第78話 ルド
先週投稿分ですが忘れていた前話を投稿し直しました。
非常に従順なワイルドシャープホースを見つける事が出来たので、この馬で馬車を引かせる事にした。
「それじゃあこの馬にするよ。さっきの車と合わせていくらかな」
「そうですね先程の車と合わせて4000ガルになります」
「そう。4000ガルだね。そうなんだ」
「どうかされましたか?」
「う〜ん。思ってたより少し高かったから」
「そうですか……。それでは少しだけですが割引させて頂きます」
「えっ、いいの?」
「はい。目一杯頑張らせて頂いて3800ガルでいかがでしょうか」
「そう……それじゃあお願いするよ」
馬車は思ったよりも高額で所持金の半分を大きく超える金額だった。
しかも目一杯頑張って200ガルか。商売上手というか、稼いだお金が一瞬で大量に消費されてしまったが、これも今後への投資だと割り切るしか無い。
支払いを済ませて家まで馬車で帰る事にした。
「メルエそれじゃあ頼むよ」
「はいわかりました。ただワイルドシャープホースは扱った事がないので慣れる迄は少し暴れるかもしれません」
「暴れたりはしないよね」
ワイルドシャープホースに意識を向けると頭を下げて来たので、この馬が暴れる事は無さそうだ。
「そうだ、名前をつけようか。何がいいかな。何かいいのあるかな」
「ワイルドシャープホースなのでワイルダーはどうでしょうか」
「まあ悪くは無いかな」
「それか間をとってルドはいかがでしょう?」
「言いやすいな。それにしようか。今日からお前の名前はルドだからね」
馬の名前が決まったので早速馬車に乗ってみる。
さっき見たのでイメージは湧いているが実際に動かしてみるとどうだろうか。
「それじゃあ、頼むよ」
「はい。それではしっかり座っておいてくださいね」
車の広さは十分に有りルシェルと2人で乗る分には全く問題無い感じだ。
詰めれば4人は乗る事が出来そうな感じだ。
すぐに馬車が動き出したが、最初はゆっくりだったがすぐにスピードに乗って来た。
普通の馬よりもかなりパワーがあるようで結構速い。
速いがその分振動が激しい。板を貼っただけの座席にダイレクトに振動が来て痛い。
動き始めてすぐにお尻に痛みを感じる。しかも硬質な揺れがガンガン身体に響いて揺られる。
「メ、メルエ、結構揺れるんだけど」
「ファルエル様、このワイルドシャープホースはすごいですね。普通の馬とは全く別物です。スピードとパワーが違います。しかも思った通りに動いてくれます。これは本当にいい買い物でしたね」
「メルエ、それはよかったんだけど、お尻が痛いんだ。それになんか気持ち悪くなって来ちゃったんだけど」
「馬車なんて最初はそんなものです。すぐになれますよ」
魔界にも馬車はあったが、おれの乗っていた馬車はこんなのじゃ無かった。お尻には柔らかいシートが付いていたし、こんなにガタガタしなかったので多分慣れの問題では無い。
気持ち悪さを押し殺して我慢していると40分ほどかけて歩いて来た道を僅か10分程で着いてしまった。
「ファルエル様着きましたよ。この馬車は素晴らしいですね」
御者が座るところとは感じが違うのかメルエは至って普通だが、おれは着いて馬車の外に出た途端、足がもつれかけてしまった。
確かに素晴らしく速い。これで明日以降の行動範囲が劇的に広がるのは間違いないが、今のままでは長時間乗る自信がない。たった10分でこれなら長距離乗ったらどうなるのか想像もつかない。
もう少しお金を足してももっといい車にすれば良かったかもしれない。
俺でこれならルシェルは到底無理な気がする。
少し休んでから今後の事をしっかり考えたいと思う。
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