第3部 第6話
ヒイロたち以外誰もお見舞いに来ている人はいないみたいで、個室の病室のベッドの上にチカラが1人で眠っていました。
「あれっ?チカラのおばさんとかおじさんはいないんだ。」
「ツバサ忘れたのか?おじさんは海外に出張中だよ。おばさんは俺たちがお見舞いに来るなら、ちょっと家に帰って必要なものをとってくるって言ってたよ。」
ショウがど忘れしているツバサに対して説明しました。
「そうだったけ?」
「ツバサ、持って来た花飾るから花瓶に水を汲んできてくれ。」
ショウがツバサに花瓶に水を汲んでくるように頼みました。
「うん、分かった。ところで花全部飾っちゃうの?ヒデオさんのところにも行くなら少し残しておいた方がいいんじゃない?お見舞いに行くのに手ぶらって言うのもなんだしさ。」
「そうだな。それじゃあヒイロ、俺たちで買って来た花をチカラの病室に飾る分とヒデオさんのところに持って行く分に分けよう。」
「……。」
「おい、ヒイロ!聞いてるか、どうしたんだ?」
「あっ、ごめん。聞いてなかった。」
「おいおい、チカラが心配なのは分かるけど、しっかりしてくれよ!」
「だってさ、チカラは本当に眠っているだけなのかなって思って。」
「どういう意味?実際そこで眠ってるじゃん。」
ツバサはヒイロの真意が理解できず聞き返しました。
「だからさ、チカラは頭に怪物からの攻撃を食らったんだけど、その時にもう脳に深刻なダメージを負っていたら、その脳を治しても意味ないんじゃないかなって思ってさ。」
ヒイロの言葉にその場はシーンとなりました。
しかしすぐにショウが「つまり一度脳死した人の脳のケガを治しても意味ないんじゃないかと思っているわけだな。」とヒイロに聞き返しました。
「うん。」
「でもそんなの病院の医者だって馬鹿じゃないんだから調べているはずだって。だから俺たちはチカラが目を覚ますのを信じて待てばいいんだよ!」
ショウはヒイロを元気づけようと言っているみたいですが、自分の不安を振り払おうと言い聞かせているようにも見えました。
「…そっか。そうだよな!信じて待てばいいんだよな!変なこと言ってごめん。」
ヒイロはショウの言葉に元気をもらったようでした。
「心配になる気持ちは分かるから気にしてないよ。でもチカラのおばさんの前ではそんなこと言うなよ。」
「分かった。」
「じゃあ、こっちに来てチカラの病室に飾る花とヒデオさんのお見舞いに持って行く花に分ける作業を手伝ってくれ。」
「了解。」
「それじゃあ、僕は花瓶に水を汲んでくるね。」
ツバサが花瓶に水を汲んで戻って来て、その花瓶に花を飾り終えたら、しばらくの間チカラが目を覚ますことを願ってヒイロたちは病室で過ごしました。
30分ぐらい経った頃、ツバサが「あのさ、チカラには悪いんだけどさ、ヒデオさんのお見舞いにそろそろ行った方がいいんじゃない?お見舞いに行くってメール送ってから結構時間経ってるし。」と話を切り出しました。
「そうだな。ヒデオさんのお見舞いにちょっと行って、すぐ戻ってくればいいからな。」
「うん、あんまり遅くなってもヒデオさんに失礼になっちゃうしね。」
話はすぐまとまり、ヒイロたちはヒデオのお見舞いに向かいました。




