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第1部 第21話

 次の日の木曜日、ショウたちが想定していた通り、ヒイロは学校を休みました。それを朝知ったショウは分かってはいながらも「はあ。今日もか。」とため息交じりの愚痴をこぼしました。

昼休みになったら、別のクラスのツバサがショウの所にやってきて、2人で放課後のことを話し合いました。


「チカラが今日はいないから、誰か別の人を誘うのはどうかな?ほら、人が多ければ、それだけの人がヒイロが学校に来るのを待っているって印象付けられるし。」とツバサが提案しました。

しかし、ショウは「そうかな?逆にプレッシャーに感じてしまうかも。それにさ、言っちゃなんだけど、ヒイロの親しい友達って俺とツバサとチカラぐらいじゃん。俺たち以外で思い浮かぶのは、ヒヤマやアダチを含めた3,4人位だけどヒイロとは休み時間に話すぐらいの距離感だったはずだし、そんな距離感の奴らが来てもヒイロは俺たちか教師に頼まれて来たとしか思わない気がする。」とツバサの提案を却下しました。


「じゃあどうすればいいんだよ?」


「だから、ヒイロのことを本当に心配してる俺たちが何日も行くしかないんだよ!それがきっと一番いい方法なんだ!」


「アカシくん。シラトリくん。ちょっといい?」

思いもよらない人物がショウとツバサの会話に割って入ってきました。

声が聞こえた方を見ると、そこにはショウとヒイロのクラスメイト、ヤハギチヒロの姿がありました。


「ごめんね。聞き耳を立てていたわけじゃないんだけど、聞こえてきちゃって。2人ともソラくんの家に行くつもりなんでしょ。」


「そうだけど、それがどうかした?」


「先生は風邪で休みだって言ってたけど、2人はソラくんが休んでいる本当の理由を知っているのかなと思って。」


「知ってるよ。あまり人に言いたくないから教えられないけど。」


「そっか。やっぱりそうなんだ。」

ショウの発言でチヒロは合点がいったようでした。


「ヤハギさん、もしかして?」


「うん。多分わたしも知ってる。あれでしょ?ネットの書き込み?」


「そっか。知ってたか。もしかしてもう学校じゃ知れ渡ってる?」


「ううん。そんなには。でも話している人は何人かいた。」


「そっか。じゃあ知れ渡るのも時間の問題だな。」


「それでさ、ソラくんに会いに行くなら伝えてほしいことがあるんだけど。」


「何?」


「ネットの書き込みなんて気にしないでって。学校で話していた人たちもソラくんの能力を知っているからかわいそうだって言ってたし、まあ中には笑っている人もいたけど。」


「わかった。伝えておく。」


「ありがとう。私も行ければいいんだけど、部活があるからさ。」


「なら仕方ないよ!美術部だっけ?部活頑張って!」


「ありがとう。それじゃ。」


伝えたいことを伝えると、チヒロは自分の席に戻っていきました。そのあとすぐ昼休みが終わるチャイムが鳴りました。


「それじゃあ、僕もクラスに戻るよ。ショウ!また放課後。」


「ああ、放課後な。」

ツバサがクラスに戻ると、ショウは5時間目の準備を始めました。


放課後になるとショウとツバサはすぐに下校して、ヒイロの家に向かいました。ヒイロの家に向かうことで頭がいっぱいになっていた2人は駆け足で歩き、電車に乗っているときも会話することはありませんでした。それだったら、ツバサは飛んでヒイロの家に向かい、玄関前でショウと合流すれば良かったのですが、ツバサ本人はヒイロに対し何を言えばいいのか考えるのにいっぱいいっぱいで、そこまで頭が回りませんでした。


ヒイロの家の最寄り駅から家の前まで駆け足だった2人は、玄関前に着くと息を整えて、ヒイロの家のチャイムを鳴らしました。数十秒後「…はい。あっ!ショウくん。良かった。また来てくれたのね。」カメラ越しにショウの姿を確認して、少し喜びを隠せないヒイロの母親の声が聞こえてきました。


「ごめんなさいね。昨日はせっかく来てくれたのに。ヒイロにそのこと伝えても何の返事もなくて。」


「いえいえ、大丈夫ですよ。こちらこそすみません。今日はチカラが国の要請があって来られなくて、2人だけなんです。でもその代わり…」とそこまでしゃべったところで、ツバサのスマホが鳴りました。どうやらラインのメッセージが来たみたいでした。


「ごめん。」

ツバサが話に水を差したことを謝ると、ショウは「いや大丈夫。」と答えて「すみません。でもその代わり、僕たち以外の人から伝言を預かって来てるんです。」とヒイロの母親との会話を続けました。

しかし、そこでまたツバサのスマホが鳴り出しました。どうやら今度は電話のようでした。ツバサはスマホの着信を切りました。


「出なくて大丈夫か?」とショウが聞くと「大丈夫。後でかけなおすから。」とツバサは答えたので、ショウはヒイロの母親との会話の続きをしようとしましたが、そこでまたツバサのスマホが鳴りました。


「もう出ていいよ。」


「ごめん。そうさせてもらうよ。」

ツバサは申し訳なさそうに電話に出ました。


「さっきからすみません。でも伝言もありますし、僕たちもヒイロに伝えたいことがあるので、おばさん!せめて家の中に入れてもらえませんか⁈ヒイロに直接伝えたいんです!」


ショウが思いの丈を伝えると、ヒイロの母親は少しの間沈黙して、覚悟を決めたように話し出しました。


「わかった。ヒイロが部屋に入れてくれるかは分からないけど、うちの中には入れてあげる。」


「ありがとうございます!」


ショウがヒイロの母親にお礼を言って、ツバサに会話の内容を伝えようと思って振り向くと、呆然と立ち尽くしたツバサの後ろ姿が見えました。


「おい、どうしたんだ?喜べよ!おばさんが家に入れてくれるって!」


ショウがそう言ってツバサの肩にポンと手をやると、ツバサがひどく青ざめた顔で振り向きました。ショウはその顔を見てギョッとしましたが、すぐにツバサが電話で何か重大なことを聞いたのだと思い、「どうしたツバサ⁈何があった⁈」と聞き出そうとしました。するとツバサは今にも消え入りそうな声で言いました。


「どうしよう?ショウ…。僕たちの学校に怪物が出たって…。」



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