第82話 オーガ討伐
馬車に乗って数分進んだ所にオーガの集落らしきものがあった。
以前ゴブリンがいたところを村だとするとちょうど集落と呼ぶのにふさわしいぐらいの規模だと言える。
ただ、オーガ自体が大きいので一つずつの建物の大きさは明かに大きくなっている。
「さあ、ファルエル様思う存分お願いします。オーガに気づかれて襲って来られる前に全滅させましょう。さあお願いします」
やはり慣れというのは怖い。激しく騒いでいるメルエも面倒だったが、少し懐かしいとさえ思えてしまう。
変なテンションのメルエは正直微妙だ。
「ファルエル様、頑張って下さい。守りはお任せ下さい」
うん、ルシェルは変わりなくほっとしてしまう。
「それじゃあ、いってみるよ『ファントムストーム』」
今回は、この前倒したオークと同じ魔法を使う事にした。特に意味はないがオークとオーガの呼び方がなんとなく似ていたので魔法も同じで良いだろうと思い使用してみた。
竜巻が3つほど発生して建物を全て巻き上げながら周辺を更地に変えて行く。
1発で終わってしまいそうなので、またちょっとやりすぎたかなと思ったが予想外の事が起きてしまった。
竜巻で巻き上げられたオーガが地面に叩きつけられたものの、結構な数のオーガがふらふらになりながらも、動いていたのだ。
どうやら身体が大きい分耐久力も高かったようで全ての命を刈り取る事は出来なかったようだ。
「ファルエル様、まだ生きていますよ。急いでください向かって来てしまいますよ。さあ早く!」
今度はメルエの声のトーンが少し変わり以前迄のものに近づいた気がする。
まあ1発で終わっては消化不良になりそうなので願っても無い事だ。
やっぱりゴブリンよりオーガの方が良いかもしれない。
「ファルエル様笑顔が素敵です………」
それじゃあ今度はこれでいこうかな。
『グラビティバレット』
見る限り20体ほどの個体が存命しているようなので、とりあえず10個ほど火球を出現させて放った。
連続する爆発音と共に同じ数のオーガを仕留めることが出来た。
後10体程だが1体元気なのが見て取れる。
通常のオーガは1本角だが、このオーガは角が2本生えている。
オーガの上位種か?
オーガロードとかではなさそうだが、オーガリーダーと言ったところだろうか?
ちょうど良いので剣の練習相手になってもらおうと思うが、さすがに剣だけで10体を相手にする事はできないのでオーガリーダー以外に狙いを定めて『グラビティバレット』を放つ。
10体程度であれば問題無く狙いをつける事が出来るので一度で正確に倒す事が出来た。
周りのオーガが倒されるのを見て、残ったオーガリーダーは怒り狂ってこちらに突進してきた。
体の大きさに合わせて武器まで大きいので、攻撃をくらうわけにはいかない。
筋力のなせる技なのか大型の武器を振り回しているのに結構スピードがあるので懐に入ればどうにかなると言う感じでも無い。
オーガリーダーの攻撃は怒りに任せているせいで太刀筋が滅茶苦茶で、逆に予測しづらい。
相手の間合いに入らない様に距離を保ちながら隙を窺うが、一向に攻撃がおさまらない。
待っていてもチャンスは訪れそうに無いので、踏み込んで敵の攻撃を逸らす様に受け止めてみたが、受け止めた瞬間とんでもない重さが加わって踏ん張り切れずに、吹き飛ばされてしまった。
「ファルエル様!『ロックシールド』」
俺を心配したルシェルが間髪入れずに魔法のシールドを展開してくれた。
やはり、4歳児の力と体重ではオーガリーダーの攻撃を受け止める事は難しかったようだ。
俺は、自分の想い通りに戦う事が出来ない事に早く大きくなりたいものだとこの時強く思った。
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