第2部 第3話
ヒデオとヒデオの父親がもめていると、インターホンのチャイムが鳴りました。
「きっとコウイチが来たんだ。俺が出るよ。」
ヒデオがインターホンに出ると「すみません。ヒデオは起きてますか?」とヒデオが思った通り、ヒデオの相棒エンドウ・コウイチがインターホンのカメラに映りました。
「起きてるよ。今準備するから10分ぐらい待っててくれるか?」
「分かった。10分後にまた来る!」
コウイチはそう言ってどこかへワープしました。
「父さん、この話はまた今度!」
ヒデオは食器を片付けて、歯を磨いたり、作業着に着替えたりなど身支度を整えて玄関のドアを開けると、それにピッタリ合うタイミングでコウイチがヒデオの前にワープしてきました。
「おはよう。コウイチ。」
「おはよう。ヒデオ。」
「あのさ、ずっと不思議に思っていたんだけどコウイチとワープした時、ワープ先にいる人たちをちゃんとよけてワープ出来るけどどうやってるんだ?今も俺の頭の上にワープしたりしなかったよな?」
ヒデオは挨拶を済ませると、普段疑問に思う瞬間はあるけど機会を逃して聞けずにいたことをコウイチに聞いてみました。
「ああ、それは俺にもよく分からないんだ。俺がここにワープしたいと思ってワープすると、自動的にワープしたい場所で人を避けた所にワープするんだ。」
「そうだったのか。いや~、機会を逃すと聞きづらくてさ。今更聞いてごめん。」
「いや、別に気にしてないよ。ところで、今日はまだ怪物が出現していないみたいだから、いつもの所でいいか?」
「うん、頼むよ!」
ヒデオがそう言うと、コウイチはヒデオの肩をつかんでワープしました。
コウイチの能力は「行ったことがある場所ならどこでもすぐにワープ出来る能力」でしたが、残念ながらワープできるのはコウイチ一人だけで、コウイチが一緒に行きたいと思っていても念じるだけでは一緒に誰かを連れて行くことは出来ませんでした。ただし、ワープする時コウイチと体が触れている人はコウイチがワープするのに巻き込まれているのか、一緒にワープすることが出来ました。ちなみに実験してみて分かったことですが、コウイチと体が触れている人に触れている人もワープすることが出来ました。
ヒデオとコウイチはテレビ番組の戦隊ヒーローが怪人と戦うようなひとけのない山の中の岩場にやってきました。ヒデオとコウイチが今いる山はヒデオが怪物を倒して、国からもらった報酬金で買ったトレーニング用の山でした。何故山の中でトレーニングしているのかと言うと、最初はヒデオもジムに行ってトレーニングしていました。しかしヒデオがヒーローとして有名になってくるとトレーニングしているところを見ようと人が集まるようになってジムに迷惑が掛かるようになったというのがジムでトレーニングしない理由の一つです。けれど一番の理由はヒデオが怪物を簡単に倒すくらい強くても筋力が人並みだということでした。ヒデオが怪物をパンチ一発で倒したりするのでトレーニングを見ている人たちはすごい筋力を期待しているけど、ヒデオが70㎏ぐらいのバーベルでベンチプレスしているのを見てがっかりする人もいました。
ヒデオは特にヒーローらしくあろうと思って行動したりすることはありませんでしたが、自分が弱いんじゃないかというイメージが少しでも付かないように行動していました。
それは自分の方がヒデオより強いと思った人が怪物を退治しようと考えたりしないようにするためでした。だからヒーローなのに筋力があまりないという認識が世間に浸透する前に、ジムでトレーニングするのをやめてひとけのない山の中でトレーニングするようになりました。
そんなことをしなくてもジムを貸し切ったり、自分専用のジムを建てたりすればいいのではないかと思う人もいるかもしれませんが、怪物退治をしていてヒデオはトレーニングをしていくら筋力をつけても、怪物退治にはあまり役に立たないということに気付きました。
どうやらヒデオの強さは筋力ではなく、何か別の力によるものみたいでした。それに気づいてからヒデオは筋力を上げるトレーニングをあまりやらずに、怪物と戦う時のための技の練習として空手の型などをやったり、山の中を走り回ったりして持久力を鍛えていました。この日も山に到着するなりすぐにヒデオは空手の型の練習を始めました。




