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第2部 第9話

 ヒイロが怪物を倒した次の日の金曜日、天気もいいし、昨日の疲れが残っていたため歩いて登校したくなかったので、ヒイロは空を飛んで登校していました。


「ふわぁ~。」

とあくびをしながら飛んでいると、やけにでかい鳥らしきものを見つけました。ヒイロが近づいて行くと、鳥だと思っていたものはヒイロの友達の一人、シラトリ・ツバサだと分かりました。いつもツバサの方が先にヒイロに気付いていましたが、この日はヒイロが先にツバサに気付きました。

そこでヒイロはツバサがいつもやっているみたいに、太陽を背にしてツバサの前に現れてやろうと考えました。ヒイロが太陽の光とツバサの間に入ろうとした瞬間、ツバサがヒイロの方を振り向きました。


「あっ!ヒイロ、おはよう。」


「おはよう、ツバサ。」


ヒイロは企てがうまくいかなかったので、少し残念な気持ちになりました。表情にも出ていたのか、ツバサが「どうしたの、ヒイロ?具合でも悪いの?昨日の今日だから。」と聞いてきました。


「大丈夫だよ。ちょっと眠いくらいだから。」


「そう。ならいいけど。あっ!そう言えば残念だったね。昨日あんなに活躍したのに、今朝のテレビのニュースも新聞も全然ヒイロのこと報道していなかったね。」


「ああ、そのこと。それなら父さんにも言われたけどヒデオさんのことばかり報道されてたんだろう?でも仕方ないよな。一人で70体以上怪物を倒したんだろう?俺が記者でもそっちを報道するだろうな。それに昨日は80体以上怪物が出現するっていう未曾有の事態だから、『日本はユウキ・ヒデオがいるから大丈夫。』って思いたいのかもしれないしね。」


ヒイロは昨日のことを報道されないのを全然気にしていませんでしたが、ツバサは「でもさ、ちょっとくらい報道してくれてもいいじゃん?」と納得できない様子でした。


「ツバサ、忘れてないか?俺はまだ高校生で、ヒデオさんは高校を卒業している、法律で高校を卒業するまでは実名で報道できないから、実名報道出来ない俺と実名報道出来て大活躍したヒデオさん、どちらをツバサだったら報道する?」


「そ、それは…。」


「それに俺は報道されなくて良かったと思ってるよ。報道されて個人を特定されてしまったら、今みたいに自由気ままに空を飛べなくなるかもしれないしね。」


「そっか。まあ、ヒイロがそれでいいならいっか。そうだ、話はちょっと変わるんだけど昨日出現した怪物の中に人型の怪物がもう一体いたみたいなんだよ!しかも倒したのはヒデオさんなんだけど、手伝っていたのがなんと…。」


「なんと…?」


「僕だって言いたいんでしょう?」


ヒイロとツバサが急に話に混ざって来た声がした方を振り向いてみると、そこにはヒイロよりも眠そうな顔をしたヒイロとツバサの友達の一人、ウドウ・チカラがいました。3人がお互いに挨拶を済ませると、ヒイロは昨日のことをチカラに尋ねました。


「チカラ。なぁ、ホントなのか?人型の怪物を倒すのを手伝ったって。そいつも動きがノロくて力が強いやつだったのか?」


ヒイロは自分が倒した怪物以外に人型の怪物が出現していたのを知らなかったので、興味津々でチカラに質問しました。


「う~ん、力は強かったけど動きはノロくはなかったかな。でも、体が異様に軟らかくてグニャグニャと体を曲げてヒデオさんの攻撃をよけてたね。ヒデオさんがてこずってるように見えたから余計なお世話かもと思ったけど、僕が能力を使って怪物の動きを止めたところをヒデオさんがパンチ一発で仕留めたってわけ。ところで学校に現れた人型の怪物を倒したのはヒイロなんでしょ?宇宙まで飛んでいくなんてすごいね!」


「何で俺が倒したって知ってるんだ?ニュースではやってないはずなのに。」


「ツバサからのメールで知ったんだ。」


「そっか。そう言えば、チカラが俺のこと羨ましいって言ってたのは、俺が宇宙まで飛べる能力を持ってるってショウから聞いていたからではないんだよな?」


「うん、違うよ。ヒイロが宇宙まで飛べるって知ったの昨日だから。」


「ヒイロ、それは違うって昨日ショウにも言われてたじゃん。」


「うん、そうなんだけど、他にチカラが俺のこと羨ましく思う理由が思いつかなくて。」


「僕の能力とヒイロの能力を比べてみたら分かると思うんだけどな。」


「う~ん、全然分かんないなぁ。」


「ハハハ!もっと悩めばいいよ!僕は絶対に答えは教えないからね!」


チカラが自分のことを羨ましく思う理由が分からずヒイロが悩んでいるのを見て、チカラは嬉しそうに笑っていました。


「くそ~、絶対に答えにたどり着いてやるからな!」


「ハハハ!楽しみにしてるよ!」


「あっ!そう言えば、チカラは昨日怪物を倒すのを手伝っただけで、自力では怪物を倒してないの?」


「ううん。ヒデオさんの手伝いの他に1体倒しているよ。」


「そうなんだ。どんな怪物だった?」


「え~と、怪物にしては小柄な猿みたいな怪物だったよ。すばしっこくて目で追うのがやっとで動きを止めるのが大変だったよ。でも、動きを止めた後は怪物を何度も地面にたたきつけて倒したよ。」


「へぇ~、そうなんだ。」


ヒイロは怪物が倒された後の現場をショッピングモールでヒデオに助けられた時の1回しか見たことがないので、チカラの「何度もたたきつけた。」という発言を聞いて、怪物を倒すのは簡単なものではないと理解しながらも、怪物をたたきつける様子やたたきつけられて倒された怪物の死骸を想像してしまい、自分や周りの人を守るためとはいえそんなことが出来てしまうチカラに少し距離を感じてしまうのでした。


「ねぇ、ヒイロ、チカラ、そろそろ急がないと遅刻しちゃうよ!」


ツバサにそう言われて、ヒイロとチカラは自分の腕時計を見ました。


「ホントだ!急いだほうがいいね!」


「そうだな!」


3人は話が出来るスピードで飛ぶのをやめて学校へと急ぎました。


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