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#99-①

本編に於いては、シェラザードの下に届けられた“文”が元で、シェラザードは故郷の国へと帰らざるを余儀なくされたものでしたが……

では―――? 多少なりとも気になる、その“文”の内容とは?



         『グレヴィール様が過労の為、ブッ倒れました。』



この一行―――この“一行”で、一大事を知ってしまう事となるのですが……。

それはなぜかといいますと、実は国王セシルは、王位に就いていた期間は長いのですが、政治の実権に関しては伯爵を筆頭とする“身中の蟲”達に握られていたわけでありまして。

シェラザードの“粛清”により、そうした(しがらみ)などは取り払われたわけなのですが―――……

何しろ“傀儡”としての期間が長かったため、本来の“王様業”は一年生にも等しかったのです。


だから、シェラザードも途中で帰っていますし、どうにか政権は維持できていたのです。


しかし、だとしたら……シェラザード不在の時には?

それが、シェラザードの事を幼馴染にして許嫁と言って(はばか)らなかった、グレヴィールと言う事。


彼の事に関して言うのならば、初回に登場した時点で“腹黒く”描かれているのですが。

彼はあれで中々の“キレ者”で、シェラザード不在時には宜しくセシル国王のフォローに回れていた……のでしたが、その彼が、『過労の為、ブッ倒れました』―――と、言う事は?

つまり、シェラザード“決心”の理由こそ、『危機管理の異常反応(つまりはそう言う事)』―――


その証拠としては……





「おっ・やっ・じいぃ~~~! 待てい! 重要書類(それ)に触れんなあ~~!!」


「おお―――シェラ……どうだ、私だってやれば出来る処を……」


「(……………………。 こっ―――こいつう~~! ダメやん……こんな書類、決済しちゃあ……)はああ~~……あの人達との辛い別離れ(わかれ)、振り切って戻ってきた甲斐があったってもんだよ……。」


「シェラ? これは―――もしかすると……」


「:そんな、ポンポンポンポン、ポンポンポンポン、承認の為のサインや印璽(ハンコ)押しゃいいってもんじゃないの! ちゃんと内容読み込んで―――それで理解しないと……」


「いや、だって……お前やグレヴィール君は……」


「私やあいつはさ、慣れてるから速読スキル(そう言うの)がついてきてんの! パラパラ(めく)ってるだけのように見えて、ちゃんと内容確認してんの!!」


「そう言う事だったか―――いや、親である私が見ない間に、子供と言うモノは成長するものなのだなぁ……。」(しんみり)


「ホントウニネ―――w」(引き攣った笑い)


てえ~~か……こりゃ、あいつに大きな貸し作っちゃったよなあ~。

ここは本気で、“あの事゜”も考えなくちゃいけなくなったかぁ?





マナカクリムから戻って来るなり、政務室の扉を荒々しく開け、入って来るなりセシルがこなしていた業務(主に書類の決済)を取り上げ、セシルが何の書類に対して決済しようとしていたのかを確認するシェラザード。


すると思っていた通りに、官僚が作成した、官僚に都合がいい書類を決済しようとしていた―――

その事を止めさせただけでも、彼女の有能性は判っては来るのですが、どうやらシェラザードやグレヴィールが有能なのは、そこだけではなかったようで……

その一端としてが、速読スキルを使用しての、書類の山を片付けていくと言う能力。


しかしこれは、端から見れば、ただ単に書類を“パラパラ”と(めく)っているだけの様にしか見えなかったのでしたが、彼女達からしてみれば、その動作だけでも不備を指摘出来ていた……。


しかも? どうやらセシル王は、娘の優れた面を見るにつけ、口に出してしまった事がどうやら余計な事だったらしく、シェラザードも『(どぉわれ)のお蔭でこんなんなったんか、判っとんかい!』―――と、口に出さないまでも、こめかみはヒクついていた様であります。





#99-1;真の敵は身内にあり





つづく





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