第2部 第8話
ヒイロはそこでハッとして目を覚ましました。
(今のって夢?もしかして今のがヤハギさんが言ってた、自分の本当の願いごとを思い出したら願いごとを叶えてもらった時のことを思い出すってやつなのか?うわぁ、これじゃあ本当の願いごとに自力で気付くことなんて無理だよなぁ。だって本当の願いごとが俺の本当の願いごとじゃなくて、光のぬしから勧められたものだったんじゃなぁ。まあ、一番気になったのは最後の方で光のぬしの声が聞こえなくなったことだよなぁ。何でだろう?光のぬしは全部思い出すって言ってたのに。う~ん、分かんないなぁ。ショウに聞けば分かるかなぁ?)
ヒイロが夢で見た、自分が光のぬしに願いごとを叶えてもらった時の記憶についてあれこれ考えていると、ピピピッピピピッと目覚まし時計が鳴り出しました。
「もう起きなきゃいけない時間か。」
ヒイロはベッドから起き上がり、部屋を出て洗面所へ向かいました。洗面所で顔を洗ってリビングへ行くと、ヒイロの父親が席に着いて新聞を読んでいました。
「おはよう。」とヒイロが挨拶をすると、父親はヒイロの方を見て「おはよう、ヒイロ。」と挨拶を返しました。ヒイロが自分の席に着くとキッチンからヒイロの母親が朝食を運んできました。
「おはよう、ヒイロ。」
母親のあいさつに対して「おはよう、母さん。」と挨拶を返した後、「いただきます。」と言って、ヒイロは母親が運んできた朝食を食べ始めました。ヒイロが黙々と朝食を食べていると、ヒイロの父親が「ヒイロ、昨日は大変だったみたいだな。」と話しかけてきました。
「うん、まあね。母さんから聞いたの?それとも新聞に載ってる?」
昨日ヒイロは学校に出た怪物を倒すため、怪物を羽交い締めにして宇宙まで連れて行き、宇宙空間の寒さで凍った怪物を宇宙空間に捨てて来たのでした。その後は緊張による疲れからか、家に帰って来たらそのまま自分の部屋に行き眠ってしまったのでした。
そのためヒイロは昨日家に帰って来てからは父親に会っていなかったので、ヒイロが怪物を倒したということを父親が知っているのなら、事情を知っている母親に聞いたか、新聞に載ってるかのどちらかだろうとヒイロは考えました。
「残念ながら、母さんから聞いたんだ。新聞にはヒイロのことは載っていない。ほとんどが怪物を70体以上倒したヒデオくんのことばかりだ。」
「そうなんだ。でも、俺としては良かったかな。」
「どうしてだ?」
「だって、怪物を運よく1回倒したぐらいで、これから怪物退治の要請が来たりしたら嫌だからさ。父さんは詳しく知らないと思うけど、昨日俺が倒した怪物は人型でそんなにデカくなかったし、動きもノロかったから俺でも捕まえられたけど、普段出現している馬鹿デカい熊や猪みたいな怪物だと捕まえて宇宙まで連れて行くなんてできないからさ。」
「そうかぁ。でもなヒイロ、昨日80体以上怪物が出現したということはこれからもそのぐらい出現するかもしれないし、もしかしたらそれ以上の数の怪物が出現するかもしれないんだ。そうなると、ヒデオくんたちみたいに怪物退治をしている子たちだけでは賄いきれなくなるかもしれない。いいか、ヒイロ!そうなった時、父さんとしては全ての人を守れとは言わないが、友達と自分の身くらいは守れるようにはなってほしいな。」
父親が真面目なトーンで話しているので、ヒイロは適当な返事をしちゃだめだと思い、よく考えてから「分かった。出来るだけ頑張ってみるよ!」と答えました。
「そうか。」
短い言葉でしたが、ヒイロには父親がヒイロの返答に満足しているのが分かりました。
「お父さん!ヒイロ!のんびりしているけど時間は大丈夫?」
母親にそう言われたヒイロは時計を見ると、まだ遅刻する時間ではありませんでしたが、のんびりしすぎてもいけない時間だったので、残っていた朝食を急いで食べると「ごちそうさま。」と言って、洗面所へ向かいました。洗面所で歯を磨いてから自分の部屋で制服に着替え身だしなみを整えると、玄関へ向かいました。玄関にはすでに準備を整えて出発しようとしている父親とそれを見送ろうとしている母親がいました。
「いってきます。ヒイロ、気をつけて行くんだぞ!」
ヒイロに気付いた父親がヒイロにも一言声を掛けてから出かけていきました。
「いってらっしゃい。ヒイロももう行くの?ちょっと待って!お弁当持ってくるから!」
そう言ってヒイロの母親はお弁当を取りに行きました。ヒイロは靴を履きながら母親が戻ってくるのを待っていました。
「はい、お弁当!それじゃあ、いってらっしゃい。」
「いってきます。」
ヒイロはお弁当を受け取り、玄関のドアを開けて出発しました。




