第1部 第20話
放課後、3人はヒイロの家を訪れチャイムを鳴らしました。数十秒後、「…はい。あっ!ショウくん…」と、インターホンに内蔵されたカメラ機能によってチャイムを鳴らしたのがショウだと把握したヒイロの母親の声が聞こえてきました。
「おばさん。俺だけじゃなくてツバサとチカラもヒイロの見舞いに来てます。中に入れてもらえませんか?」
3日も学校を休むほどにヒイロが落ち込み誰とも会おうとしないだろうと思ったショウたちは、風邪で休んでいるヒイロのお見舞いに来たという理由でまずは家に上がることを優先したのでした。
「ごめんなさい。ヒイロ、ひどい風邪だから、みんなにうつったら悪いからお見舞いは遠慮してもらえるかしら。みんなが来てくれたことは伝えておくから。」
ヒイロの母親にお見舞いを断られましたが、ショウは「ちょっとだけで良いのでお願いできませんか?ヒイロの部屋には入りません。ドアの前までで良いんです!」と引き下がりませんでした。しかし、「ごめんなさい。」と、ヒイロの母親にまた断られました。すると、今まで黙っていたツバサが急に「おばさん!本当にヒイロは風邪なんですか?」と核心をついた発言をしました。
「ばか、やめろ。」
ショウが止めようとしましたが、ツバサは更に続けました。
「僕たちショウから日曜日に何があったのか聞いたんです!それと今ヒイロがネットでどんな扱いをされているのかも知ってます!ねぇおばさん。ヒイロ、本当は風邪じゃないんでしょ!」
「…。」
ツバサの発言でヒイロの母親は黙ってしまいました。それによってショウたちはヒイロがネットの誹謗中傷で深く傷ついていることを確信しました。しばらくして、ヒイロの母親が口を開きました。
「…そう。そこまで知っているのなら教えるけど、確かにヒイロは風邪じゃないわ。でも部屋から出てこない理由は私にも教えてくれないの。それで日曜日に何かあったんだと思って調べたら、ネットの書き込みを見つけたの。多分それが原因だと私も思うけど、本当のことは分からないわ。」
「おばさん!家に入れてもらえませんか?ヒイロにどうしても伝えたいことがあるんです。」
今度はチカラが頼みましたが、「ごめんなさい。誰にも会いたくないって言われてるの。3人が来てくれたことは伝えるから、今日のところは申し訳ないけど帰ってもらえる?」とまた断られました。
「そこをなんとかなりませんか?」
「やめろ。今日はもう帰ろう。…じゃあおばさん、俺たち今日は帰ります。明日また来るので、そのことヒイロに伝えておいてください!」
尚も引き下がろうとしないツバサをショウは静止して今日はヒイロの母親の言うことを聞いて帰ることにしました。
「ありがとう。ちゃんと伝えておくわ。それじゃあ。」
「失礼しました。」
ショウとヒイロの母親のやり取りが終わると、ツバサとチカラがショウに詰め寄りました。
「なぁ、なんで引き下がったんだ?もっと押していくべきだったんじゃない?」
「そうだよ!もう少しだったのかもしれないのに!」
「いや、これ以上はいくらやっても押し問答だったと思うよ。実際俺たちが来た本当の理由を話してもおばさんは頑なに家に入れてくれなかったじゃん。」
「…それは確かに。」
ショウの説明に2人は一応納得してくれました。
「それに俺たちが心配して家まで来たということがヒイロに伝われば、ヒイロの気持ちが変わって部屋に入れてくれるかもしれない。明日は無理でも続けていけば来週には入れてくれると思う。」
「大丈夫かなあ?」
「大丈夫!俺たちがまず説得しなきゃいけないのはヒイロのおばさんだ。俺たちが何日も続けて来れば、ヒイロのおばさんは俺たちの真剣さを見て、ヒイロの部屋は無理でも、家には入れてくれると思うよ。」
「なるほどね。じゃあ僕たちは真剣さを見せるためにヒイロの家に何日も通い続ければいいわけだ。」
「そういうこと。それじゃあ、明日も放課後ヒイロの家に来るということで大丈夫か?」
ショウが2人に明日も来られるか尋ねると「大丈夫だよ。」とツバサは快諾してくれましたが、チカラは「ごめん。明日は怪物のパトロールをしなきゃいけないんだ。ほら、最近怪物が1日に数体確認されることがあるじゃん。だから怪物の危険からみんなを守るために国から要請されてて…ごめん。僕は行けない。」とすごく申し訳なさそうに断りました。
「そっか。それなら仕方ないよ。明日はショウと僕とで来よう。」
「ああ、そうだな。チカラ気にしないで、頑張ってくれ!」
「ありがとう。頑張るよ!」
「じゃあ、帰ろっか?」
「そうだね。」
「うん。」
そう言って3人は、今日はもう帰ることにしました。




