第97話 俺のできること
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更に街の中を進んで行くが、奥に進んでも至る所にゴブリンやオーガといったモンスター達が暴れている。
俺は目に入って来るモンスターを片っ端から魔法で片付けていく。
明らかに以前集落で倒した数よりも多いように見える。
「メルエいったいなん匹いるんだろう。街のみんなもがんばってくれてはいるけど数が多すぎる」
「ファルエル様、大丈夫です。ほらあそこっ。ラファルエル様の騎士が!」
メルエの指差す方向を見ると確かに騎士の格好をした男がゴブリン相手に戦っている。
「ファルエル様はできることをやってください!」
「わかったよ」
パパも先にこの街へ入っている。
俺が届かないところはパパ達に任せて俺はやれることをやるだけだ。
俺の役目は少しでも多くのモンスターを倒す。そして悪魔の眷属がいれば倒す。
『グラビティバレット』を常時待機させて目に入ったモンスターに片っ端から放っていく。
街に入ってそれほど経過していないが既に50以上は倒している。
「ファルエル様!」
「うん、わかってる」
目線の先には二体目の悪魔の眷属が暴れている。
やはり街にいる悪魔の眷属は1体だけではなかった。
ルシェルから聞いた街にいた孤児の数は少なくとも5〜6人以上。ルシェルの知らない相手も含めればその数は10に届くかもしれない。
もし孤児達が全員堕天使の実を飲んでいたとすれば、俺の倒した2人を引いたとしてももっといるはずだ。
パパなら悪魔の眷属であっても倒すことはできると思うが街の人や一般の騎士では難しいだろう。
時間をかけている暇はない。
『グラビティバレット』
最初からミスリルの剣に魔法をかけ悪魔の眷属へ向け走る。
「ガウァアアアアアア」
今までの二体同様正気を保っている様子はない。
『ブラックバースト』
悪魔の眷属に向けて聖なる爆発で攻撃をかけ、そのまま魔法剣で斬りかかる。
さすがに3体目なので戦い方も慣れてきた。
魔法耐性が高いといっても、魔法により瞬間的な衝撃は与えることができるので、魔法で動きを止めて隙を突いて魔法剣で斬り裂く。
『ガァアアアア』
俺は魔法剣を止めずにそのまま連撃を加える。
魔法を帯びたミスリルの剣は悪魔の眷属の肉体を難なく突破し、斬り刻む。
「ファルエル様……」
「うん、先へいそごう」
「ですが……」
「メルエだいじょうぶ」
やはり悪魔の眷属を倒した後には、斬り刻まれた孤児の姿があった。
「ファルエル様」
「うん、やっぱり悪魔のけんぞくは孤児が堕天使の実を食べたすがたみたいだ」
「ファルエル様、お顔が……」
「ルシェル、ぼくのかおがどうかした?」
「いえ、ファルエル様、次からは私も一緒に戦います」
「1人でだいじょうぶだよ」
「ファルエル様だけに……」
「ファルエル様、私もルシェルと一緒に戦います。大したお役には立てませんが、ファルエル様だけに任せるわけにはまいりません。私たちも少しは役に立ちます」
戦力としては二人がいてもそれほどプラスになるわけではないが、二人が言いたい事、思っている事は伝わってきている。
情け無いが顔に出てしまっていたのだろう。
俺には領主の息子としての責任がある。これは俺の役目だ。
天使に生まれ変わって数年、俺は弱くなってしまったのだろうか。
以前は人がどれだけ死のうが、どれほど倒そうが高揚感以外の感情を覚える事は無かったのに。
「はい、これは全部私たち三人のやった事ですから、ファルエル様だけに手柄は渡しませんよ。次は私がとどめをさしてやります」
「そうです。ファルエル様三人です」
「うん……じゃあお願いするよ」
やはり精神的に弱体化してしまったのかもしれないが、今の俺には二人の申し出を断る事はできなかった。
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