第3部 第8話
ヒイロたちが人型の怪物が現れたことを知る4時間ほど前、国のある研究所で2日前にヒムロ・リョウスケが凍らせた「ハヤイ」の死体を研究するために解凍して解剖していました。
解凍する前にもいろいろ調べてから、解凍しても動き出す可能性が低いと分かったうえで「ハヤイ」の死体を解凍して解剖を始めました。
「ほら、見てみろよ。外側の皮は黒いけど内側の筋肉とかは赤いぞ。」
「ああ、血液も赤いし、この怪物、地球の人間とあまり変わらないのかもな。」
「しかしこの外側の皮、すごく切りにくいな。どんな成分でできているか調べないとな。」
研究員が会話をしながら解剖していると、ビーッ、ビーッ、ビーッと急に緊急事態を告げる警報が鳴り出しました。
「何だ?何だ?」
研究員がうろたえていると、解剖室のドアが開いて黒い体でお多福のお面をかぶったような顔をした人が入ってきました。
「あれっ?なんだ『ハヤイ』の方は生きてなかったのか。無駄足だったな。」
お多福のお面をかぶったような顔の人が頭を掻きながら言いました。
「誰だ、お前は⁈どうやって入って来た⁈」
研究員の1人が叫ぶように聞くと、「どうやってと言われても、普通に邪魔してきた奴らを黙らせて、ドアのロックを解除させて入って来たんだけど。」とあっけらかんとお多福顔の人が答えました。
「馬鹿な。この施設はもしもの時のために自衛隊に警備してもらっていたはずなのに。」
「自衛隊?ああ、あの変な柄の服を着た奴らか。そいつらは黙らせてきたんだよ。こんな風にな!」
お多福顔の人がその場にいた研究員の内の1人の顔をガッと掴みました。
「うわぁ!冷たい!放…せ…。」
顔を掴まれた研究員は見る見るうちに体が凍っていきました。
顔を掴まれなかった2人の研究員の内の1人は恐怖からか立ちすくみ、残りの1人は「うわぁ!助けてくれ~!」と叫びながら逃げ出しました。
「逃がすわけねぇだろ!」
お多福顔の人はそう言って、研究員の顔を掴んでいない方の手を2人の研究員の方に向けました。
すると、手から氷を噴出するかのように手を向けた先の空気中の水分を凍らせて、2人の研究員を氷漬けにしてしまいました。
「よしっ!一丁上がり!さぁ~て、それじゃあ『カタイ』を助けに行った『アツイ』の方を手伝うか!」
「それには及ばない。もう終わった。」
解剖室の入口にひょっとこのお面をかぶったような顔をした黒い体の人が立っていました。
「あれっ?早かったな『アツイ』。『カタイ』の奴は無事だったか?」
「ああ、やはり『カタイ』は外皮だけが凍っていて、中身は無事だった。俺が凍ってる部分を溶かしてやったからもう大丈夫だ。」
「そうか。それで『カタイ』はどうした?一緒じゃないのか?」
「『カタイ』は憂さ晴らしにちょっと暴れてくると言っていた。どうせこの研究所は破壊する予定だったから許可した。」
ドーンッ、ドーンッ、と建物を破壊していく音と逃げ惑う人たちの叫び声だけが聞こえました。
「おいおい、『カタイ』だけに破壊させるのはズルいだろ!俺もやるからな!」
「ああ『ツメタイ』、お前の好きにしろ。」
「よっしゃー!まずはこの研究所にいる奴ら皆殺しだー!」




