第85話 収集
こちらに向けて100匹のナイトクロウが向かって来ているが、結構なサイズがあるので100匹でも結構迫力がある。
『グラビティバレット』
試しに集団の真ん中に火球を放ってみるが、一気に散らばって当たらなかったようだ。
飛んでいる敵に当てるのはそれなりに難度が高いらしい。
「ファルエル様、遊んでいる場合ではありませんよ。ほらまた向かって来ましたよ」
「分かってるよ。大丈夫」
「メルエ様いざとなれば私も魔法を使ってお守りします」
「ルシェル大丈夫だよ。安心して見ていてよ『グラビティバレット』」
今度は火球を50個発現させてからナイトクロウの一団に向かって放つが、先程と同じように回避して散らばろうとしたのでそのまま火球に追尾させる。
ナイトクロウは更に逃げようとするが火球のスピードがナイトクロウの飛行速度を超え次々に命中し始める。
1発で2匹以上を仕留める火球もあり、半数以上のナイトクロウを消滅させる事に成功した。
「ファルエル様流石です」
「ルシェル、もう少し待っててね。『グラビティバレット』」
再度50個の火球を発現させて残ったナイトクロウに向けて放つ。
先程の攻撃に警戒したナイトクロウは一塊にはならず散らばった状態だったが問題にはならない。
再度放たれた火球はナイトクロウを正確に追尾して撃墜していく。
「問題なかったみたいだね。倒せて良かったよ」
「いえ、まだですよ。ファルエル様」
「メルエ?ナイトクロウは全部倒したと思うけど」
「見てください、あれです」
メルエが指差した先の地面にキラキラと光るものが見える。
よく見ると100ガル硬貨のように見える。
「あれって硬貨だよね。どうしてこんな所に落ちてるんだろう」
「それは、あのナイトクロウの特性ですよ。ナイトクロウは光り物が大好きなんですよ。自分達で使うわけでも無いのにお金とか光る金属とかを集める習性があるんです」
「そうなんだ」
「なので、今から地面に落ちた光り物を集めましょう」
「ああ、そう言う事か〜。それじゃあ3人で分かれて拾い集めようか」
「はい」
そこからは、周辺の地面を歩きながら見て回った。
所々にナイトクロウが集めて来たと思われる物が落ちているが、銀貨の他に鍋なんかも落ちている。
光る物で有れば何でも良いようで、金属製のガラクタの様な物が多い。
逆に小さな物を集めるのは苦手なのか硬貨の数はそれ程多く無かった。
「メルエ〜集まってる?」
「う〜ん、あまりめぼしい物は無いですね」
「わたしもです。100ガル硬貨が1枚と後はこのお皿ぐらいです」
ルシェルの持っているお皿は金属製だが、ボコボコに歪んでいてお皿としては使えそうに無い。
今回がハズレなのかそれともナイトクロウが集める物はこの程度なのか判断がつかない。
「そろそろ、引き上げようか」
「いえ、もう少し待ってください。何か掘り出し物があるかも知れません」
俺としてはもう何も無さそうなので帰ろうかと思ったのだが、メルエが熱心に探しているのでもう少しだけ待ってみる事にした。
「ファルエル様、見つけました〜!これ使えるんじゃ無いですか?」
そう言ってメルエが見つけて来たのは小ぶりのショートソードだが、かなり汚れており、光沢が失われてしまっている。
「これ、使えるように見えないんだけど」
「泥とかで汚れてるだけです。待ってください」
メルエがその場で魔法を発動して水を呼び出し、手に持った剣をじゃぶじゃぶと洗い始めた。
水で洗っただけだが、しばらくすると薄汚れた剣がピカピカになり光沢が蘇って来た。
「メルエ、ずいぶんきれいになって来たね。持ち手の部分が汚いからそこだけ交換したら使えそうだね」
「ファルエル様。これミスリルだと思います。普通の剣だと流石に錆が出ているはずです。なのでこれはミスリルの剣だと思います」
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