表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/8

第4話 職業

【マグナ・カルマ:お疲れ様です。すみません、ちょっと問題が発生しました】


「エンジェルガーデン」を無事に出ることができたマグナは、ダンジョンから一番近い街に着くと、すぐに街の酒場に入るなり、ギルドチャットにそう書き込む。


 すると、すぐにギルドメンバーから返信が返ってくる。


【クーリ・クー:おつっすー。どうしたん?】

【マグナ・カルマ:クーさん、おつです。今さっき、『盗賊の塒』のメンバーとちょっと争いになりまして……】

【クーリ・クー:おー? それでどうなった?】

【マグナ・カルマ:相手レベルが低かったおかげですぐに逃げていきました】

【クーリ・クー:オケ。今、「五重の塔」四階だから、一時間後にギルドホールで詳しく教えてー】

【マグナ・カルマ:わかりました】


 百レベル専用ダンジョン「五重の塔」。

 モチーフは名前の通り、現実にも存在する五重の塔である。

 各階層が一つの巨大な部屋になっており、それぞれの階層には決まったボスと雑魚モンスターが現れる。

 決まったボスしか出ないので、きちんと対策をたてていれば特に問題なく攻略できる。

 マグナ達はすでにクリアしたダンジョンだが、五階のボスが超低確率で希少なアイテムを落とすため、周回でもしているのだろう。

 

 (ふぅ……)

 そこでマグナはギルドチャットを閉じ、ため息を一つ吐く。

 

『盗賊の塒』の構成メンバーは百人を超える大所帯のギルドで、一年くらい前からその名前を聞くようになっていた。

 先ほどのメンバーは、リーダー以外は中堅メンバーといったところであろう。


 しかし、古参のPKギルドだけあって危機察知能力は高かった。

 マグナの召喚した『断罪の智天使(ケルビム・パニッシャー)』からのダメージ量だけで、即座に召喚モンスターと判断した判断能力と撤退の早さは熟練したものだ。

 さらに、使われた煙玉も高ランクのアイテムであり、八十レベ相当の探知スキルを持つ『断罪の智天使(ケルビム・パニッシャー)』が見失うほどであった。それを惜しげもなく使うということは、それだけ資金力も高いということだ。


 先ほどのため息は、そんなギルドと争う可能性が出てきたことに対するものだ。

 マグナが使った魔法は『追撃する智天使の門番(ヘーレム・ケルビム・ガーダー)』だけで、これは高レベルの召喚魔法ではあるが、決して使える人間が少ないわけではない。


『追撃する智天使の門番(ヘーレム・ケルビム・ガーダー)』を習得する条件は、プレイヤーレベルが九十レベル以上であることと、属性値の比率で聖属性の比率が八割を超える必要がある。さらに、天使を召喚できる職業の中でも上位職が必要である。


「Infinity of The Life」では、十レベルにつき一つの職業に就くことができる。

 つまり、百レベルのプレイヤーはほぼ全員が十個の職業に就いているということである。

 職業の中には、最初から習得できるもの、レベルで解放されるもの、特定のスキルを持つことで解放されるものなど様々だ。

 

 その中でも天使を召喚できる上位職を持っており、かつ、聖属性に偏った属性値を持つプレイヤー。

 十億人のユーザーを持つゲームだ。これくらいの条件であれば、珍しくはあるものの決していないわけではない。これだけでマグナを特定するのは困難である。


 とはいえ、見られている可能性も存在する以上、安心もできない。

 誰にも見られないようにしながら探索をしていたつもりだが、隠密スキルを持っていないマグナではできることに限りがある。


(面倒くさいことになったなー……)


 そんなことを考えていた時だった。

 入口のドアに取り付けられた鈴の音が鳴り、客の来店を告げる。


「あー! あそこの人! ねー見て!」


 店内に女性のその言葉が店内に響いた。

 その声にマグナが振り向くと、


「ほら! やっぱりさっきの人だって!」


 そこに立っていたのは、先ほどマグナが救った三人組の女性プレイヤーだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ