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第1部 第16話

「…ヒイロ。言おう言おうと思っていたんだけど…実は」


ショウが何かを言いかけた、その時「キャーッ!」「おいっ!逃げろ!」と、店の外から何かに怯える人々の悲鳴や叫び声が聞こえてきました。ヒイロが外の様子を確認しようと席を立った瞬間、店内にガラスが割れる音が響き渡りました。その直後「か、怪物だ!怪物が出たぁ!」と、男性店員が叫び声を上げ、それまで静まり返っていた店内が一気に騒がしくなりました。パニックになったお客さんたちをかき分けヒイロとショウが店の外に飛び出すと、阿鼻叫喚の巷と化していました。

ヒイロたちがいた店から30メートルくらい離れた店に怪物が体の半分以上を突っ込んでいる光景が視界に飛び込んできました。身動きが取れないのか、後ろ脚で必死にもがく怪物の近くには何人もの人たちが意識を失った状態で倒れていました。突然の出来事で呆然と立っていることしか出来ないヒイロにショウが「…怪物の近くで倒れている人たちを俺と協力して助け出さないか?」と聞いてきました。


「はぁ⁈そんなの…無理に決まってるだろッ!」


「ヒイロ、どのぐらい速く飛べる?」


「ショウッ!俺たち2人で助け出すのはどう考えても厳しいって!」


「怪物に気付かれる前にあの人たちを助け出せないか?」


「そんなこと出来るわけないだろッ!」


『俺たち2人で倒れている人たちを救い出そう!』ショウの耳を疑うような提案を現実的に不可能だと否定したヒイロでしたが、「…俺たちがやらなきゃあの人たちは助からないかもしれないんだよ。ヒイロ、お前なら出来る!俺の作戦とお前の能力があれば…出来る!」強く否定する自分の目を真っすぐ見つめて説得してきたショウの意志に根負けしたヒイロは(誰かが行かなきゃ助けられない…その誰かが俺だってだけなんだ!やるしかないだろッ…!)と、決意を固め動き出した瞬間、逃げようとする人と肩がぶつかりました。


「ごめんなさい!」


「こっちこそ…って、キミは?」


ヒイロと肩がぶつかった男性は、謝ろうと振り向いたヒイロの顔を見るなり何かに気付いたような表情を浮かべました。


「空飛んでたよね⁈あの、ほら!風船捕った時に!」


「えっ?」


男性に詰め寄られて困惑していたヒイロは、目の前の男性が風船を持った女の子とぶつかってしまった男性だと気が付きました。


「そうだ!やっぱりあの時の子だ!空を飛べるってことはさ、キミはユウキ・ヒデオと同じ学校に通ってる生徒なんだろう?ってことはヒーロー活動もしてるよね⁉」


矢継ぎ早に質問してくる男性にヒイロが面食らって何も答えられずにいると「おい!何してんだ⁈早く逃げねぇと!」と、男性の友人がやって来て半ば叫ぶように言いました。


「大丈夫だよ!ここにユウキ・ヒデオと同じ学校の生徒がいるんだ!もう慌てて逃げなくてもこの子がきっと助けてくれる!」


「マジか!キミ、ユウキ・ヒデオと同じ学校に通ってる子⁉…ってか、さっき空飛んでた子じゃないか!なぁ、頼む!助けてくれ!」


「えっ、いや、同じ学校ってだけで…俺は…。」


自分を置いていくように男性たちの間で期待と安心感が広がっていくことにヒイロが困惑していると「ねぇ?あなた、ユウキ・ヒデオと同じ学校に通ってるの?ってことはヒーロー活動もしてるのよね?」と、逃げている最中に男性たちの会話が聞こえたのか1人の女性が話に混ざってきました。女性の方に目を向けたヒイロはそこでいつの間にか何人かの人に囲まれていることに気づきました。


「この子はヒーローだ!俺たちは助かるぞ!」


ヒイロと肩がぶつかった男性の友人がそう叫ぶと、周りから歓声が上がりました。


「だから僕はヒーローじゃ…」と、男性の友人の言葉を否定しようとするヒイロでしたが周囲の人々はヒーローの登場に安心したのか、逃げることをやめて喜んでいました。


(これだけの人たちに俺がヒーローじゃないって理解してもらうにはどうしたら…そうだ、ショウなら何か思いついてくれるかも!)と、ショウの方を振り向いたヒイロは周りの人たちによって自分がショウと離されていたことに気が付きました。


「サクッと怪物を倒しちゃってよ!ヒーロー!」


「さぁ、早くあの怪物を倒してくれ!」


自分には怪物を倒せるほどの能力がないことを伝えられず困惑しているヒイロの心情など知らないとばかりに周囲の人たちはヒイロを怪物の方へと押しやった後、自分たちはヒイロから数メートル離れたところで見物をし始めました。


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