第1部 第19話
(はぁ。遅いなヒイロのやつ。)
次の日の月曜日、土曜日とは違いショウが先に学校に着いてヒイロが登校してくるのを待っていました。しかしホームルームの始まるチャイムが鳴ってもヒイロはやってきませんでした。ガラガラと教室の教壇側の扉が開いて担任教諭が入ってきて出席を取り始めました。
「佐々木、志賀、須藤、空…は病欠で今日は休みだったな。」
「病欠?ヒイロはどんな症状で休んだんですか?先生?」
ショウは昨日のことがあったので、病欠という単語が気になり間髪を入れずに担任に質問していました。
「明石、こういうのはプライバシーもあるからそんな簡単には答えられないんだよ。でも心配だよな?本当はダメなんだけどただの風邪って話だから言っても大丈夫かな。」
「そうですか。風邪ですか。」
ショウは少しホッとすると、ホームルームが終わった後、メールで「風邪って聞いたけど大丈夫か?」と送りました。しかし下校時刻になっても返信がくることはありませんでした。
さらに次の日もヒイロは風邪という理由で病欠をしました。
さらに次の日の水曜日の昼休み、ショウの所に別なクラスのチカラとツバサが集まってきました。
「ヒイロ今日も休みなんだって!」
「ああ、そうだよ。」
「心配だなあ。これで3日間風邪で休みなんでしょ!そんなにひどい風邪なのかなあ?」
「ホントに風邪ならいいんだけど。」
「ショウ。何か知ってるみたいだな?教えてくれよ!ヒイロに何があったんだよ⁈」
ツバサがショウに詰め寄りました。
「落ち着いてよ!ツバサ!ねえ、ショウ何か知っているんだったら教えてくれない?」
チカラもツバサを落ち着かせながらもヒイロについて尋ねてきました。
「わかった。わかった。実は…」
ショウは3日前の日曜日に起こったことを説明し始めました。
「もしかしてヒイロは…その怪物事件のことで自分を責めて休んでるの?何だよそれ!ヒイロは悪くないじゃん!」
「そうだね。ヒイロは全然悪くないよ!」と、ショウの説明を聞いて怒りを露わにしたツバサの意見にチカラも同調しました。
「だけどさ世間の一部の人たちはそう思わないみたいだよ。」
「「えっ⁈」」
ショウは自分のスマホの画面を2人に見せました。
それはSNSにアップされたヒイロが怪物の前で呆然と立ち尽くしている動画でした。その動画には「いつまで立ってんだよ!」「ヒーローなんだろ⁈早く倒せよ!」といったヒイロを煽る声も入っていました。それを見てチカラとツバサが何も言えずにいると、ショウが「この動画が『ヒーロー失格』、『役立たず』、『無能』といったハッシュタグを付けられて拡散されているんだ。しかも『これならマネキンでいい。』とか『俺なら倒せた。』といった文を付け加えているやつもいるんだ。さらに言うともっと酷いこと書いているやつもいる。」ヒイロがネット上で置かれている状況を説明しました。
すると、それまで言葉を失ったかのように無言だったツバサが急にヒートアップして「なんだよこれっ!勝手に担ぎ出されて…逃げずに頑張った人に対してこんなこと…言う奴らがいるのかよ!信じられない!」と、さっきよりも語気を強めて怒り出しました。
「そうだよ!それにヒイロのおかげで被害が広がらなかったかもしれないのに!おかしいよ!」
普段は眠そうな表情であまり感情を顔に出さないことが多いチカラも怒りの表情を浮かべていました。
「ショウ!ヒイロに気にすることないって伝えた⁈」
「ああ。何回もメッセージを送っているんだけど、ずっと既読にならないんだ。」
「…放課後、ヒイロの家に行こう!直接伝えるんだ!ヒイロは悪くない、ネットの意見なんか気にすんなって!」
「そうだね。それがいいよ!行こう!ショウ!」
じれったさから直接的な行動を起こそうとするツバサにチカラも賛同しました。そして、2人の意見を聞いたショウは「わかった。行こう!ヒイロの家に!」と同意しました。




