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第3部 第14話

 ヒデオがとてもつらそうな表情をしていたので、コウイチは更に「大丈夫か、ヒデオ?手が痛むのか?」と尋ねました。


「いや、手はハッキリ言って感覚がないから痛くはないんだけど、今倒した怪物どもにすごく怒りを感じていてさ。」


「そりゃそうだよな。俺も怒りを感じているし、当然だよ!こんなにたくさんの人を殺されたんだから!」


「そうなんだよ!こんなにたくさんの人を殺した怪物どもに激しい怒りを感じているんだけど、それと同時に自分自身にも怒りを感じているんだ!」


「自分自身?」


コウイチはヒデオが言ったことの意味が気になり聞き返しました。


「俺一人で怪物退治をしていた時に現場にすぐに駆け付けられずに助けられない人が出ることが嫌で、コウイチを口説いて怪物退治をしてきてみんなから『ヒーロー』と呼ばれるようになるまでになったけど、いまだに怪物の被害にあう人をゼロにすることができないどころか、今日はこんなにたくさんの人を助けられなかった。そんな肩書きに負けている自分にすごく腹が立つんだ。…コウイチ、俺はいつになったら本物の『ヒーロー』になれるんだろう?」


ヒデオの思い描くヒーローの理想が高すぎることにコウイチは驚きながら、怪物の被害がケガ人数人で済めばよしとしていた自分にすごく腹が立ちました。


「それは分からないな。もしかしたら一生なれないかもしれないけど、俺が手伝うよ!俺はワープすることしか出来ないけど、ヒデオが本物の『ヒーロー』になれるようにずっとサポートするよ!」


「コウイチ…ありがとう。」


慰めにはほとんどなっていなかったかもしれませんが、コウイチの言葉にヒデオは少し怪物退治への活力を取り戻しているようでした。


そこへ「ヒデオさーん!大丈夫ですかー?」と大声を上げて近づいてくる人がいました。

ヒデオとコウイチが振り向くと、イトイ・ユイが人形を連れて近づいて来るのが見えました。


「何だ、ユイか?あれ、一緒にいた女の子はどうしたの?」


ヒデオが疑問に思ったことを質問すると、「ああ、あの子だったらここから離れた所にある、うちのグループ会社に預けてきました。安心してください!うちのグループ会社には怪物が現れた時のためにシェルターを作ることを義務付けていますから!あの子はそのシェルターに入れてもらいました。あと、この人形もうちのグループ会社には常備するようにしてあるので、そこから連れてきました。」と肩で息をしながらユイは答えました。


「怪物は倒しちゃったみたいですね。さすがヒデオさん!…あれ、ヒデオさんの右手、なんか変じゃないですか?もしかして怪物にやられたんですか⁈」


「そうだった!ヒデオ、早く治療してもらわないと!○○病院に行くぞ!病院にオサムくんがいなかったら、オサムくんの家に伺ってでも治療してもらうぞ!」


「ちょっと待って!2人とも落ち着いて!とりあえず病院に行くのは、他に怪物がいないか調べてからじゃないと。もし俺がいなくなった後、この近くでまた怪物が現れたら、『職務怠慢だ!』と批判を受けるかもしれないし。それに幸い負傷したのは右手だけだから、まだ十分戦えるって!ここで治療のために戦線離脱している場合じゃないと俺は思うんだけど。」


「何言ってるんだ!もしお前が完全な状態じゃないまま『ハヤイ』みたいな怪物と戦ったら、今度こそ死ぬかもしれないんだぞ!ここは自衛隊や他の能力をもらった子たちに任せて、すぐに右手を治療すべきだ!」


「そうですよ!ヒデオさん!ここは私に任せて、ヒデオさんは治療に専念してください!」


「でも…。」


ヒデオはコウイチとユイに説得されながらも、まだ納得は出来ていないようでした。

そのときコウイチのスマホが鳴り出しました。


「ちょっとごめん。」


コウイチはスマホの画面を見ると、みるみる険しい表情になりました。そして、険しい表情のままヒデオに向かって「すぐに○○病院にむかうぞ!怪物が現れたらしい!」と伝えました。

それを聞いたヒデオの表情も険しくなりました。


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