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第1部 第26話

「キャー!」「うわー!」と叫びながら窓からグラウンドを見ていた生徒たちは逃げだしましたが、割れた窓ガラスで怪我をしてうずくまってしまう生徒も数人いました。チヒロは割れた窓から遠い位置にいたので怪我をしないで済みました。それでも(また怪物の攻撃が来たら危ない!早く逃げよう!)とチヒロは考え、「トモ!ここは危ない!早く逃げよう!」とうずくまっていたトモの手を取りながら言いました。


「う、うん。でも動かないんだ。私の体。」

トモの身体がブルブルと震えているのが掴んだ手から感じ取れました。


ガシャーン!


「キャー!」

そうこうしているうちに怪物はボールを投げ続け、2階や3階のまだ生徒が残って怪物を見ていた窓のガラスを割っていきました。上の階の生徒の叫び声が聞こえてきて、焦ったチヒロは「トモ!動かなくても動かすの!このままここにいたら死ぬよ!死にたいの⁈」と無茶苦茶なことを言って、トモを動かそうとしました。トモは「死にたくないよぉ~。」とべそをかきながらヨロヨロと立ち上がりました。


「よしっ!じゃあ逃げるよ!」


チヒロはトモの手を取って逃げだしました。するとガシャーンとさっきまでチヒロがいた辺りの窓ガラスが怪物の投げたボールで割られました。それを見てチヒロとトモは全速力で逃げましたが、通り過ぎたばかりの窓のガラスをガシャーンと何度も割られました。チヒロとトモは「狙われてる!」と思い、必死で走って角を曲がりグラウンドに面していない校舎まで逃げ込みました。


「はぁはぁ。ここまで来ればボールで狙われることはないでしょ!」


「うん。でももっと遠くに逃げた方がいいかも。」


ガシャーン!


チヒロとトモが逃げた後も怪物が投げたボールで窓ガラスが割られ続けました。しばらくすると窓を割りつくしたのかボールのストックがなくなったのか窓を割られる音がしなくなりました。


「どうしたんだろう?ボール投げてこなくなったけど。」


「分からない。でも今のうちに昇降口まで行って遠くに逃げよう!」


チヒロたちがまた逃げ始めた瞬間、今度はドーン!とボールよりも固いものがぶつかる音がしました。

なんと怪物はサッカーのゴールを投げて校舎にぶつけたのでした。それを知らないチヒロとトモは「今度は何?」「分からないよ!とにかく逃げるの!」とますます恐怖を募らせながら逃げました。


それでもなんとか昇降口までやってきたチヒロとトモは、靴に履き替える余裕もなく外に飛び出すと、何十人という生徒たちが校門まで走っていくのが目に飛び込んできました。チヒロとトモも急いで校門まで向かおうとしたその時、ドーン!とまた怪物がサッカーゴールを投げて校舎にぶつけた音が聞こえました。「キャー!」と叫び声が上がり、チヒロとトモは恐怖で目をつぶりながら必死で走っていたらドンッと何かにぶつかりました。目を開けてみるとそこには、アカシ・ショウが立っていました。


「良かった。ヤハギさんまだ学校にいてくれたんだ。」


ショウの発言の意味は理解できませんでしたが、「早く逃げなきゃ!」と思っていたチヒロは「アカシくん、どうしたの?早く逃げないと!怪物が出たんだよ!」とショウに逃げるように促しました。


「知ってるよ。ていうかその怪物を倒しに来たんだよ。」


ショウはあっけらかんと言いのけました。チヒロはまだ訳が分からず「倒すってアカシくんが倒すの、あの怪物?」と疑問を投げかけました。


「いや、違うよ。怪物を倒すのはこの2人。」


そう言いながらショウは後ろを指さしました。チヒロがショウの指さす方を見てみると、そこにはシラトリ・ツバサとソラ・ヒイロが立っていました。


「ソラくん!シラトリくん!えっちょっと待って!2人が倒すってどうやって?」


「それを説明する前にヤハギさん、キミは怪物がどんな奴か知ってる?」


「うん、遠くからだけど見たよ。身長180センチ以上の大きな黒い人型の怪物だった。あと火とかは効かなくてサッカーボールをものすごいスピードで投げられる力があるみたい。でも動きは割と遅かった。」


「そっか、サッカーボールについては知らなかったけど、大体はツバサに送られてきたメールの通りだな。よしっ!行こう2人とも!」


ショウたちが怪物のいるサッカーのグラウンドの方に行こうとしたところ、「ちょっと待って!私も行っていい?邪魔はしないようにするから!」とチヒロが自分でもびっくりするようなお願いを言い出しました。


「むしろ来てくれるならありがたいよ。できればヤハギさんに出してほしい物もあるしね。」


「ホントに!ありがとう!トモごめん!ここからは1人で逃げてくれる?」


「私も行く!怪物を倒すのなら怪物の考えていることが分かる私がいたほうがいいでしょ。」


「トモ、大丈夫?」


「うん、大丈夫。今は大分落ち着いてるよ。」


「よしっ!じゃあ行こう!」

5人はグラウンドに向かいました。


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