第3部 第11話
ヒデオとコウイチが××にワープして向かう30分ほど前、××に先に着いていた「カタイ」と「ツメタイ」は大勢の人に囲まれていました。人型の怪物が現れたことがあるという情報をまだ知らない人たちが、黒い球体を連れたお多福顔の人を面白がって近くで写真を撮ったり遠くから眺めたりしていました。
しかしこの状況を面白く思わない「カタイ」と「ツメタイ」は「何なんだ、こいつらは。全然俺たちを恐れないぞ。逃げ惑う人々を襲うのが楽しいというのに。……そうだな、『カタイ』。○○病院とは反対の方角に来たし、かなり離れているからもう暴れてもいいよな。それに笑っている奴らの顔が恐怖する顔に変わるのも楽しいもんな。」とテレパシーの様に心の中で会話した後、「ツメタイ」は右手をバッと挙げました。
「何が起こるんだ?」と何かを期待して周りの人たちがざわつき始めました。
それを見て「ツメタイ」はニヤリと笑いながら、右手を左斜め下に振り下ろしました。すると振り下ろした手の先からブワッと冷気が出て空気中の水分を凍らせていき、近くにいた人たちを凍らせてしまいました。
それを目の当たりにした少し離れた所にいた人たちは、叫び声をあげたり、恐怖で座り込んでしまったり、その場から逃げだしたりしました。それをあざ笑うかのように「カタイ」が動けない人も逃げ惑う人も容赦なくひき殺していきました。人を凍らせて殺していく「ツメタイ」と人をひき殺していく「カタイ」によって、××は地獄絵図のような状況になってしまいました。
そんな中、五人の背の高い人たちが怪物たちの方へ向かっていきました。
親とはぐれたことと、この混乱した状況で泣いている女の子をまさに「カタイ」がひき殺そうとした時、5人の背の高い人たちが壁になって「カタイ」の動きを止めました。「カタイ」の動きを止めた人が現れたので、「ツメタイ」は少し驚きつつも「おいおい、誰だ、お前らは?俺と『カタイ』の楽しい時間の邪魔するんじゃねえよ!殺すぞ!」と「カタイ」の動きを止めた5人を脅してきました。
「……。」
「ツメタイ」に脅されても5人は一言もしゃべりませんでした。
「おい、どうした?何も言い返せないのか?」
「……。」
5人はやっぱり何もしゃべらずに「カタイ」を持ち上げて、力いっぱい「ツメタイ」に向かって投げつけました。しかし、「ツメタイ」は冷静に自分の前に氷の壁を作り出し、投げられた「カタイ」が自分のところまで来るのを防ぎました。
しかも、少し傾斜があるように氷の壁を作っていたので、投げられた「カタイ」は氷の壁に沿って転がり、逆に5人に向かっていきました。5人は今度も止めようとしましたが、「カタイ」のスピードが前よりも速く、ボーリングのピンの様にあっけなく倒されてしまいました。5人は立ち上がろうとしましたが、「ツメタイ」が近づいて来て5人を氷漬けにしてしまいました。
「『カタイ』を止められたからもう少しやるものと思ったが、案外たいしたことなかったな。…ん、こいつらもしかして人間じゃないのか?」




