第2部 第2話
ヒデオの父親は母親と一緒に食堂をやっていました。地元の常連客のおかげで何とか生活費を稼いでいましたが、ヒデオが怪物を倒した際に支払われる報酬金のおかげで生活費に困ることが無くなったどころか、家を新しく建てたり従業員を雇って食堂を何軒も増やしたりしても余るぐらいの蓄えができました。ですがヒデオの両親はそういったことは一切せず、ヒデオが全額渡している報酬金のほとんどを貯金していました。何故かと言うと、今、全世界で出現している怪物が出現しなくなったらヒデオは最終学歴が高卒の無職になってしまうので、そうなった時大学に行って学び直すにしてもヒデオの能力を活用した会社を起業するにしてもお金があれば困らないからでした。もちろんヒデオの家族もヒデオ自身も怪物が出現しない世界を望んでいました。ヒデオが部屋を出てリビングに行くと、ヒデオ以外は食卓に着いていました。
「おはよう。」
「おはよう。父さん、母さん。」
ヒデオは挨拶をして席に着きました。食卓には人数分のトーストとサラダと目玉焼きと牛乳が入ったコップが用意されていました。
「それじゃあ、いただきます。」
「「「いただきます。」」」
ヒデオが朝食を食べ始めてしばらくすると、ヒデオの父親が話しかけてきました。
「ヒデオ、一人暮らしとかしてみたらどうだ?」
「え?何で?俺この家にいたら邪魔?」
「邪魔ってわけじゃないけど、いつまでも母さんやランカに起こされているようじゃダメだと思うんだ。一人暮らしをすれば誰も起こしてくれる人がいなくなるから、ちゃんと一人で起きられるようになると思うんだ。」
「確かにそうかもしれないけど、父さんたちが俺の渡しているお金にほとんど手を付けずに切り詰めて生活しているのに、俺が一人暮らしをするのは贅沢なお金の使い道な気がしちゃうんだよ。」
「ヒデオが稼いだお金なんだからヒデオが自立するために使うのなら贅沢ではないと思うぞ!だから一人暮らししてみたらどうだ?」
「なんか父さん変じゃない?どうしてそこまで言ってくるの?何か別な理由があるんじゃない?」
ヒデオが問い詰めるとヒデオの父親は白状し始めました。
「いや、実は父さんネットで見ちゃったんだ。一人暮らしもしたことない生活力のない男はモテないって。だからヒデオのことが心配になって、『一人暮らししたら?』ってヒデオに勧めたんだ。」
「なんだ、そういうことか。確かに俺は一人暮らしをしたことないけど、家事全般が出来るしそこら辺のサラリーマンより稼いでいるよ。生活力がないって言ったら父さんが言った通り一人ではなかなか起きられないってことだけだけど、一人で起きられるときもあるしそんなに気にすることかな?」
「でも、一人になってみて初めて気付くこともあるかもしれないし、一度くらいやってみてもいいと思うんだけど。」
「父さん!そんなに言うんだったら言わせてもらうけど、俺が一人暮らしをしない本当の理由は怪物の被害から家族を第一に守るためなんだ。父さんも知ってるだろうけど、昨日日本全国に80体以上の怪物が出現したんだ。昨日は何とか俺や能力をもらった子たちで倒すことができたけど、かなり被害が出た所もあるんだよ。もしもっとたくさんの数が出現したら今度こそ俺んちや父さんたちに被害が出るかもしれない。そんなの嫌だから俺が一緒にいられる時は父さんたちと一緒にいたいんだよ!どうしても一人暮らしをしろって言うんだったら、うちを核シェルターぐらい丈夫な家に建て替えてくれよ!金なら俺が稼いだ金を使えばいいからさ。」
「いや、でもそのお金はお前の将来のために取って置きたいんだ。」
「父さんはひどいよ!ランカが能力で出した卵はうちの食事に使ったり、食堂の料理に使ったりしているのに、俺が自分の能力を使って怪物を倒して稼いだ金はほとんど使わないなんてさ。ほら、今日の目玉焼きだってきっとランカが出した卵だろ!」
結城英雄の妹、結城卵果も光のぬしに願いごとを叶えてもらった子どもの一人でした。
8年前の小学一年生の時に「卵を好きなだけ食べられるようになりたい!」と光のぬしに願ったら、望めばいくらでも卵を出せる能力をもらいました。しかも出せる卵の種類も自由に選べて、ウズラや鶏やダチョウと言った鳥類だけでなく、イクラや数の子と言った魚類の卵も自由に出せました。




