企て鬼
最近、赤鬼さんと仲良くなった。
でも、なんか怪しい行動が多い。
やけに、ニヤけも多い。
赤鬼と今まで、仲良くなったことがなかったから、分からない。
けど、何かあることは間違いないだろう。
「妻が鬼で」
そう言って、すぐ帰ろうとする。
私に内緒で、私の友達に会っていたこともあった。
そして、ハ行ではない言葉で、大げさに笑う。
スタンダードな赤鬼を、知らない。
だから、赤鬼みんなが、こうなのかもしれない。
突然、赤鬼さんの住み処に呼ばれた。
山の道を、車で走る。
10分ほど走るとそこには、木造の立派な建物があった。
恐る恐る、チャイムを鳴らす。
♪charararariraruru~
「はいはい」
すぐに、赤鬼さんが出てきた。
その手には、金棒。
手のひらサイズの金棒が、握られていた。
♪paaaan~
「おめでとう」
クラッカーだった。
頭の引き出しを、いくつも探る。
そうだ。
今日は、私の誕生日だ。
「ありがとう」
「うん。料理もたくさん、用意してるからね」
赤鬼さんは、誕生日会の準備を企てていたのだ。
企てると赤鬼は、より鬼らしく笑うみたいだ。
この赤鬼さんは、絶対にいい人だ。