第2部 第10話
「はぁ~、何とか間に合った。」
ヒイロたちは急いだ結果、何とか遅刻せずに済み、それぞれのクラスに分かれました。ヒイロが自分の席に着いてホッとしていると、「おはよう、ヒイロ。」とヒイロの友達の一人、アカシ・ショウが話しかけてきました。
「おはよう、ショウ。」
「えらいな、ヒイロ。今日は休みだと思ってたけどちゃんと学校に来たみたいだな。」
「え⁈どうして?」
「だって昨日、全裸姿を女子にも見られたからそれを気にして休むかなと思ったんだ。」
「ショウ、お前はひどい奴だな!こっちが必死に忘れようとしていることを思い出させるなんてさ!ツバサは俺を茶化すことなんて一言も言ってこなかったぞ!」
「ハハハ!おっと、そろそろホームルームの時間だな。席に戻らないと。」
ショウは逃げるように自分の席に戻っていきました。
「チッ!ショウの奴ふざけやがって!後できつく言っとかないと!」
「おはよう…ソラくん…。」
怒りが収まらないヒイロが独り言をつぶやいていると、ヒイロの右隣りの席のヤハギ・チヒロがおそるおそる話しかけてきました。
「おはよう。ヤハギさん。」
「アカシくんの言うことは気にしなくていいと思うよ。実際体中煤けててたから、みんなよく分からなかったと思うし…。」
「ありがとう、ヤハギさん。ショウのことは出来るだけ気にしないでおくよ。」
「うん、それがいいよ!あっ!先生が来たみたいだね。」
ガラガラガラと教室の扉を開けて担任教諭が入って来て、ホームルームが始まりました。
そしてホームルームが終わって、その後の1時間目の数学の授業が終わりそうな頃、校内放送でお知らせが流れました。
「2年1組のウドウ・チカラくん。2年3組のソラ・ヒイロくん。至急職員室まで来てください。2年1組のウドウ・チカラくん。2年3組のソラ・ヒイロくん。至急職員室まで来てください。」
「ソラ、呼び出されてるぞ。早く行ってこい。」
「分かりました。」
数学担当教諭に促されてヒイロが教室を出ると、ちょうど同じタイミングでチカラも教室から出てきました。ヒイロがチカラに近づいて行くと「何で呼び出されたか分かる?」チカラが呼び出された理由が分からず、ヒイロに質問してきました。
「いや、全然。とりあえず急ごうぜ。」
2人は職員室へと向かいました。
「失礼します。」
ヒイロとチカラが職員室に入ると、「おっ、来たか。こっちこっち。」ヒイロの担任教諭が手招きしました。担任教諭の側には難しい顔をした人が2人いました。1人はヒイロもよく知っている政府官僚のムカイで、もう1人は顔を見たことがあるけどヒイロには誰だか思い出せませんでした。
「ムカイさん、何かあったんですか?」
「いや、ちょっとね。ここではなんだから移動しようか?オオキ先生ありがとうございました。コウイチくんお願いできるかな?」
ムカイの「コウイチくん」という発言を聞いてヒイロはムカイと一緒にいた人がユウキ・ヒデオと一緒に活動しているエンドウ・コウイチだということを思い出しました。
「はい。じゃあ、3人とも俺につかまってください!」
ムカイとチカラはそれぞれコウイチの左肩と右肩につかまりました。ヒイロがどこにつかまろうか迷っていると「それじゃあ、ヒイロくんは俺の腕につかまって!」コウイチが右手を差し出しました。ヒイロが手を握ると急に目の前が真っ暗になり、次に明るくなったと思ったらヒイロたちは病院の前にいました。
「ムカイさん、何で僕たちを病院に連れて来たんですか?」
「それは部屋に着いてから話すよ。今は黙って付いて来てくれる?」
ムカイが有無を言わせない態度をとったので、ヒイロもチカラもそれ以上何も聞かずにムカイに付いて行きました。ムカイに付いて行くと個室の病室の前に着きました。
「ムカイさん、誰が入院しているんですか?その人に僕たちを会わせたいんですか?」
「うん、実はそうなんだ。驚くかもしれないけど大きい声は出さないでね。」
ムカイに促されて病室に入ったヒイロとチカラは、ベッドに横になっている人を見て絶句しました。そこにはケガの手当てを受けたユウキ・ヒデオが眠っていました。周りには医者と看護師がいてヒデオの容態を見ていました。




