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第3部 第27話

 途中で何かに気が付いたムカイは名刺を取り出して「そういえば、アカシくんとは初対面だったね。防衛省の能力管理局で働いているムカイ・キミヒコです。よろしく!」と、ショウに向かって挨拶をしました。ショウは名刺を受け取りながら「アカシ・ショウです。よろしくお願いします。」と、挨拶しました。名刺を渡し終えたら、また3人はチカラの病室へ向かって歩き出しました。


「へぇー、ムカイさんとショウって初対面なんですか?」


「うん。ショウくんの担当者は別にいるからね。書類なんかで知ってはいたけど、会うのは今日が初めてかな。」


「そうですね。」


「ところで、エドさんはムカイさんの上司なんですか?」


「う~ん、上司と言うか先輩だね。僕よりも1年先に防衛省に入ったんだ。」


「へぇー、エドさんはヒデオさんの担当なんですか?」


「そうなんだ。ヒデオくんはコウイチくんがいるから活動範囲が日本全国に及ぶから担当者が多いんだけど、エドさんはそのまとめ役なんだ。」


「へぇー、そうなんですか。あっ!着きましたね。」


チカラの病室の前に着いたので、ヒイロがドアを開けると中にいたツバサと目が合いました。


「ヒイロ!良かったぁ~、無事だったんだね!」


ツバサが病院の中だということを忘れて、大声を出して喜びながらヒイロに近づいて来ました。


「ツバサ、ここは病院だからあまり大声を出しちゃだめだよ。」


「あぁ、ごめんごめん。ヒイロ、ケガはしなかった?あと怪物はどうなったの?またヒイロが倒したの?」


「ケガはしなかったから大丈夫。怪物は弱らせることは出来たけど、とどめはヒデオさんが刺したよ。それよりもチカラは目を覚ました?」


ヒイロの質問にツバサは表情を曇らせて「…その…チカラは…。」と、言いづらそうに答えました。

ツバサの様子を見たヒイロとショウが急いで病室の中へ入ると目に飛び込んできたのは、ベッドから上半身を起こして母親と楽しそうに会話するチカラの様子でした。ヒイロとショウに気が付いたチカラは「あっ、ヒイロ、ショウ!怪物は倒せた?」と、あっけらかんと質問してきました。


「…チ、チ、チカラのお母さんお久しぶりです。」


ヒイロの返答にチカラとチカラの母親はポカンとした表情をしましたが、すぐにチカラが「いや、そんなボケいらないから!僕がどんだけヒイロのことを心配したと思う?」とツッコミました。

だけど、ヒイロも負けじと「いやいや、心配なら俺の方がしたし!ずっと目を覚まさなかったからこのまま目を覚まさないんじゃないかと思って心配してたし!」と、言い返しました。


すると、チカラが申し訳なさそうに「そうだよね。心配かけたよね。ごめん、心配かけて!」と、素直に謝って来たので、ヒイロも素直に「こっちこそごめん。変にボケたりして。ツバサが暗い顔していたからチカラに何かあったんじゃないかと思ったんだけど、意識を取り戻して楽しそうにしていたから心配して恥ずかしくなってさ。…そうだよ!ツバサ!ツバサが悪いんだよ!おい!ツバサどういうつもりだよ!」


ヒイロが怒りの矛先をツバサに向けて、ツバサの方を振り向くと、ツバサはニヤニヤしながら「えー、僕はただ『チカラは目を覚まして、チカラのお母さんと話をしているよ。』って言おうとしただけだよ。勝手に勘違いしたのはヒイロの方じゃん!」と、悪びれもせずに言ってきました。

ヒイロはツバサの発言を思い返してみました。


(確かにツバサは『チカラは…。』としか言ってなかったな。でも、あの暗いトーンで話されたら誰だって悪い想像をすると思う。なんとかツバサに謝らせられないかな?……そうだ!)


「いや、あんな暗い感じで話されたら誰だって勘違いするよ!なあ、ショウ!」


ヒイロがツバサに謝らせるために思いついた考えは自分と同じく騙されたショウを味方に付けて、自分より頭の回転が速いショウにツバサを言い負かしてもらおうというものでした。

ですがヒイロにふられたショウはにこやかな表情で「別にいいじゃん!チカラが目を覚ましてくれたんだし、子供っぽいことで言い争うのはやめようぜ!」と、ヒイロをなだめました。

ショウの大人な対応を見たヒイロは怒っている自分が馬鹿らしくなりました。


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