第3部 第17話
ツバサが人型の怪物が現れたことをヒイロたちに伝えたら、すぐにヒイロは病室から出て行こうとしました。
「どうしたの、ヒイロ?まさか怪物と戦おうとしてないよね?」
出て行こうとするヒイロの腕を掴み、ツバサは問いかけましたが、ヒイロは答えませんでした。ですが、その無言が全てを物語っていました。
「やめてくれよ!ヒイロ!無理だってヒイロじゃ勝てないよ!怪物が現れたことを教えてくれた人に聞いたら、その怪物は周りの温度を変えられるほど体温を上げられるらしいんだ!ヒイロみたいにただぶつかっていくことしか出来ない能力の人じゃ、熱さで近づくことも出来ないよ!チカラみたいに遠距離から攻撃できる能力の人が退治に来るのを待った方がいいよ!」
「待ってる間に何人殺されるか分からないだろ!それにチカラだったらすぐに怪物退治に向かうと思うから、チカラが動けない今は動ける俺が怪物退治に行こうと思うんだ。大丈夫だよ!俺、大気圏突入の熱さにも耐えられるくらいのバリアー張れるから!」
ヒイロは自信満々に言いました。
「バリアー?それは張れるかもしれないって話だったろ!そんな不確定な根拠で怪物退治に行かせるわけにはいかないよ!」
「不確定じゃないよ!ショウは分かっているはずだよ!俺がバリアーを張れるって!」
「えっ⁈どういうこと?ショウ、本当に分かってるの?」
ヒイロの発言内容が理解できずツバサはショウを問い質しました。
「ああ、分かってるよ。確かにヒイロはバリアーを張れるよ。」
「ちょっと待って!何でショウはヒイロがバリアーを張れるかどうかが分かるの?」
ショウの発言で余計に混乱したツバサはさらにショウを問い質しました。
「それは俺の能力で分かったんだよ。ツバサにはちゃんと説明してなかったけど、俺の能力は『対象者が事実と違うことを言った場合、それを見抜く能力』なんだ。病院に来るまでの会話で、ヒイロが『もしかしたら俺にはバリアーが張れるかもしれない。』って言ってただろ。もしそれが事実と違うことを言ってたら俺の能力で分かるけど、何も反応しなかったからヒイロの言ってたことは事実だってわかるんだ。」
「…そうなんだ。でもそれだったら、何でその場でヒイロに教えてあげなかったの?ヒイロはバリアーを張れるかどうか実験される予定だったんだよ!いくらバリアーが張れるって分かってたって、実験されるのはかわいそうだと思わなかったの?」
「思ったけど、俺としてはヒイロには自分の能力は自分で気付いてほしかったんだよ。それに実験すれば、ヒイロの張れるバリアーの強度も分かるかなぁと思ってさ。でもヒイロは俺がヒイロがバリアーを張れるって見抜いていることに気付いていたみたいだけどな。」
「まあね。ていうか、実は俺がバリアーを張れるかどうか、ショウの能力で確かめようと思ってたんだ。ショウはハッキリと肯定はしなかったけど、否定もしなかったから、『ああ、俺バリアー張れるんだな。』って分かったよ。てか、あまり悠長に話してもいられない!ツバサ!もし俺が怪物をどうすることもできなかったら、ショウとチカラをよろしく!」
ヒイロは右腕を掴んでいるツバサの手を左手でどけて、チカラの病室から出て怪物のところへ向かっていきました。




