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難しい言葉

霧生とマリッサの戦いは、ギリギリで霧生の勝利にて決着した。


決着がついた瞬間、上空では大きな音がした。


唯一、まともに動けるエアリスは急いで確認する為に城の外へ出た。


上空を見上げると、ビルの上層部にあるエアポートから大きな飛行船が飛び立とうとしていた。飛び立とうとしている辺り、味方ではないだろう。さっきの帝国兵はマリッサを残し、撤退していった兵士が乗っている飛空挺なのだろう。


「帝国の連中が撤退すると言うことはもう彼らにとってやるべきことが終わったと言うことよね。もう、安全かもしれないけどこれ以上、城内を散策するのは怖いわね。霧生も現在進行形で死にかけだし。もしかしたら、私以外の王族はみんな殺されたのかもね。それはそれで悪くないわ。私、あいつら嫌いだったのよね」


ふと、エアリスは誰に伝える訳でもなく呟く。


軽い現実逃避だっった。何よりも衝撃的な事件から目を背けたかったのだ。大体、私にどう彼に伝えろと言うのだ。まさか、能力を使ったら美少女になるなんて思いもしなかったのだから。


中から声が聞こえないと言うことは恐らく、霧生は自分が女になっていることに気がついていないのだろう。元より鈍感な男だ。短い時間の付き合いだが彼は戦いに勝つことしか頭にないことはなんとなく分かった。だから、案外、素直に話せば受け入れるかもしれない。


「さて、どうしたものかね」


城から離れている飛空挺を横目に、空を少し眺めていた。


「おいおい。俺、女になっているじゃんかよ」


建物の中から叫び声が聞こえた。霧生の声だ。柄にもなく動揺していることが声からも分かる。ここで現実逃避をしていたいのが本心だったが、観念して霧生の元へと向かった。


「おい、これどうなっているんだよ。どうして俺が女になっているんだよ。しかも、これって日本のセーラー服じゃんかよ。どうなってんだよ」


「見たことのない服装の女の子になっているわね。でも、とても可愛いわ」


「見た目の感想なんてどうでもいいんだよ。なんで、俺がこんな姿になってんだよ? まさか、お前の血を飲むと女になる副作用があるのか?」


「人のせいにしないでよ。女の子の姿になって、強くなったのは霧生の力。私の血はただ消え夕の中に眠る潜在能力を強引に引き出しただけよ」


黒を基調としたセーラー服に腰まで伸びる黒い髪。頭には鬼の角が生えている。アニメキャラのようだ。


しかし、俺の髪は短髪だったのが一瞬でとんでもなく伸びた。


「ふざけるなよ。俺はもしかして一生、この姿なのか?」


「知らないわ。自分の能力でしょ?」


「いや、俺の能力と言われてもな。この俺がライトノベルよろしくの異能力者になる日が来るとは思ってもいなかったな。しかも、その能力が女になるだなんて。もう二度と絶対に使わない」


「使わなくて済むと言いわね。一応、無限に続く能力を私は聞いたことないわ。身体能力を強化する系統は総じて、そこまで長くは続かないのが特徴だわ。だから、少しは安心して少し座っていたら? 怪我が完治した訳じゃないのよ。敵も一旦は撤退したみたいだしね」


「……そうだな。さすがに疲れた」


元の姿に戻れるのか不安はあった。しかし、それを上回る程に疲れた。身体中が痛い。意識が朦朧として立っているのが辛い。


少し経過したら、身体から急に力が抜けてた。座っていることとが出きず、その場に倒れ込んだ。倒れると同時に、俺はなんとか元の姿に戻ることが出来た。


「話し合いは終わったのかしら?」


倒したはずのマリッサが起き上がった。起き上がったと言っても、虫の息だ。とてもじゃないが、戦える状態ではない。立ち上がったのは一瞬で、直ぐに座った。


「少しは二人とも、教養を身に着けた方が良いわ。敵にはちゃんとトドメを指すべきだわ。じゃないと、後悔するよ」


「しぶといね。まだ戦うというなら、戦ってやるよ」


嘘だ。もし、彼女が戦闘できるなら俺はあの槍を避ける力はもうない。


「馬鹿言わないで。私だって、もう立ち上がる力もないわ。えっと、霧生って言ったかしら?」


「俺の名前だけど。別に逃げたいなら、逃げれば? もう疲れたし、わざわざお前を追う理由はないわ。別にいつでも殺せる」


「……見てわかる通りよ。逃げる気力もないわ。だから、従属を申し出るわ」


従属ってなんだ? そもそも日本語の意味が分からない。


「馬鹿なの? 従軍している人間が別の人間に対して、従属できるはずがないでしょ」


「私はあくまで雇われ傭兵なのよ。だから、別に帝国だろうが王国だろうが雇い主は関係ないわ。そもそも私は帝国出身じゃないもの。私はもっとも南の田舎出身。帝国には給料が良いから、従っていただけで、従属はしていないのよ。だから、信が得られずに地位が低かったの」


「おいおい、俺の前で難しい言葉使うなよ。従属ってなんだ?」


「分かりやすく言うと部下になるってことよ。ただ、従属契約を結ぶとある程度、部下の行動を縛れるの。例えば、彼女が今はこうしているけど、元気になって寝首を書かれたら危ないでしょ。だから、主人に攻撃を加えるなって話」


「いや、俺に部下はいらないよ。だから、従属なんて煩わしいことはいらないよ。エアリスにお願いすれば?」


「冗談でしょ? 私は腐っても王族に名を連ねているわ。つまり、私が従属を許すということは彼女を騎士にすると言うことになるわ。流石に騎士は不味いでしょ?」


「私は騎士がどうこうなんて話はどうでも良いけどね。どちらかに従属できないと王国軍が帰って来てきっと殺されることになるでしょうね。敵国に奇襲掛けておいて、自分は死にたくないとか何を言っているだと言われても何一つとして反論出来ないけど、それでもね。乏しい故郷は田舎でね。貧しい所だから、私が仕送りしないといけないの。村を救うまで私は死ぬわけには行かないの。その為にならどんな手を使ってでも生き残る」


もし、俺がここで従属を拒絶したら立つこともままならないその身体を引きずってでも、逃げるのではないか。そう思わざる得ない強い意志を感じたのだ。


強い意志に負けたのだろう。反射的に答えてしまったのだ。


「分かったよ。俺が契約してやる」


「正気なの? 帝国からわざわざ襲撃してきて、私たちを殺そうとした女を許せるの?」


「別に俺の仲間が殺されたわけじゃないからな。俺の元いた世界でも、戦い合って仲良くなって来たからな。殺されるくらい全然許せるよ」


「……脳天気な性格ね。分かったわ。君はこの世界のことを全く理解していないようだから、私が間に入るわ。そこの女も異論はないわね?」


メリッサは既に強化ガラスに激突して破損してた鎧を脱いでいた。鎧の下は真っ黒な肌に密着るする感じのスーツだった。


霧生のまさかの返答に少し困惑していた。


「凄い大逆転劇だね。私からしたら有難い話だけど」


「言っておくけど、甘い条件で契約はさせないからね。しっかりと行動は縛らせてもらうわ」


「あまり文句を言える立場でないことだけは理解しているわ。でも、兵士として契約してね。愛人契約とかはやめてもらいたいわ。そう言うのやったことないから」


「俺をとんでもない変態と勘違いしていないか? それよりどうやるんだ?」


「契約自体は簡単に出来るわよ。こんな感じに魔法陣を書くの。血じゃなくてもいいけど、書くものが無いから霧生が無駄に流していた血を今回は使うわ。そこの女もボロボロだし、私が代理で書くわ」


「ありがとう。随分と気が利くわね。死にかけているから助かるわ」


マリッサは鎧を脱いでも血だらけだ。身体がボロボロで、今は寝転んでいる。早急に手当しないと不味い感じだ。なんて、見ている俺ももう満身創痍。契約とか何でも良いや。


「あのさ……やっぱり契約とかどうでも良いから俺らは2人死にかけているから病院に行かないか? こんな感じに死にかけている分けたしさ……あ?」


「あ?」


「あ?」


3人がスっとんきょな声を出した。


魔法陣に間違って触れてしまったようだ。何故か分からないが魔法陣の中にはマリッサの手があった。結果的に触れる感じになってしまった。


すると、魔法陣は光出した。

一体、何が起きるんだ?

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