第2部 第15話
「怪物退治をしている人で今日集まったのはこの3人と僕を含めて4人か。自分で言うのもなんだけど、結構精鋭ぞろいだね。ヒイロ、安心していいよ!これならいくらヒデオさんが負けた怪物相手でも負けないから!」
「え⁈3人?まだいるけどあの人たちは?」
ヒイロはユイの近くにいる4、5人の人たちを指差してチカラに尋ねました。
チカラは今気づいたような表情をして「そうだった!ヒイロは知らなかったんだよね。あれは人形だよ。」と答えました。
「人形?」
「そう、人形!実はイトイさんの能力は人形を意のままに操れる能力なんだ。」
イトイ・ユイの能力は人形を意のままに操れる能力です。人形を動かすならチカラの能力でもできそうな気がしますが、精密に動かすという点においてはチカラよりもユイの方が優れています。ユイ自身が考えていっぺんに動かすのは5体が限度ですが、ある程度単純な動きならロボットの動きをプログラミングするみたいにして、自動で動くようにすることが出来ます。
「でも人形なんて怪物を倒すのに役立つの?」
「普通の人形じゃ無理だろうけど、あの人形たちは特別性だから。素材は耐久性があるって言われているカーボンファイバーで作られていて、手の甲や足の甲、おでこなんかには金属のプレートが埋め込まれていて、パンチやキックをしたときに攻撃力があるようになっているんだ。」
「へぇ~、それはすごい!でもそんな人形どうやって手に入れたんだろう?」
「それは糸井グループの力を使ったからだと思うよ。」
「そっか、社長令嬢だったっけ。父親の力を使ったわけね。」
「でもそのおかげで怪物の脅威から日本が守られているわけだから、そんなに悪く言えないと思うよ。」
「それもそうだな。ごめん、ちょっと嫉妬があったかも。それでウダくんの能力はどんなのなの?」
「ウダくんの能力は体から電気を出すことが出来る能力だよ。」
「それはヒムロさん並みに怪物退治に役立ちそうな能力だな。」
「確かに怪物退治には役立つけど、ヒムロさんと比べると見劣りしちゃうかな。」
「え⁈何で?」
「電気を放出することは出来ても遠くに飛ばすことが出来ないからだよ。ウダくんの近くに来た敵は感電させることは出来るけど、離れた敵を攻撃することは出来ないんだ。」
「そっか。ところで気になるんだけど、ヒムロさんもウダくんも誰かを攻撃するのに役立ちそうな能力だけど、どうしてそんな能力を願ったのかチカラは知ってる?」
ヒイロが質問すると、チカラはプッと吹き出しました。
「どうした?俺なんかおかしなこと聞いた?」
「いや、実は2人が能力を願った理由が面白くてさ。あっ!イトイさんを入れれば3人か!」
「そんなに面白いの?どんな理由なんだ?」
「まずヒムロさんは、ジュースを冷たいまま飲みたいけど氷を入れるとジュースが薄くなっちゃうから、薄くならずにジュースを飲めるようにジュースの一部を凍らせるために触れているものの水分を凍らせる能力を願ったみたいだし、ウダくんはスマホが電池切れになった時にいつでも充電できるように体から電気を出す能力を願ったみたいだし、イトイさんは…プッ…あの性格だから友達があまりいなくて、一人で人形遊びをすることが多くて、『人形が自分の思った通りに動けばいいなぁ。』と思って、人形を意のままに操れる能力を願ったみたいだよ。」
「へぇ~。それは…面白い理由…プッ…だな。」
チカラがあまり笑わないようにしながら説明していたので、ヒイロも笑うのをこらえていました。
「おい!お前らあんまりふざけてばかりいるなよ!」
コウイチが緊張感のない場の空気を一変させました。
「確かに、今は口喧嘩している場合じゃなかったのは認める。だけどなコウイチ、お前いつまでここにいるつもりだ?こっちは2人も守りながら怪物と戦うつもりはないんだよ!」
「こいつの意見に賛同したくはないけど、ホントその通り。あんた邪魔。」
さっきまで口喧嘩していた2人が、今度は一緒になってコウイチを攻撃し始めました。
「俺はいざとなったらヒイロくんよりも早くこの場から逃げられるから守ってもらわなくてもいいし、邪魔するつもりもないよ。むしろ4人とも怪物にやられた場合、少しでも連れて逃げられるようにしなくちゃいけないからな。」
「ヒデオに勝った怪物相手だからといって俺が負けるわけないだろ!むしろその怪物を倒して、ヒデオじゃなくて俺の方が最強だって世に知らしめてやる!」
「ヒデオさんに勝った怪物を倒すのはあんたじゃなくて私。あんたじゃ無理!」
「あん!寝言は寝て言えよ!」
「あんたこそ自分で作った氷で頭冷やして来たら?」
「だからやめろって!」
「けっ!」「ふん!」
リョウスケとユイがまた喧嘩を始めそうな雰囲気でしたが、コウイチに止められてなんとか2人とも踏みとどまりました。




