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第4部 第9話

「えっ⁈もういいの?ちょっと待ってよ、ダイキくん!」


調子に乗ったヒイロの鼻をへし折ってやろうとしていたダイキがすんなりとやめてしまったのをライトは納得出来ない様子でしたが、1人でヒイロの鼻をへし折ることは出来ないと考えたのか、仕方なくヒイロたちから離れていくダイキを追いかけていきました。


ヒイロとダイキのやり取りを見ていたツバサが「えらいよ、ヒイロ!ただ口で言ってるだけかと思ったら、ちゃんと自分が調子に乗っていることを自覚していたんだね。オオバヤシの嫉妬からくる発言に何も言い返さないどころか、下手に出て対応するなんて!」と、小声でヒイロのことを褒めました。


「オオバヤシの奴、この学校に通っていて怪物退治をしている人だったら誰でも突っかかって来るから、へたに言い返したりしていたら何されてたか分からないよ!」


「それは俺も分かってたからへたに言い返さなかったんだよ。オオバヤシはチカラのことも目の敵にしていて事あるごとに突っかかって来るのを見てたからね。ところでオオバヤシと言えば、こんな話を聞いたんだけど。」


ヒイロが話題を変えると、ツバサは「え?なになに?」と興味を持って聞き返しました。


「オオバヤシの身長が尋常じゃない早さで伸びているって話なんだけど、高校1年生の時の身体測定の時は180センチくらいだったんだけど、高校2年生の身体測定では200センチくらいになってたらしいんだ。」


「う~ん、確かに尋常じゃない早さで身長が伸びているけど、ありえないことではないんじゃない?まだ一応僕たちって育ち盛りだし。」


「そうなんだけど、オオバヤシの能力のこともあるから、学校の噂では毎日少しずつ自分の能力で体を大きくしていって、成長して大きくなったかのように見せかけているって話もあるけど、もっと面白いのはオオバヤシがバカだから怪物退治で体を大きくした後、元の体の大きさを覚えてなくて怪物退治をする度に段々と体が大きくなってるっていう話もあるんだよ。」


「プッ、そりゃ傑作だね。クックック。」


ヒイロの話を聞いて本当は大笑いしたいのに、教室内にオオバヤシがいるからツバサは笑いをこらえていました。


「ソラくん、ダメだよ。オオバヤシくんのことバカなんて言ったら!」


チヒロは笑うことなくヒイロの発言を注意しました。


「そうだね。ヒイロ、僕もその噂聞いたことあるし、オオバヤシの能力ならできなくもないと思うけど、オオバヤシは絶対にやらないと思うよ。」と、チカラもチヒロに同意しつつ、ヒイロの発言を否定しました。


「ちょっと待ってよ、二人とも!俺が言いふらした噂じゃないんだよ!確かにオオバヤシのことをちょっとバカにしたけども、オオバヤシだって俺に突っかかって来たんだからおあいこでしょ!」


ヒイロはダイキを馬鹿にする発言をした言い訳をしましたが、チカラは「それでもヒイロはバカにしすぎだと思う!」と厳しくヒイロを非難しました。


「…悪かったよ。もう二度とオオバヤシの噂は口にしないから許してくれ。」


「まあ、分かってくれたんだったら、もうこれ以上ヒイロのことは責めないよ。」


「ふぅ。良かったぁ。」


ヒイロは胸をなでおろしました。


「ちょっと良い?」


さっきまで笑いをこらえていたツバサがヒイロが責められていたので自分も責められるんじゃないかと怖気付きながら尋ねてきました。


「どうしたの?ツバサ?」


ツバサの態度を見て反省していると理解したのか、チカラは特にツバサを責めることなく何の用か聞いてきました。


「オオバヤシが噂のようなことはしないってどうして分かるの?…いや、これは反論したいわけじゃなくて、普通に疑問に思って聞いてるだけだから。」


「それはね、オオバヤシとコバヤシがすごく仲が良いからだよ。オオバヤシはいつも一緒にいるコバヤシが身長が低いことを悩んでいることを知っているから、背の高い自分と一緒にいるのが嫌じゃないか気にしてるって聞いたことがあるんだよ。」


「そっか。オオバヤシのやつ見かけによらず友だち想いなんだね。あっ、そろそろホームルーム始まるね。チカラ、クラスに戻ろう!」


ツバサがそう言った次の瞬間、「ピーッ!ピーッ!ピーッ!」と教室にいる生徒全員のスマホからアラート音が鳴りだしました。教室の中を一瞬で緊張が走りました。


このアラート音は「緊急怪物速報」の音でした。「緊急怪物速報」とは「緊急地震速報」と一緒でアラートが鳴った人のいる地域にそろそろ怪物が現れるということを報せるものです。ただし、怪物が出たと確実に分かってから出るものなので、このアラート音で怪物が現れることを知った人はもう手遅れだというのが世間一般の認識でした。


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