第3部 第25話
「何言ってるんですか⁈僕が一番自己中でしょ!」
ゲンキの意見にヒイロは首を横に振りました。
「違います。ゲンキさんは自己中じゃないですよ。自己中心的な人は自分だけ助かったことを8年間も悩んだりしないですよ。それにゲンキさんは自分の血に病気やけがを治す力があることが分かってから、治療のために自分の血を提供しているんですよね?自己中心的な人だったら、法外な料金を要求するかもしれないのにそうしてないんですよね?そうしないのはゲンキさんが自己中じゃないからですよ。」
「でも、でも…。」
「それじゃあ、ゲンキさんが自己中じゃないという決定的な根拠を言いましょうか?それはゲンキさんが今こうしてベッドの上にいることが根拠です。」
ゲンキはヒイロの発言の意味が分からずポカンとした表情をしていました。
「いや、僕が助かったのはヒイロさんが助けてくれたからですよね?それが根拠と言われても…。」
「違います。そういうことじゃないです。ゲンキさんがベッドの上にいる原因が根拠だという意味です。」
「…それは酷いやけどを負ったからでしょ。」
「そうです!ゲンキさんは自分の身を顧みず、高熱の怪物にぶつかっていって病院にいた人たちを守ろうとした、こんなことをする人が自己中心的なはずがないですよ!」
「…いや…でも、それは僕がどんなケガも治る体だったからできたわけで…。」
「いえ、たとえどんなケガも治る体でも、高熱の怪物にぶつかっていくなんて自己中心的な人はしませんよ。ゲンキさんが他人を思いやる心があるから出来たんです。それでも納得出来ないなら、こう考えたらどうですか?確かに光のぬしに世界中のケガ人や病人を治してもらった方が何千万、何億の人を救えたかもしれませんが、ゲンキさんは今日この病院には来ていなかったかもしれないですよね?そうなると、僕が怪物の不意を突くことも出来なかったし、それによってヒデオさんが怪物を倒せなかったかもしれないし、もしかしたらヒデオさんが怪物にやられてしまったかもしれない。でもゲンキさんのおかげでそうならなかった。結果的にゲンキさんはゲンキさん自身の手でたくさんの人の命を救ったし、ヒデオさんの命も救ったというわけです。つまりゲンキさんはヒデオさんがこれから怪物の被害から助ける人を救ったと言っても過言ではないんです。これは日本、いや世界的に見ても重大なことですよ。これだけのことをしたゲンキさんを責める人はいないと思いますよ。」
「…そう…かなぁ?」
「そうですよ!ねっ、ヒデオさん!」
「そうだね。俺が怪物を倒せたのは怪物が弱っていたからだからね。じゃないと利き手が使えない俺じゃ、怪物にやられてたかもしれない。結果的にゲンキくんのおかげで助かったことになるね。」
「…そうかぁ。ヒデオさんのアシストが出来たのか、それなら僕の能力もまるっきり自己中心的な能力じゃないのかもしれないですね。」
ゲンキはまだ少し納得できないところもありましたが、ヒイロの自分への気遣いの熱量の多さやユウキ・ヒデオという今日本で一番の有名人に気遣ってもらったことが嬉しくて、これ以上うじうじ悩むのはやめようと思いました。




