第86話 ニューソード
「これがメルエの言ってたミスリルソードなんだ。買うと結構高いって言ってたよね」
「そうですね。少し小ぶりですがミスリルソードに間違い無いと思います。重さも普通の剣よりも少し軽いようですし」
「今回は、ついてるね。剣を無くしたと思ったら欲しい剣が手に入るなんてこんな事あるんだね」
「ファルエル様、前の剣は無くしたのでは無く溶かしてしまったのだと思いますが」
「うん、まあ次からこれを使ってみるよ」
「ファルエル様、魔法剣はやめて下さいね」
「でもミスリルの剣は魔法との親和性が高いって言ってたよね」
「普通であれば全く心配無いはずですが、ファルエル様の魔法は特別過ぎます。ミスリルの剣といえども耐えられないかもしれません。念のためにもやめて下さい」
「そうかな。ちょっと試して見てダメだったらやめるよ」
「ちょっとがちょっとで済まないのでやめて下さい」
せっかくのミスリルソードなので是非とも魔法剣を試して見たいのにメルエからの許可がどうしても出なかった。
「それじゃあまだ時間はあるからもう少しモンスターを探してまわろうよ」
「そうですね。もしかしたらナイトクロウの群れが他にもいるかも知れませんし探索しましょう」
「わたしもがんばります」
その場でルシェルにフィールドサーチを発動してもらい周辺を探ったが、「フィールドサーチ」で探せる範囲内には反応が無かったので取り敢えずこの場から移動する。
「メルエ、最近やっぱりモンスターの群れが多い気がするんだけどこんなものかな」
「ナイトクロウは群れをなすモンスターなのでこのぐらいの数はそれほどおかしくは無いと思いますが、確かに集団のモンスターに出会う確率は高い気はします。ルシェルの「フィールドサーチ」が思った以上に優秀だからと言う可能性もありますが」
「そうだね」
少し前から気になってはいたが、やはりモンスターが多すぎる気がする。
数匹単位のモンスターに出会う事はそれほど問題では無いが、群れでの遭遇率が高すぎる気がする。
魔界でもこれほど頻繁にモンスターの群れと出会う事は無かった。
魔界と天界の差はあるかもしれないが、この数のモンスターが頻発する様であれば普通に考えて領民の生活に影響が出るレベルだ。
パパも気にはかけていたが、実際にはそれ以上影響が出るレベルに近づいている気がする。
何か、モンスターが増える理由があるのかも知れない。
俺にできるのは少しでも群れの数を減らしておく事。そして可能であれば原因を調べる事だろう。
「ファルエル様、群れを発見しましたがモンスターではありません」
少し考え事をしていたがルシェルの声がしたので確認をする。
「群れだけどモンスターじゃないってどう言うこと?」
「はい、数は100以上なのですが、モンスターの反応とは違います。多分普通の動物の反応だと思います」
「動物の群れか〜。モンスターじゃないなら別に放っておいても良い様な気がするけど一応確認だけしておこうか。ここから近いのかな」
「はい東の方向に行けば5分もかからないと思います」
「それじゃあメルエ頼んだよ」
ルシェルの指示した方角に向かい馬車を走らせてもらうが、5分ほど経っても見えてくる気配がない。
「ルシェル、こっちであってるの?どこにもいない様だけど」
「確認しましたが、群れは移動しているようです。こちらの方向です」
ルシェルに再度「フィールドサーチ」をかけてもらうと、動物の群れは移動をしているようだ。
俺達の馬車が着く前に100頭以上の群れが全ていなくなっているのだから、それなりに足の速い動物なのだろう。
さすがに100頭もいれば、俺でも数匹ぐらいは捕獲できるかもしれない。
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