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第2部 第18話

「リョウスケさん大丈夫ですか?」


ユイが「ハヤイ」の相手をしている間に「カタイ」の動きを止めながら、チカラはリョウスケに無事か尋ねました。


「ああ、大丈夫だ。助かったぜ。」


「それじゃあ、早速で悪いんですが、この怪物を凍らせてくれませんか?動きを止めるの結構つらいんですよ。」


「ああ、分かった。」


そう言ってリョウスケが「カタイ」に触れて凍らせようと近づいたら、止まっていた「カタイ」のパンチがリョウスケに向かってきました。ドシーンッ!リョウスケはギリギリのところで「カタイ」のパンチをよけたので、「カタイ」の右手は地面にめり込みました。


「な、な、何やってんだよ、チカラ!危ないだろ!」


リョウスケがチカラの方を振り向くと、「チカラ~!」と叫んで、額から血を流してよろけるチカラに近寄るヒイロが視界に入りました。


「フッ、うまく行きましたね。」


なんと「ハヤイ」がユイが操作する人形の攻撃をよけつつ、地面に転がっている石を蹴り、チカラの額に命中させたのでした。

ただしユイはそれに動じることなく人形を動かし、パンチを2発「ハヤイ」に食らわせました。


「チッ、まあこのくらいはいいでしょう。これで当分あの方は能力を使えないでしょうから。それからあなた!どさくさに紛れればどうにかなると思いましたか?」


そう言って「ハヤイ」は、いつの間にか自分に近づいて来ていたヒカルに蹴りを食らわせようとしました。

しかし、「ハヤイ」の蹴りは、ヒカルの顔に当たりそうで当たりませんでした。


「チッ、もう少しだったのに。」


ヒカルはまた隙が出来るのを待つため、「ハヤイ」から距離をとりました。


「『カタイ』、何をやっているんですか?さっさとそいつを倒してしまいなさい!」


「ハヤイ」に言われて、「カタイ」が今度は左手でリョウスケに向かってパンチを繰り出そうとしました。リョウスケは恐怖からか、いつもの癖で氷の壁を作って「カタイ」の攻撃を防ごうとしましたが、「カタイ」のパンチはその氷の壁を簡単に砕いてしまいました。


ドシーンッとまた「カタイ」の手が地面にめり込む音がして、ユイとヒカルはリョウスケがやられてしまったと思いました。


「ハハハ。よくやりました、『カタイ』。さあ、こっちに来て、この人形使いを何とかしてください。…いや、その前に一番厄介なサイコキネシスの能力を持っているあいつの息の根をきちんと止めてやりなさい!」


「ハヤイ」に言われて、チカラの方へ向かうため地面にめり込んだ左手を「カタイ」が持ち上げると、そこにはリョウスケの死体はおろか、リョウスケの体の一部すらありませんでした。

「カタイ」が状況を理解できずうろたえていると、「ハヤイ」が「どうしました?『カタイ』?」と「カタイ」が今直面している状況を把握しようと「カタイ」に尋ねました。


「なに⁈死体がないだって!いったいどこに消えたって言うんですか?」

 

「おーい、こっちだぞー!俺を忘れてんじゃねぇよ!」


「ハヤイ」や「カタイ」だけでなく、ユイやヒカルも声のする方を振り向きました。するとそこには、リョウスケを抱きかかえたヒイロがいました。


「おーい、お前『カタイ』とか言ったっけ?お前のノロい攻撃なんて絶対当たらねぇよ!悔しかったらかかって来いよ!」


何か考えがあるのか、ヒイロは「カタイ」を挑発し始めました。

言葉をしゃべれなくても理解は出来るみたいなので、「カタイ」はヒイロの挑発に乗って、また球体に戻りヒイロの方へ転がっていきました。


「お前なんかに追いつかれるか!」


ヒイロはリョウスケを抱えたまま飛んで「カタイ」から逃げ始めました。


「チッ、そういうわけですか。まあ、あの2人の能力では『カタイ』には勝てない…グッ…。」


「ハヤイ」が「カタイ」の方ばかり見ていたので、ユイの操作する人形が今度は脇腹にパンチを一発食らわせました。


「あんたよそ見しすぎ。ていうか問題ないから。あんたなんかさっさと倒して私が『カタイ』ってやつも倒すから。」


「フッ、まあいいでしょう。だったら私はあなたたちを倒して、『カタイ』が追っている2人を倒しに行くとしますか。」


ユイの操作する人形の猛攻が続きましたが、「ハヤイ」はギリギリのところで人形の攻撃をよけ続けました。


一方でヒイロとリョウスケの方はというと、「おい!何で怪物の注意をこちらに向けたりしたんだ?こっそりと近づいて俺が直接怪物を凍らせる方が良かっただろ!」とヒイロに抱えられたリョウスケがヒイロに向かって文句を言っていました。

するとヒイロは「でもそうするとチカラが怪物に襲われるかもしれなかったので。」と冷静に怪物の注意をヒイロたちに向けた理由を説明し始めました。


「コウイチが近くにいただろ!いざとなったらワープして逃げられただろ!」


「怪物を倒すためにはチカラの能力がどうしても必要なので、今いなくなられたら困るんですよ。今はイトイさんが相手をしているから大丈夫ですけど、『ハヤイ』とか言う怪物はすごいスピードで移動できるみたいなので動きを止められるチカラの能力が絶対必要なんですよ。」


「でもチカラは怪物にやられてケガをしたじゃないか?すぐに戦える状態なのか?」


「すぐには無理かもしれませんが、一応意識ははっきりしていたので少し時間があれば戦えると思います。」


「そうか…なら怪物の注意をこっちに向けたことはいいとして、なんでさっさとあの転がって俺たちを追ってきている怪物を引き離さないんだ?おま…ヒイロはもっと早く飛べるんだろ?だったらさっさとスピードを上げてアイツを引き離すか、上に飛んであいつをまくかして、イトイたちのところへ戻って『ハヤイ』とか言う怪物を先に倒した方が良くないか?」


「いえ、それよりも僕に『カタイ』と言う怪物を倒すいい作戦があるので聞いてもらえますか?」


「どんな作戦だ?一応聞くだけ聞いてやる。」


ヒイロはリョウスケに自分の考えた「カタイ」を倒すための作戦を説明しました。

それを聞いたリョウスケは「作戦と呼べるほどのものじゃないけど、一応やってみるか。」とヒイロの作戦を了承しました。


「ありがとうございます!」


「ただし、失敗したらさっさとあの怪物を引き離してイトイたちのところへ行くからな!」


「わかりました!」


「あと…さっきは助かったよ。」


リョウスケは恥ずかしいのか視線をそらして「カタイ」の攻撃から守ってくれたことのお礼をヒイロに言いました。


「いえいえ、僕にはこんなことしか出来ないので。じゃあ作戦通りお願いしますね。」


「ああ、任せろ。」


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