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第2部 第17話

「ほぉ、『オソイ』を倒したソラ・ヒイロ様は誰かに守ってもらわなければいけないほど弱かったのですか。これは僥倖ですね。」


ヒイロたち全員が声のした方を振り向きました。

そこには身長2メートルくらいの体が黒くて異様に細いピエロのような顔をした怪物とそれよりも大きい黒い球体がいました。ヒイロたちとはまだ十数メートル離れていましたが、コウイチはその距離が安全性という点で全く意味を成さないと知っていたので、すぐに怪物を攻撃するようにリョウスケとユイに目で合図を送りました。

リョウスケとユイはそれを理解して、ユイは人形を動かしてリョウスケを怪物から見えないようにしました。コウイチは怪物の視線を自分に向けるために怪物に話しかけました。


「やっぱり来たな。まぁ、お前が来ることは分かっていたけどな。」


「私と『カタイ』の会話を盗み聞きして知ったくせに随分と偉そうですね。しかも戦うふりをしてヒデオ様を連れて逃げたくせに。」


「戦略的撤退だ!全然恥ずかしいことじゃない!そのおかげでこうしてお前を倒せるメンバーを集められたんだからな!」


「フッ、物は言いようですね。ところで気付いてないとでも思いましたか?」


「何のことだ?」


「誤魔化しても無駄ですよ。あなたの頼りになるメンバーさんの一人がこっそりと地面を凍らせていって、私たちを足元から凍らせようとしていることですよ!」


そう言うと「ハヤイ」という怪物はパッとその場から消えて、リョウスケの近くまでやって来ました。コウイチが「リョウスケ、気をつけろ!」と言うよりも早くリョウスケに近づき、リョウスケを右足で蹴り飛ばそうとしました。

しかし、その蹴りが当たる前にリョウスケは空気中の水分を凍らせて氷の壁を作り、「ハヤイ」の蹴りを防ぎました。


「ほお、やりますね。じゃあ、これはどうです?『カタイ』!」


「ハヤイ」が呼ぶと、「カタイ」は「ハヤイ」程ではありませんが、ゴロゴロとかなりの速さで転がりながらリョウスケに向かってきました。

しかし、動きが一直線なのでリョウスケはまた氷の壁を作って「カタイ」の攻撃を防ぎました。氷の壁にひびが入りましたが、「ハヤイ」の攻撃の時より時間があったので、氷を厚くすることが出来て何とか防ぎました。

 

「甘い。甘い。その程度の攻撃が俺に通用するわけないだろ!なんだ、ヒデオに勝ったっていうからどれほどの強さかと思ったらこの程度か?」


リョウスケが挑発すると、「ハヤイ」は全く動じることなく「フッ。それはこちらのセリフですよ。わたしたちを倒すとか言ってた割にはこの程度ですか?少々がっかりです。『カタイ』、遊びは終わりにしてさっさと倒してしまいなさい。」と「カタイ」に指示を出しました。

「カタイ」は丸い球体の状態をやめて、背中や腕や脚に外皮が付いた二足歩行のアルマジロみたいになりました。そして自分とリョウスケの間にある氷の壁をパンチ一発で粉砕して、リョウスケに襲い掛かりました。瞬く間のことでリョウスケは対応することが出来ず、固まってしまいました。もう少しで「カタイ」のパンチがリョウスケの顔面に届きそうなところで「カタイ」の動きが止まりました。


「ふぅ、僕がいることを忘れちゃだめですよ。」


チカラが能力で「カタイ」の動きを止めたのでした。


「チッ、そう言えば一番厄介な能力の方がいらっしゃったのを忘れていました。あなたから倒さなきゃいけないようですね!」


そう言って「ハヤイ」がチカラのところへ行こうとするよりも先に誰かが「ハヤイ」の顔面にパンチを食らわせました。


「チッ、誰ですか今のは?」


「ハヤイ」がパンチしてきた相手の方を向くとそこにいたのは、ユイが操作する人形のうちの1体でした。


「わるいですけど、今はあなたの相手をしている暇はありません!」


「ハヤイ」は人形を無視してチカラのところに行こうとしましたが、またパンチを顔面に食らいました。「ハヤイ」が体勢を立て直して周りを見てみると、すでにユイの操作する人形5体に取り囲まれていました。


「邪魔しないでいただけますか?」


「それは無理な相談だね。ヒデオさんに勝ったっていうあんたは私が倒す!」


ユイが操作する人形が「ハヤイ」を取り囲んでパンチやキックを繰り出しましたが、「ハヤイ」は何とかギリギリのところでよけていました。


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