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第2部 第5話

「でも、宇宙まで行けて、宇宙空間でも平気なのは確かにすごいけど、その倒し方だとその子が羽交い締めに出来る大きさの怪物しか倒せないよな?」


「まあ、確かにそうだな。昨日その子が倒した怪物は身長2メートルくらいの、動きがノロい人型の怪物だったらしい。」


「え⁈人型だって⁈」


ヒデオはコウイチが言った「人型の怪物」という単語に引っ掛かり、コウイチに聞き返しました。何故かと言うと人型の怪物は昨日初めて出現し、ヒデオも1体倒していたからでした。


「そうなんだよ!人型の怪物は2体いたんだよ!ヒデオが倒したのだけじゃなくて!」


「でも、俺が倒したのは動きノロくなかったぜ。グニャグニャ軟らかかったけど。」


「グニャグニャ動いてヒデオの攻撃をよけてたもんな。ヒデオ、昨日倒した怪物の中で一番てこずってたよな。」


「確かに。サイコキネシスの能力を持った子が動きを止めてくれなかったら、倒すのにもっと時間が掛かったかもな。」


「もしかしたら次、怪物が現れる時も人型の怪物が現れるかもな?」


「当分現れてほしくないけどな。」


「そうですか。こんなに早く次が現れてしまって申し訳ありません。」


ヒデオとコウイチは急に話に混ざって来た声のする方に即座に視線を向けました。すると、十数メートルくらい離れた所に人影と黒い球体が見えました。


「おいおい。ここは一応私有地なんだけど、無断で入ってきて変なこと言わないでくれる。」


コウイチはまだ誰かがふざけてやっているのではないかという疑念を抱いていたので、一般人に対する対応を取りました。


「それも失礼しました。ですが、どうしても早くお会いしたかったもので、『ヤワラカイ』を倒したユウキヒデオ様に。」


そう言いながら、人らしきものと球体が近づいて来ました。近づいてきた姿を見てヒデオとコウイチはギョッとしました。その人らしきものは、身長2メートルくらいで全身黒く、体も手足も簡単に折れてしまいそうなくらい異様に細い姿をしていました。それだけでも十分奇妙でしたがヒデオとコウイチが驚いたのは顔が不気味なピエロのお面をかぶったような顔をしていたことでした。


「俺がユウキヒデオだって知っていってこの山に入ってくるということは、キミ、かなり熱狂的な俺のファンかストーカーだな?」


ヒデオはピエロのお面みたいな顔の人らしきものが、すでに人ではなく怪物だと分かっていましたが、相手の不気味さに圧倒されているのを悟られないために冗談を言う余裕があるように振舞いました。


「ファン?ファンと言えばファンかもしれませんね。なにしろ、あなたを倒すために私は生まれたんですから。」


「俺を倒すためだって?」


「ええ、でも勘違いしないでください。あなたを倒したら私の役目が終わりといったわけではありません。その後はこの国、ひいてはこの星の人間を全員殺す役目もあります。」


「そんなことを聞かされたら、お前を倒さなくちゃいけないな。もったいないことしたな。話に混ざらないで、黙って俺を攻撃することも出来たんじゃないのか?」


「ええ。でも、そんな卑怯なことをしなくても、あなたを倒せますので問題ありません。」


「へ、へぇー。意外と紳士的なんだな。だったら俺の名前を知っているんだから、そっちの名前も教えてくれるのか?」


ピエロのお面のような顔をした怪物が話終わった後にニターッと笑った顔があまりにも不気味だったので、ヒデオは気圧されそうになったのをしゃべることでごまかしました。


「そうですね。それが礼儀ですよね。失礼いたしました。わたしの名前は『ハヤイ』と申します。そしてこちらが『カタイ』です。」


「ハヤイ」と名乗った怪物は黒い球体を指差しながら答えました。


「その球体にも名前が付いているんだな。驚いたぜ。」


コウイチが率直な感想を述べると、「ハヤイ」と名乗った怪物は「これは失礼しました。おい、『カタイ』きちんと顔を見せなくては失礼ですよ。」と黒い球体に向かって話しかけました。

すると、黒い球体に割れ目が出来てパカッと開きました。直径3メートルくらいの黒い球体だと思っていたものは、ダンゴムシやアルマジロみたいに硬い外皮を持った怪物が丸まったものでした。

しかし、「ハヤイ」が「顔を見せなさい。」といった割には、腕や足、体も真っ黒で顔も黒く、顔には目や鼻や口がなく、どちらかというと昨日倒した人型の怪物に近い容姿でした。


「申し訳ありません。『カタイ』はわたしと違って口がなくてしゃべれないもので。顔をお見せするだけで勘弁してください。」


「むしろこっちとしてはお前もしゃべれなかった方が良かったけどな。」


「それはこっちもそうですよ。会話が出来る相手じゃなければよかったですよ。話の通じない生物だと思っていた方が殺すのに躊躇がなくて済みますからね。」


「そういう心があるんだったら、いっそのこと闘うのをやめないか?話し合いで何とかならないのか?」


コウイチが本気で怪物に提案しましたが、「ハヤイ」は首を横に振りました。


「それは承服致しかねます。さっきも申し上げた通り、わたしはヒデオ様を倒すために生まれて来たので、その提案を承服してしまったらわたしの存在意義が無くなってしまいます。だから、その提案は承服致しかねます。さあ、もういいでしょう!さっさと始めましょう!」


「分かったよ!始めよう!コウイチ、いざとなったら一人でも逃げろよ!」


そう言って、ヒデオと「ハヤイ」は相対しました。


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