第3部 第18話
怪物がいる病院のエントランスに近づくほど、室温が高くなっていました。
そしてヒイロがエントランスに来ると、尋常じゃない暑さにも驚きましたが、それ以上に驚くべき光景を目の当たりにしました。なんとこの暑さを引き起こしているとんでもなく熱い怪物を病院の外へ押し出そうとしている人が見えました。
ヒイロははじめ、暑さで幻覚でも見ているのかと思いましたが、何度目をこすって見ても怪物を押し出そうとしている人が見えるので、(幻覚じゃないんだ。)と理解しました。
(早く助けなくちゃ!)と思い、怪物に向かっていこうとしましたが、そこであることに気が付きました。それは「これだけの熱を放出できる怪物だと、宇宙に連れて行っても体が凍らないのではないか?」ということです。
「どうしよう?宇宙に連れて行っても駄目なら、昨日の怪物みたいにどこかにぶつけて倒すか?でも、あんなに熱い怪物だとぶつけた所が溶けるかもしれないな。」
「だったら鉄筋コンクリートで造られたビルにでもぶつければいい。数百度くらいなら耐えられるらしいからコンクリートって。」
ヒイロは自分の疑問に答えてくれた声のした方をバッと振り向くと、そこには汗を大量に流したショウがいました。
「ショウ、何で…?」「何でって、ヒイロ声に出してたぞ。」
「そうじゃなくて、何で付いてきたんだよ!」「でも、そのおかげで疑問が解決しただろ?」
「そうだけど…でも、」「ほらほら、早く行かないと、あの人助けられないかもしれないぞ!」
「分かったよ!でも、あとでこの件については話し合うからな!」
ヒイロはショウの軽率な行動に半ば怒りを感じながら、怪物に向かって飛んでいきました。
そして怪物にタックルしながら、怪物を押し出そうとしていた人を引き離し、病院の外へと怪物を連れ出しました。
怪物にタックルした形で、病院の外へと連れだしたヒイロはとりあえず出せるだけのスピードを出して、鉄筋コンクリートで造られた病院の近くのビルにぶつかっていきました。
ぶつかった瞬間、ドーンッと音を立ててコンクリートの外壁に深いひびが入りました。
ヒイロは外壁にぶつかった後に、怪物を倒せたかどうかよりも、「そういえば、ビルに人がいたら危険じゃないのか?」ということが気がかりになりました。
ヒイロは怪物がぐったりしていたので、あまり生死確認をせずにぶつかったビルに人がいるのかどうかの確認に向かいました。ヒイロがビルの出入り口に来ると、ビルの中から人が急いで出て来るのが見えました。
「すみません!大丈夫ですか?」
ヒイロがビルから出てきた人たちに声をかけると、その中の1人が「大丈夫?まあ、ケガ人は出てないみたいだけど。近くの病院で怪物が現れたって騒いでいる奴らがいたから、逃げ始める人が出始めたなぁと思っていたら、いきなりビルが揺れ始めて、慌てて逃げて来たんだけど、ここまで怪物がやって来たのかなぁ?キミは知ってる?」と質問してきました。
「いや…その…すみません!実は俺が病院に現れた怪物と一緒にこのビルにぶつかったからビルが揺れたんです。すみません!」
「えー!」
ヒイロがビルの揺れた原因を説明すると、ヒイロに質問した人だけでなく、周りの人たちも驚きの声を上げました。
「それじゃあ、怪物が近くにいるってこと?」
「はい。このビルの西側にいます。ぶつかった衝撃でぐったりしているので、もしかしたら死んでいるかもしれませんが、一応早めにここを離れた方がいいと思います。」
「分かった!みんな!早くここを離れよう!」
ビルの周りにいた人たちが遠くに逃げ始めたので、ヒイロが怪物とぶつかったビルの西側へ向かおうとしたところ、背後から「動くな!」と叫ぶ声が聞こえました。
その声にビクッと反応して、ヒイロが動かずにいると、「よーし…そのままゆっくり…こっちを向け!」という声があったので、緊張しながらゆっくり後ろを振り向きました。するとそこには、恐怖で今にも泣きそうなスーツ姿の女性を少しふらつきながら左腕で抱きかかえた「アツイ」が立っていました。




