142 美味しい身体づくり
ボクは、オルアの説明に意識を集中した。
オルア
「非力な女性や男の子でも、最低限の腕力が必要です。
そして、光元国では、体重を気にされる女性が多いようですが、【カセイダード王国】では評価が異なります。」
アリム
「どんな評価がされるのですか?」
オルア
「自分の体重を支えることができるか?
魅力的な歩き方ができるか?
これによって、女性として、男性として、魅力的かどうか?
いいえ、動物として性的な価値が有るかどうかを評価します。
では、見ててくださいね。」
アリム
「はい、お願いします。」
オルアは、雲梯という梯子を横にしたような運動器具がある場所に歩いて行ったので、ボクは後をついて行った。
オルア
「アリム、私の後ろではなく、雲梯の横方向から、見てください。
そうですね、あの辺りに立ってくれますか?」
オルアは、指を丸く動かして円を描いた。
ボクは、オルアが指さしたところに移動した。
オルア
「では行きますね。」
オルアは、雲梯の最初の鉄棒を両手で握って、両腕を引いて伸ばすを繰り返した後で、身体に勢いをつけて、左手、右手と交互に雲梯の鉄棒を握って、反対側の端まで移動した。
アリム
「ものすごいリズミカルで軽快な動きだね。
すごいよ、オルアさん。」
オルア
「ありがとう。
では、アリムもやってみて。」
アリム
「では、挑戦します。」
ボクは、オルアと同じように、雲梯の端から端まで行こうとした。
だけれど、腕の力が足りなくて、鉄棒につかまっていることができなかった。
最初の鉄棒から次の鉄棒に移動できなかった。
アリム
「もう1回、ためしても良いかな?」
オルア
「どうぞ、アリムが納得が行くまで、トライしてね。」
アリム
「よし、今度こそ。」
でも、ボクは自分で自分の体重を支えることができなかった・・・
5回目もダメだった。
オルア
「アリム、そこまでよ。
今まで、筋トレをさぼっていたようだから、できるようになるまで、1か月は掛かるわ。
毎日、少しずつ、挑戦しているうちにできるようになるわ。」
アリム
「うん、じゃあ、あせらないようにするよ。
これって、オルアだけでなく、真々美と冬香もできるのかなあ。」
オルア
「当然でしょ。
真々美、冬香、それを中断してきてくれる?」
真々美
「どうした、オルア。」
真々美と冬香が来てくれた。
オルアは、状況をふたりに説明した。
冬香
「雲梯は、懸垂が余裕でできるようになってからでないと厳しいわね。」
オルア
「必要な腕力を考えると、両手で行う懸垂のほうが簡単だけれど、
筋肉が疲労する前に雲梯をした方が安全でしょ。」
真々美
「それは、そうだがな。」
冬香
「そうね、でも、まずは「できる」か「できない」かを確認した方がいいわね。」
オルア
「たしかに、そうね。
アリムの他の能力が優れているから、腕力もあるものとして、疑わなかったわ。」
アリム
「真々美と冬香が雲梯しているところも見せてくれますか?」
真々美
「ああ、もちろんだ。
ただ、一瞬だぞ。」
真々美が、雲梯を始めて、反対側まで10秒程度で移動を完了した。
冬香
「ふむ、わたしもするわ。」
冬香が、雲梯を始めて、反対側まで10秒程度で移動を完了した。
アリム
「3人ともすごいよ。」
絵美が、シュウピンさん、メラニィさん、セーラさんを連れてやってきた。
絵美
「ねえ、面白そうなことをしているわよね。
わたしたちも、呼んでくれなきゃ?」
真々美
「ああ、すまない。
それぞれの日課を邪魔したら悪いと思ったんだ。」
メラニィ
「真々美様、気を遣ってくれることは嬉しいですが、アリム様がすることへの興味の方が強いぞ、です。」
冬香
「そうなのね、シュウピンさんとセーラさんは、どうなの?」
シュウピン
「日課も大事ですが、アリム様の情報はもっと大事ですね。」
セーラ
「オルア様とアリム様を邪魔してはいけないと理解はしているのですが、仲間にいれてほしいです。」
真々美
「じゃあ、いっしょに、アリムを観察しよう。」
絵美
「そうね、その前に、わたしたちの雲梯もアリムさんに見てもらいましょうか?
では、シュウピンさんから、よろしくね。」
シュウピン
「はい、絵美様。」
アリム こころの声
『優雅なお嬢様タイプのシュウピンさんには厳しいんじゃないかなあ。』
ボクの予想に反して、シュウピンさんは軽々と優雅に反対側に移動した。
アリム こころの声
『きれいだ。 スポーツができる女性って、どうして、こんなに魅力的なんだろう。』
メラニィ
「次は、わたしだな。」
言葉遣いがボーイッシュなメラニィさんは、元気に反対側に移動した。
メラニィ
「どうだ? アリム様。」
アリム
「お見事です。」
メラニィ
「ふっ、当然だ。」
絵美
「では、セーラさん。」
セーラ
「はい。 セーラ、行きます。」
おとなしそうな見た目から想像できないくらいに、スポーツが得意だと分かった。
絵美
「では、最後のトリ、真打の絵美です。
アリムさん、よーく見ててね。
あなたのお手本になるように、大げさな動作で移動するわ。」
絵美は、言葉通りに、悪く言えば、ぎこちない動きで、雲梯を移動した。
アリム こころの声
『なるほど、身体の反動を利用すると少ない力で移動できそうだな。
移動したい方向の反対側に身体を振って勢いをつけてから、手をはなして、移動するのか?
わかりやすい。 絵美さん、ありがとう。』
絵美
「アリムさん、どうかな?」
アリム
「なんか分かった気がします。
もう一度、挑戦したいです。」
美女7人の視線を浴びながら、ボクは、雲梯に再挑戦した。
結果は、2段だけ前に進めただけだった。
オルア
「アリム、上出来だわ。
ただ、右手の握力に比べて、左手の握力が弱いみたいね。
ちょっと待っててね。」
オルアは、用具入れから、ハンドグリップを持ってきた。
「強度 約15kg」
と表示されていた。
オルア
「ここにあるハンドグリップで一番弱いものだけれど、回数を重ねる方が効果が高いからね。」
アリム
「ありがとう、使わせていただきます。」
ボクは、右手と左手を各10回ほど握ってみた。
アリム こころの声
『オルアが言う通り、左手の握力が明らかに弱いな。』
オルア
「次は、あれをしましょうか?」
美女7人とボクは、オルアが指さした運動器具に移動した。
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