表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/133

第3部 第13話

 視界に入る人間をあらかた殺し尽くした「ツメタイ」と「カタイ」は今後の方針について話し合っていました。


「ここら辺にいた人間は大体殺しちまったな。あとは逃げたか、建物に隠れているかしているけど、どうする、『カタイ』?建物に隠れた人間を捜して殺すか、逃げた奴らを追うか、どっちがいい?もうただ逃げるだけの人間を殺すのは飽きたから、向かって来る奴らを殺したいって?そうか。じゃあこの辺りに隠れている奴らを見つけて殺しながら、自衛隊とか言う奴らや能力をもらった奴らがやって来るのを待つか?さっきの人間じゃない奴らを動かしていたのも能力をもらった奴だろうし、普通の人間よりは歯ごたえがあると思うしな。」


今後の方針も決まって、「ツメタイ」と「カタイ」が隠れている人たちを捜し始めようとした時、2人に近づいて来る人影が2つありました。


それに気づいた「ツメタイ」が「誰だ、お前ら?俺たちに向かって来るということは強いんだろうな?悪いが俺たちはもう弱い奴らに興味はないから、勝てる自信がないなら1分だけ待ってやる、さっさと逃げな。」と笑いながら言いました。


「ツメタイ」がすぐに身を翻して逃げるものだと思っていた2人組は全く歩く速度を変えずに近づいて来ました。しかも、1人は笑いながら「それなら安心しろよ。俺は日本、いやこの地球上で一番強いからさ。」と言い切りました。


その発言が少し癪に障ったのか、「ツメタイ」は少しムッとして「へぇ~、言うじゃないか。それが大言壮語じゃなければいいけど…って『カタイ』どうした?」としゃべっている途中で「カタイ」がヒートアップして、猛スピードで2人組に向かって転がっていきました。真っすぐ向かって来る「カタイ」に臆することなく、地球上で一番強いと言った人は右手で正拳突きする構えをとりました。

そして「カタイ」の体がぶつかりそうな瞬間、「セイッ」と掛け声を上げて正拳突きを繰り出しました。


ドンッと硬いもの同士がぶつかる音がした後、「ツメタイ」の方から見ると「カタイ」が転がるのをやめて止まっているように見えたので「どうした、『カタイ』?さっさとそんな奴ひき殺しちまえ!」と「カタイ」が手を抜いていると思った「ツメタイ」は文句を言いましたが、次の瞬間、「カタイ」の体が宙に浮きました。


状況が呑み込めず、「ツメタイ」は「カタイ」の体をジッと見ていましたが、「カタイ」の体がある程度の高さまで上がったらすぐに状況が理解出来ました。

なんと、「カタイ」の体に地球上で一番強いといった人の腕が肘の辺りまで突き刺さっていました。突き刺さった腕を上げたから「カタイ」の体が宙に浮いたように見えたのでした。


それを見た「ツメタイ」はすぐにでも地球上で一番強いと言った人を殺してやりたいと思いましたが、ここで冷静さを失ったら「カタイ」の二の舞になってしまうと考え、努めて冷静に振舞い「カタイ」にテレパシーで話しかけながら、地球上で一番強いといった人に質問しました。 


「てめえ何者だ?『カタイ』の外皮を突き破るなんて、そんじょそこらの奴には出来ないっていうのに。」


(おい、『カタイ』大丈夫か?生きているなら返事しろ!『カタイ』!)


「お前の仲間の『ハヤイ』とか言う奴はちゃんと名乗ったから、俺もちゃんと名乗っておくよ。俺の名前はユウキ・ヒデオだ!よく覚えておけ!」


「お前がユウキ・ヒデオか…。」


(ユウキ・ヒデオがここにいるってことは、『アツイ』の奴は無駄足を踏んだってことか。『カタイ』の奴から返事がないから『カタイ』は死んだんだろうな。『カタイ』を倒したんだから、アイツは相当強い。油断しちゃいけない!だが…)


「弱い奴らを殺すのは飽き飽きしていたところだ。地球上で一番強い奴と戦えるなんて楽しみだよ。」


仲間を倒されたことの悲しさより、強い相手と戦えることの喜びから「ツメタイ」は笑っていました。


「そうかよ。悪いけど俺は今怒りで我を忘れそうなくらいだから、お前を楽しませるつもりなんてないけどな!」


そう言うとヒデオは「カタイ」が突き刺さった右腕を振りかぶり、「ツメタイ」に向かって「カタイ」の死体を投げつけました。ユイが能力で動かしていた人形が投げた時よりも剛速球で「ツメタイ」に向かっていきました。「ツメタイ」は慌てて氷の壁を作り出し、「カタイ」の死体が自分にぶつかるのを防ごうとしました。


ドカーンッ!と「カタイ」の死体は氷の壁にぶつかり、氷の壁にめり込みましたが「ツメタイ」に当たることはありませんでした。


「ふ~、なんとか止められたな。まさか何千キロもある「カタイ」の体を1人であんな速さで投げられるなんて少し驚いたぜ。でも、防げないことはないのが分かったし、恐れることはない。どうせ俺の能力を知って遠距離で攻撃してくるだろうから、投げられるものがなくなれば終わりだ。それまで耐えればいい。冷静に対処すれば俺が負けるはずない!……おかしいな?攻撃してこないぞ?」


「ツメタイ」が自分の予想が外れたのかと疑問に思い始めたころ、背後からジャリッと音がしてパッと振り向くと、ヒデオのパンチを顔面に食らいました。


「馬鹿な!いつの間に背後に来て…いたんだ…?」


「ツメタイ」が薄れゆく意識の中、ヒデオに背後をとられた理由を考えていましたが、理由が分かる前にヒデオにそのまま顔を自分で作り出した氷の壁にたたきつけられてしまいました。


グシャッ!と「ツメタイ」の顔はトマトをたたきつけたみたいに簡単につぶれてしまいました。

ヒデオがゆっくりつぶれた「ツメタイ」の頭から右手を離していると「うまくいったな、ヒデオ!」とコウイチが近寄ってきました。


ヒデオは「カタイ」の死体を「ツメタイ」に投げつけた後、コウイチの能力で「ツメタイ」の背後にワープしたのでした。


「その手どうしたんだ、ヒデオ!怪物にやられたのか?」


コウイチがヒデオの右手を見て心配そうに声を掛けました。「ツメタイ」の頭がマイナス何十度になっていたので、ヒデオの右手はひどい凍傷になっていました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ