表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/14

嫌いな存在

昨日、エアリスは王になることを決意し、それを国王のレイバーに報告した。決断したら即行動。案外、王に向いているのかもしれない。


あの後、俺は布団に戻り寝た。

そして、現在は王都の地下にある訓練場に来ていた。目的は治療を兼ねた修業に来ている。


しかし、ここで問題がある。俺は前の世界にいた時もそうなのたが、修行、訓練みたいな努力をしたことが一切ない。だから、学校授業にもついて行くことが出来ずに、離脱。漢字だって、読めるけど書けない漢字がそこそそ多い。


喧嘩は生まれつき体格が良かったのに加え、考えるのが苦手な俺に代わって全てを考えてくれたワタルがいたが今はいない。


だが、怪我を早期に治す為にも気功の使い方くらいは覚えた方が良いだろう。それは理解しているがどうも気乗りしない。


「修行か……気乗りしないんだよね」


「君が自分から教えて欲しいと昨日言っていた気がするけど?」


先生役として、マリッサを呼んだ。マリッサはあの時は槍を使っていたが今は木刀を持っている。敵兵から命大事さに寝返っているから、俺以外の信を得られていない。だから、流石に殺傷能力のある武器の携帯は許されてないんだろう。仮に現国王を殺しても現状、彼女はエアリスと命がリンクしているから死刑には出来ない。


「早くしてよね」


退屈そうに観客席に座っていたエアリスが言う。


「ちょっと待て。エアリスは気功を使うこなせるのか?」


「霧生、一つだけ教えておくけど気功って、あんまり言わないわよ。気功って言っているのは南の田舎の連中がそう言うなんて話を聞いたことあるわ。王国や帝国では、フォルザと呼んでるわ。その方がカッコイイでしょ?」


「エアリス様、それはどうかな? 私は結局、妙に遠回しなフォルザとか言うよりも、ストレートな名称の気功の方が分かりやすいと思うわ」


田舎とか言われてイラッと来たのか、マリッサは妙に噛み付いて来る。普段というか、彼女はあまり人の会話に口を出す性格ではない。控えめと言うよりも、面倒臭がり。必要以上のことがやりたくないタイプなのだ。


「話を続けるわ。程度の差はあるけど、気功を使って新陳代謝を促進させてて怪我を治すことくらい子供だって出来るわ。流石にそれ以上の肉体強化や気功術までは到達できる人はほんのひと握りね。この2つが出来れば、この国で将軍くらいにはなれるのではないかしら?」


「将軍がどのくらい偉いのか分かんないだけど?」


エアリスはそんなことも分からないのね?みたいな意味を込めて深い溜息を吐いた。


「王国での兵士の序列は最上位に国王。その下に7人の戦鬼が君臨するわ。その下に大将軍が時と場合によるけど、6人くらいね。その下に来るのが将軍。まぁ、将軍くらいになればもう一生お金に困ることはないわね」


「なんかその感じだと国王って戦えないと行けなそうだけど? お前、銃持った兵士からなんか凄い剣を持って逃げていたよな? 王になれるのか?」


「そこら辺のこともしっかりと考えているわ。でも、私ももっと強くならないといけないのは事実なのよね」


「そういや、王にはどうやってなるんだ? 次期国王として王様から紹介されたらなれるのか?」


「やけに鋭いわね。残念ながら、私が王になるには必要なことが2つ。国土内にあるとされる宝玉を7つ集めて、自分の王剣を作成しないといけないわ。2つ目は7人の戦鬼に王として認められること。つまり、君臨するからには勿論、勝たないといけない。だから、さっさと霧生が気功を身につけて宝玉を探す旅に出ないといけないの」


「気軽に王になれよとか言ったけどさ、無理じゃね? 1つ目は何とかなるかもしれないが、2つ目は無理だろ? この国で王を抜かせば最強の連中に勝たないといけないんだろ?」


「……策はあるわ。霧生が7人の戦鬼を殺せばいいの。そうしたら、後は私を認める人物に戦鬼の後任になってもらえばいいわ」


「発想がヤバすぎだろ。そんなことしたら、国民とかが納得しないだろ」


「いや、その件に関しては例外がある」


男の声だ。振り向くと何人かの護衛を連れていたレイバーが後ろにいた。


「壁の中では1000年以上の長い年月の間、各国間における戦争状態が続いている。1000年の間、いくつもの国が生まれ、滅んで来た。その中で我が王国と帝国のみが1000年以上続いている。我がブリタニア王国が長年国家を継続してこれたかと言うと、初代ブリタニア国王が神から授かったとされる王剣を神代の時代から現代に至るまで継承して来たからだ。王剣の力は人間の枠を超え、国家と同等の力を持っている。だから、帝国軍は街には一切の攻撃をせずに、王家の人間だけを殺しに来た。王家の血が途絶えれば、向こうの皇帝が受け継いできた持つ皇帝特権に、勝てる力がないからだ」


「つまり、王剣さえ宝玉を集めて完成されれば最強になるから、その後に戦鬼を認めさせればいいと言うこと?」


エアリスが聞く。


「いや、宝玉が隠されている神殿の位置は戦鬼しか知らない。だから、戦鬼に王の力を認めされる必要がある。しかし、エアリスは王宮の馬鹿な闘いのせいで戦えない。いや、闘い方を知らないという方が正しい」


「そうね。他の王族たちは最強になるべく、生まれてから直ぐに戦闘訓練が始まるわ。でも、私は戦闘訓練を受けたことがない。だから、戦い方を知らないわ。でも、最強を目指していた私の兄弟達は帝国の奇襲で全滅。訓練の効果があったとは言えないけどね」


「誰も王都に奇襲をかけるなんて想定外の事態だったから、武器を持っていた人物が少なかった。それにマリッサから聞いた話だと、奇襲部隊のリーダーは第3騎士団団長を務める男だと言う。彼1人ですら倒すには万全の体制をした所で、城内に残っていた戦力では勝てないよ」


「帝国の戦力は6つの騎士団のみ。ただ、第3師団は100万人の兵士を従え、軍の規模は6つの騎士団の最大規模規模だわ。騎士団長であるアーガスの実力は折り紙付きで帝国でも強さで言えば、1桁代ね。でも、エリアス様の剣として霧生が生きるとするならば、絶対に勝たないといけない相手ね」


「その件に関して、問題がある」


言いずらそうにレイバーが言う。深刻そうな王とかガチでヤバそうだなって思う。


「王国議会にて、霧生とマリッサが同行することに対して認可が降りなかった」


「はぁ? あいつら本当に馬鹿なのね。まだ、自分たちの立場を理解していないようね」


エアリスがキレた。


「ちよっと待てよ展開が早すぎてついていけない。王国議会ってネーミンクで何となくわかるけど、何が問題なんだよ」


「一切、アイツらのことを気にする価値はないわ。容量の無駄よ」


「王様?」


「王国議会は貴族達から構成される国民の意見を王に進言することが出来る人達だ。1000年も続くと暴君や暗君が生まれる。そうした際に、王を止める権限を持っているんだよ」


「なんで、そんな連中が俺らを認めないとか言う話になるんだ? 俺もマリッサも王ではないだろ?」


「彼らは次期国王の護衛として、つくのが実力不足だと言ってきた。要するに2人はエアリスと命が繋がっている。そんな2人を危険な旅にどうこうさせる必要はリスクだけだと。2人は王国で身柄を守り、他の実力のある人が護衛となるべきだと主張しているんだ」


「王国議会の連中は人の形をした生ゴミと変わらないわ。 昔から考えるのは自噴たちの利権ばかり。今回も、自分たちの用意した王候補が死んで、アンチの私が王になるしかないからせめてもの護衛を自分達の派閥の人間を付けるつもりでしょ?」


「君がそう言うことは予想出来ていたよ。だから、議会の連中と話して、代表者同士の決闘で決めることにしたよ。勝った方の言うことを聞く」


「嫌よ。霧生があんな馬鹿どもの手下に下るような連中に負けるとは思わないけれど、少しだって関わりたくないわ。そもそも、貴方だってアイツらがお母さんにしたことを忘れたわけじゃないでしよ?」


「私とて連中は好かない。だが、無視すれば権力を使って、絶対に邪魔してくる。ここで勝っておけば、無駄に邪魔されることはない。されたとしても、契約違反で13族を議員の席から引きずり落とせるきっかけになる。勝てれば、良い事ばかりだ」


「事情とかよく分からないけど、喧嘩売られてんだろ? そんなの買うに決まってんだろ?」


「……しかし、問題は勝てるか厳しいところだ。連中は楽観視しない。初めは大将軍を呼ぼうとしていたが、それは阻止したが将軍は使ってくるだろう。霧生くんはフォルザを使えないみたいな話が聞こえたのだが?」


「だからなんだよ」


「現時点でフォルザを使えないならば、万に1つも勝ち目はない。前回、将軍クラスとされるマリッサに勝てたかもしれないがそれは王剣を使用していたから。そうでなければ、勝てなかったであろう。もしくは、スキルがあればだが……」


俺はスキルを持っている……らしい。あの女になるやつだ。詳しくは分からないが、かなり強力であることは聞いた。だが、女になるとか男の中の男としては断固として認めない。故に、俺のスキルの存在を知るのは二人だけだ


「問題ない。この世界に来てから、俺は誰にも負けるつもりはない。対戦相手に明日やろうって言ってきてくれよ、王様」


俺は『竜殺し』になる。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ