(くんれん)にもなるから、がんばって時間をかけても(そん)しないからね。」


アリム

「もう一度、やってもいいかな?」


オルア

「その前に、他の人の模範演技も見ましょうか?

 絵美様、(つぎ)に、メラニィさん、お願いできますか?」


絵美

(まち)ちわびたわ。

 アリムさん、()()ててね。」


 絵美さんは、平均台に登って、優雅(ゆうが)(ある)いてきた。

 ほんの10秒ほどの短い時間だったが、美しすぎた。

 しかも、ボクの目を見ながら、平均台の上を歩いていた。


絵美

「どうかな? アリムさん。」


アリム

「絵美さん、とても綺麗(きれい)だ。」


絵美

「うふふ、ありがとう。」


オルア

「次は、メラニィさん、お願いします。」


 メラニィさんも綺麗(きれい)な歩き(かた)だった。


メラニィ

「どうよ、アリムさん。」


アリム

「メラニィさん、綺麗です。」


メラニィ

「まあ、当然(とうぜん)だな。」


 続いて、真々美、冬香、オルア、シュウピンさんの歩き方も、みんな優雅(ゆうが)で美しかった。


アリム こころの声

『ファッションモデルたちが歩く姿も美しいが、平均台の上ではなく、ひろい平面(へいめん)のステージだからなあ。』


アリム

「ファッションモデルが歩くように美しかったよ。」


オルア

「そう、()め言葉として、受け取っておくわ。


 ただね、アリム、大事(だいじ)なことだから(おぼ)えておいてね。


 わたしたち、クラスターは、容姿(ようし)第一参照(だいいちさんしょう)とする職業(しょくぎょう)には()かない条件(じょうけん)で、この(うつく)しいルックスを女神(めがみ)さまから()(あたえ)えられているのよ。


 つまりね、アリムにとっては、ほめ言葉かもしれないけれど、わたしたちからしたら、どんな返事をすれば良いのか分からない迷惑(めいわく)言葉(ことば)よ。」


アリム

「そうなんだ。 むずかしいね。」


絵美

「アリムさん、

  ”ファッションモデルが歩くように”

という枕詞(まくらことば)()らないだけよ。


 アリムさんから、

  ”美しかったよ。”

と言われることは、(うれ)しいんだからね。」


アリム

「みんなの歩き方は、美しいよ。」


絵美、真々美、冬香、オルア、シュウピン、メラニィ、セーラ

「「「「「「「 満点(まんてん)よ、ありがとう。 」」」」」」」


アリム

「良かった。」


 ボクは、ホッとした。


 平均台は体力が減りにくいから何度か再挑戦したが、なかなか(むずか)しかった。


オルア

「アリム、(いそ)がなくていいわ。

 1ヵ月くらいで、できるようになるわ。」


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