第75話 オークジェネラル戦
「それじゃあ、メルエとルシェルは下がっておいて」
「ファルエル様、まさかと思いますがそれは何をしているのでしょうか?」
「もちろんオークジェネラルを倒すつもりだけど」
「いえ、どうして剣を持たれているのでしょうか?」
「それは剣で倒そうと思ってるんだ」
「ファルエル様、魔法が凄いのは分かっていますが剣では流石に無理です。あの巨体ですよ」
「まあ、難しいようだったら魔法を使うよ」
既にかなり近い距離までオークジェネラルが迫って来ているのでしっかりと剣を構える。
幼い時から素振りは1日も欠かしたことがない。
魔法が使えるようになるまでは剣で生きていこうとさえ思っていた。
どの程度俺の剣が通用するかいい機会だ。
目の前まで迫って来たオークジェネラルは大きな斧の様な武器を振り上げて俺に斬りかかってくる。
4歳の俺に対しても一切の躊躇も遠慮も無い。
流石は豚、流石はモンスターといったところだろうが、今の俺の利点は小さい事なので素早くかわす。
やはり、今の身体でこいつの一撃をまともに受ける事は難しそうだ。体重にして軽く20倍以上おそらく30倍ぐらいは有ると思われるので受けたら潰されそうだ。
それに初撃を躱してわかったが、ジェネラルだけあってオークのくせに結構スピードがある。
距離を取って躱しながら攻撃するか、内側に飛び込んで攻撃の距離を潰すかのどちらかだが、俺は内側に飛び込む事を選択した。
距離をとって魔法で攻撃すればすぐに片がつくと思うがそれではせっかく剣で戦った意味が無くなってしまう。
オークジェネラルの2撃目も躱してから一気に懐に入りオークジェネラルの胴体を思い切って斬りつけたが、身に付けた鎧によって俺の攻撃は弾かれてしまった。
弾かれて一瞬動きが止まった所をオークジェネラルの蹴りが襲って来たので避けて脚に剣を振るう。
「グゥウギャ〜」
今度は防具の無いところを捉えたようで肉を斬る感覚があったが、脂肪が厚いので骨まで届いた感じは無い。
「ファルエル様、頑張ってください!」
ルシェルの応援が聞こえてくるので、更に集中を高めて連撃をかけようとするが、頭上から大きな岩のようなものが降ってきた。
「ロックシールド」
ルシェルの声と同時に大きな岩の盾が現れて頭上の岩を防いでくれた。
「ルシェルありがとう」
オークとはいえジェネラルなので何かのスキルか魔法を使えたようだ。
あのままでも避けることは出来たとは思うが、ルシェルがフォローしてくれたのは助かった。
お礼を言うのと同時に再度オークジェネラルの脚に攻撃を加える。
一撃では脚を潰し切れないのはわかっているので連続で脚に斬りかかる。
スキル発動中は動きが鈍るのかあっさりと脚への攻撃が通り2撃を加える事が出来た。
右足ばかりに都合3回の斬撃をくらわすことが出来オークジェネラルの足を完全に潰す事に成功した。
「グウウウアアアワア〜!」
痛みと怒りで、酷い形相でこちらを威嚇してくるが、全く怖くは無い。
片足が使えない状態なので、今度は距離を取ってからオークジェネラルの右側に回り込むがオークジェネラルは右脚を軸に回転する事が出来ないので完全に動きについてこれていない。
少し狙い辛かったが右側から更に回り込んで左脚の後側を斬りつける。
やはり一撃では深手を負わすことは出来ないが、両脚にダメージを与えたのでオークジェネラルの動きは完全に止まり、その場で叫びながら斧を振り回しているだけだ。
ほとんど勝負は決したと思うが、また岩が頭上から降って来た。
「ロックシールド」
再びルシェルが攻撃を防いでくれた。ルシェルは魔法の使うタイミングが上手い。とても初めて実戦で使ったとは思えない。普通慣れないうちは、相手の攻撃に合わせて発動する魔法の場合、タイミングが遅れてしまうものだが、ルシェルはしっかりと対応出来ている。
ルシェルさすがだな。
【読者の皆様へお願い】
いつもありがとうございます。
この作品は皆様のブックマークとポイント評価で支えられています。
興味を持たれた方は是非ブックマークとスクロールして下部からのポイント評価をお願いします。




