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第1部 第29話

「ねぇ、ホントに大丈夫だよね?」


ヒイロが怪物を羽交い締めにして上空へと飛んで行って30分以上経ち、ヒイロの安否を気にしたチヒロがショウに尋ねました。


「たぶん大丈夫だよ。」


ショウがあっけらかんと答えるのでチヒロはますます不安になりました。


「たぶんじゃ困るんだよ!たぶんじゃ!ていうか遅すぎない⁈アカシくんの話じゃ10分くらいで宇宙に行けるんでしょ⁈そこで凍った怪物を放してきて戻ってくるだけなのに時間かかり過ぎじゃない?」


「確かにロケットなら10分で宇宙に行けるって言ったけど、ヒイロはロケットじゃないからもっと時間がかかっているのかもしれないし。それに怪物を放した後また動き出さないか見ているのかもしれないよ。」


ショウの言っていることも一理あるのでチヒロはそれ以上騒ぐのを止めました。


「今は何か地球に下りてくるものはないか、空を見上げているしかないよ。」


「分かった!みんなもお願いね!」


チヒロは周りの生徒たちに依頼しました。ショウ、ツバサ、チヒロ、トモ以外の生徒たちは逃げ遅れて、ヒイロが怪物を連れて宇宙へと飛んで行ったのをたまたま見ていて、「何が起こったんだ?」とショウたちのいるグラウンドに集まってきた生徒たちでした。


「あ、あれは何だ?」


空を見上げていた生徒の一人が何か空から下りてくるものを見つけて指差しました。


「ホントだ。何だろう?」


「なんかこっちの方に来てない?」


それを見た生徒たちが騒ぎ始めました。


「どこどこ?」


「ほら、あそこ。」


チヒロが落ちてくるものを見ようと生徒が指差す方を見上げました。確かに指差す方を見ると、ゴマと同じくらいの小ささですが何かが下りて来るのが見えました。よく見ようとチヒロは双眼鏡で覗きました。


「あ、ソラくんだ!ソラくんが帰って来た!」


「え⁈ホントに?」


「ホントだよ!ソラくんが帰って来た!」


チヒロの発言でワーッと歓声が起こりました。ヒイロはショウたちがいるグラウンド目掛けて下りてきているらしく、段々と肉眼でも確認できるようになりました。そしてショウたちがいるところから少し離れた所に着地しました。ショウたちは一斉にヒイロの元へ駆け寄りました。


「ヒイロ、怪物はどうなった?」


ショウはヒイロの元へ駆け寄ると誰よりも先に口を開きました。


「ショウ、お前が言った通り、宇宙へ行ったら怪物の奴カチカチに凍ってたんだよ!だから二度と地球に来ないように力いっぱい押してやったら、スーッと離れて行ったよ!あと宇宙へ行っても俺は息苦しくなかったし、全く寒くなかった!これもショウが予想した通りだった!もしかしてチカラが俺のこと羨ましいと思っているのって、俺が宇宙へ行ける能力があるって知ってたからじゃないの?ショウ、俺の能力をチカラにしゃべっただろ?」


「いや、しゃべってないよ。だから違うと思う。」


「そっか~。違うのか。じゃあ、何でだろう?あれ、みんなどうしたの?」


ヒイロが帰って来た時は周りで騒いでいた生徒たちが段々と静かになったので、ヒイロは不思議に思いました。しかも女子の多くが目線をそらしているように感じられました。するとチヒロがエプロンのポケットから取り出せる大きさで一番大きいサイズのタオルを取り出してヒイロに差し出しました。ヒイロが訳も分からずに受け取ると、ショウが「ヒイロ、お前今まっぱだかなんだよ。たぶんお前の体は大丈夫でも、お前が着ていた服は宇宙から戻ってくる時に燃え尽きたみたいだな。ほら、早くタオルを巻きなよ。ヤハギさんはお前が裸をみんなに見られるのが恥ずかしいだろうと思っているんだよ。」と教えてくれました。


それを聞いたヒーローはひどく赤面しました。

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